独EVサルーン「ポルシェ タイカン」と「メルセデス・ベンツ EQS」のベースグレード比較

高級EVサルーン「ポルシェ タイカン」と「メルセデス・ベンツ EQS」を航続距離含め総合的に比較

ポルシェ タイカンとメルセデス・ベンツ EQS
ポルシェ タイカンとメルセデス・ベンツ EQS
「ポルシェ タイカン」がパナメーラのEV版だとすれば、「メルセデス・ベンツ EQS」はSクラスのEVと言えるだろう。なかでも後輪駆動となる両車のベースグレード同士は航続距離の長さが特徴だ。タイカンとEQSの性能はどれだけ違うのか、それぞれのスペックを比較してみよう。

PORSCHE TAYCAN
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MERCEDES-BENZ EQS

どちらも大柄だが使い勝手は悪くない

両車のボディサイズを比較するとタイカンよりもEQSの方が全長と全高が大きく、室内空間もラゲッジスペースもEQSの方が圧倒的に広い。またタイカンは4人乗りが標準であるため5人が乗るにはオプションの追加が必要だが、EQSは標準で5人乗りだ。

両車とも四輪操舵システム(4WS)が搭載可能なため、どちらも大柄な車体の割に取り回しは悪くない。タイカンは4WSオプションの追加で最小回転半径が5.85mから5.6mへ縮小される。4WSが標準装備となるEQSの最小回転半径は5.5mだが、ソフトウェアアップグレードの購入でコンパクトカー並みの5.0mまで小さくすることが可能だ。

ポルシェ タイカン

ボディサイズ=全長4963mm×全幅1966mm×全高1379mm
ホイールベース=2900mm
車両重量=2090kg
タイヤサイズ=225/55R19(前)275/45R19(後)

メルセデス・ベンツ EQS 450+

ボディサイズ=全長5225mm×全幅1925mm×全高1520mm
ホイールベース=3210mm
車両重量=2530kg
タイヤサイズ=255/45R20(前後)

加速性能はタイカンが圧倒、航続距離はEQSが勝る

モーター出力を比較するとタイカンの方が高く、0-100km加速タイムでもEQSを圧倒する。さらにタイカンは2024年2月の全面改良でモーター出力と航続距離を大幅に向上させ、商品力を高めた。

とくにオプションの大容量高性能バッテリーを装着したタイカンは、車重が80kgほど重くなるもののモーター出力が435PSに強化されるうえ、航続距離が678kmまで伸びる。700kmを誇るEQSの航続距離には一歩およばないが、十分な性能と言えるだろう。

ポルシェ タイカン

モーター形式=交流同期モーター
最高出力=408PS
最大トルク=410Nm
トランスミッション=2速AT
駆動方式=RWD
0→100km/h加速=4.8秒

メルセデス・ベンツ EQS 450+

モーター形式=交流同期モーター
最高出力=333PS
最大トルク=568Nm
トランスミッション=単速
駆動方式=RWD
0→100km/h加速=6.2秒

純粋なサルーンのEQSか、スポーツサルーンのタイカンか

車両本体価格はEQSよりもタイカンのほうが200万円ほど安い。ただし、大容量バッテリーや4WSなどのオプションを追加してEQSと同等の機能にすると、価格の優位性がほとんどなくなってしまう点には注意が必要だ。

両車をサルーンとして見た場合、価格や性能を含めてタイカンとEQSはこれ以上ない好敵手となる。しかしタイカンには、ポルシェらしいスポーツカーとしての資質も備わっている。

2024年4月には航続距離が800kmを超える改良新型EQSが欧州で発表されたが、純然たるサルーンであるEQSと、スポーツサルーンとも言えるタイカンという関係性は今後も変わらない。

新型EQSが日本で発売される時期は、そう遠くないだろう。現在高級EVサルーン購入を検討している人は、現行型EQSもしくはタイカンの購入か、それとも新型EQSを待つかという三択を迫られることになる。

車両本体価格

ポルシェ タイカン 1370万円
メルセデス・ベンツ EQS 450+ 1563万円

ポルシェ パナメーラ(上)とポルシェ タイカン(下)

ポルシェのスポーツサルーン「パナメーラ」と「タイカン」比較で見えたパワートレイン以外の違いとは?

「ポルシェ パナメーラ」と「ポルシェ タイカン」は、ガソリンエンジンとモーターという異なるパワートレインを持つ2台である。4ドアのスポーティなサルーンという似たキャラクターを持つ2台であるが、それぞれはどのような特徴を持つのだろうか。それぞれのベースモデルを比較してみよう。

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