2024年のデビューに向けて開発が続くコンパクトBEV「ルノー 5」

次期「ルノー 5」プロトタイプがテスト開始「小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」を初採用」

次期「ルノー 5」は、ルノーと日産が共同開発した小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」を初採用し、2024年にデビューする。
次期「ルノー 5」は、ルノーと日産が共同開発した小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」を初採用し、2024年にデビューする。
2024年に発表を予定しているフル電動コンパクト「ルノー 5」が、本格的なテストプログラムを開始した。バッテリーEV(BEV)に生まれ変わる新型ルノー 5は、ルノー・日産グループが新規開発した、小型車用BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」を初採用したモデルとなる。

Renault 5 

9台のプロトタイプを使用してテストを実施

2022年から2023年にかけて、新型ルノー 5のプロトタイプを使ってテストが、ヨーロッパ各地で行われている。
2024年にBEVとして復活を果たす“サンク”。2022年から2023年にかけて、新型ルノー 5のプロトタイプを使ってテストが、ヨーロッパ各地で行われている。

ルノーのベストセラーとして高い人気を誇った「5(サンク)」が、BEVとして復活を果たす。現在、ルノーは5のプロトタイプ「ミュール(Mules)」を9台製作し、実走テストを行っている。

ミュール試作プロトタイプは、プラットフォーム、パワートレイン、バッテリーなど、市販仕様のコンポーネントが搭載されており、現行クリオやかつての“サンク”を思わせるエクステリアを採用。エキゾーストパイプが存在せず、代わりに充電用ポートが配置されている。

2022年から2023年にかけて、ミュールは静的/動的な調整と耐久テストを交互に行った。この間、スウェーデンの北極圏に近いアルビッツヤウルの氷雪路、パリ周辺のラルディ、ノルマンディーのオーブヴォワにある、ルノーのテクニカルセンターのテストトラックで周回を重ねている。

オーブヴォワのテクニカルセンターでは、カスタマーが遭遇するあらゆる負荷を再現することが可能。面積613ヘクタールの敷地内には、最長60kmを含む35種類のトラック、42種類のテストライン、2基の風洞施設、18基の腐食槽が存在している。すべての施設が深い森の中に配置されているため、発売前のプロトタイプをパパラッチの目から守っている。

「CMF-B EV」採用によるアドバンテージ

ルノーと日産が共同開発した小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」。
日産と共同開発した「CMF-B EV」プラットフォームは、内燃機関用の「CMF-B」をベースにしてたことで、コスト面やバリエーションの拡充など、大きなアドバンテージを得ることになった。

新型「5」で初採用される小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」は、クラス最高の性能を提供しながら、このセグメントにおいてライバルを圧倒する性能を目指して開発。現行クリオやキャプチャーのベースとなった「CMF-B」プラットフォームから70%のパーツが流用されており、コスト面でのアドバンテージを持つ。フル電動モデル「ゾエ(ZOE)」と比較すると、製造コストが30%以上も安くなったという。

「CMF-B EV」は電動モデルに最適化されたシャシーと、フロア下に設置されたバッテリーによる低重心化により、よりダイナミックなパフォーマンスを実現した。さらに、モジュール式プラットフォームを採用したことで、トレッドやホイールベースを調整することが可能。バリエーションに富んだBEVの製造・開発ができるようになった。

BEVセグメント・プロダクト・パフォーマンス・ディレクターのデルフィーネ・デ・アンドリアは、「CMF-B EV」プラットフォームの優位性について次のように指摘する。

「この『CMF-B EV』プラットフォームの採用によって、これから登場する新型ルノー5は、Bセグメントにおいて大きな競争力を保ちながら、真のドライビングプレジャーをアピールすることになるでしょう。製品の観点から見ても、大きなアドバンテージになることは間違いありません」

大幅な軽量化による走行性能の向上

ルノーと日産が共同開発した小型BEV専用プラットフォーム「CMF-B EV」。
パワートレインの小型化やバッテリーモジュールの変更により、大幅な軽量化を実現。これにより航続距離に加えて、抜群の走行性能をアップを実現した。

「CMF-B EV」プラットフォームは、小型化されたパワートレインに対応して、よりコンパクトなボディサイズを実現した。搭載される電気モーターは、ゾエやメガーヌ E-Tech エレクトリックに搭載され、高い実績を持つ巻線界磁形同期電動機(EESM)をベースに開発。このモーターは、永久磁石モーターよりも出力が高いだけでなく、レアアースを使用しないため、生産コストと環境負荷が大幅に低くなる。

ルノー 5に搭載される電動パワートレインは、3つの主要コンポーネントを組み合わせた、新開発の内部アーキテクチャを採用。DC/DCコンバーター、新開発バッテリー充電システム、配電を管理するアクセサリーボックスという、3つのコンポーネントをひとつにまとめたことで、大幅な小型・軽量化を実現している。これによりゾエから約20kgも軽量化され、効率性と走行性能の向上を達成した。

新開発バッテリーパックは、ゾエに搭載されていた12個の小型モジュールから、4個の大型モジュールに変更。よりシンプルな構造となったことで、15kgもの軽量化を実現した。また、バッテリーパックをプラットフォーム内に収めたことで、より高い保護性能を確保し、ボディ剛性を高め、静粛性やドライビングプレジャーを向上させている。

このままでは都市部での使用が難しくなってしまうルノー4をはじめとした旧型モデルに、電気自動車コンバージョンキットが発売される。

ルノーとR-FITがフランスで「4/5/初代トゥインゴ用EVコンバージョンキット」を販売

ルノーは「R-FIT」社と提携し、フランスにおいて電気自動車へとコンバージョンする「EVレトロフィット・キット」を発売する。EVレトロフィット・キットは、ルノー 4、ルノー 5、初代トゥインゴへの装着が可能となっている。

「ルノー ルーテシアE-TECHフルハイブリッド」で800kmエコランしたらとんでもない数字になった

2モーターを搭載して25.2km/リッターの低燃費を誇るルーテシアE-TECHフルハイブリッド。このクルマで横浜から松山まで、およそ800kmのエコラン大会が実施された。柄にもなく燃費走行に挑戦するチームGENROQ、果たしてその結果は!?

電動ドリフトコンセプト「ルノー R5 ターボ 3E」のエクステリア。

非公開: 電動ドリフトコンセプトカー「ルノー R5 ターボ 3E」が目指したのは、50年前の5(サンク)ターボとテレビゲームの融合

ルノーは「5(サンク)」の誕生50周年を記念し、かつてラリーで大活躍した「5ターボ」「5ターボ2」という歴史的なスポーツバージョンをオマージュ。フル電動ドリフトショーカー「R5 ターボ 3E」を開発した。R5 ターボ 3Eは、9月25日に開催される「シャンティイ・アート&エレガンス 2022(Chantilly Arts & Elegance 2022)」においてワールドプレミアされる。

キーワードで検索する

著者プロフィール

ゲンロクWeb編集部 近影

ゲンロクWeb編集部

スーパーカー&ラグジュアリーマガジン『GENROQ』のウェブ版ということで、本誌の流れを汲みつつも、若干…