【ランボルギーニ ヒストリー】フロントウインドウすら備えないスパルタンな趣「SC20」

往年のイタリアン・バルケッタの姿を彷彿させるスパルタンな趣の「SC20」【ランボルギーニ ヒストリー】

あたかも彫刻のように、ひとつの塊からシャープなラインを削り出していったかのような印象の「SC20」。
あたかも彫刻のように、ひとつの塊からシャープなラインを削り出していったかのような印象の「SC20」。
アヴェンタドールをベースとした、ワンオフモデル「SC20」。ひとつの塊から削り出していったかのような造形で、往年のイタリアン・バルケッタの姿を彷彿させるスパルタンなモデルを紹介する。

Lamborghini SC20

ワンオフで製作された公道走行可能なオープンモデル

今回は唯一無二のデザインを実現したSC20。レーシングカーに匹敵するエアロダイナミクス、そしてトータルパフォーマンスを備えたオープンカーだ。

ランボルギーニから2020年の12月に発表された「SC20」は、あるカスタマーのためにワンオフで製作されたオンロード走行が可能なオープンモデルだ。正確にはそのデザインはランボルギーニのチェントロ・スティーレ(デザイン・センター)で、カスタマーを交えた何回ものディスカッションを経て進められ、設計と製作はレース部門であるスクアドラ・コルセによって行われている。

スクアドラ・コルセでは、このSC20に先立って2018年にSC18アルストンと呼ばれる、やはりワンオフのモデルを製作しているが、今回は唯一無二のデザインを実現するとともに、レーシングカーに匹敵するエアロダイナミクス、そしてトータルパフォーマンスをオープンカーで実現するという、非常に難しい課題が与えられた。

フロントウインドウすら備えないスパルタンな趣

ランボルギーニでは2012年に、アヴェンタドールをベースとした、やはりワンオフのワンメイクモデル「アヴェンタドールJ」を製作した経験があるが、このSC20のデザインは、それとは大きく異なってあたかも彫刻のように、ひとつの塊からシャープなラインを削り出していったかのような印象だ。

さらに仔細に各部のディテールを見れば、近年のランボルギーニが好んで用いる六角形のモチーフがあらゆるパートに積極的に用いられているほか、ウラカンGT3 EVOの造形を意識したボンネットや、リヤの大型ウイングなど、最新のランボルギーニらしさと優れたエアロダイナミクスの両面を直感的に感じるスタイルが完成されていることが分かる。ちなみにリヤウイングは走行時のコンディションにより、ロー、ミディアム、ハイの3ポジションの中からベストなセッティングを選ぶことが可能。フロントウインドウすら備わらないスパルタンな趣は、往年のイタリアン・バルケッタの姿をも彷彿させる。

ミッドに搭載されるエンジンは、アヴェンタドール用の6.5リッターV型12気筒をベースとしたもので、770PSの最高出力と720Nmの最大トルクを発揮。トランスミッションは、ランボルギーニではISRと呼ばれるシングルクラッチ式の2ペダルMTで、ここから出力されたトルクは電子制御の多板クラッチによるセンターデフを経て、常時最適な駆動力配分で前後のタイヤに伝達される仕組みだ。タイヤはフロントが20インチ、リヤが21インチのピレリ製Pゼロコルサ。ホイールはセンターロック方式のアルミニウム製で、これもSC20の専用デザインとなる。

趣味よくまとめられたインテリア

エンジンはアヴェンタドール用6.5リッターV型12気筒ベースとして、最高出力770PSと最大トルク720Nmを発揮する。

エクステリア、インテリアともにホワイトをベースに、鮮やかなブルーのストライプやアクセントカラーで彩られるSC20。特に印象的なのは、左右のバケットシートのランバーサポートやメーターナセルに、やはりブルーのカラーを採用するなど、趣味よくまとめられたインテリアのフィニッシュだ。

カスタマーがはたしてこのモデルを、今後著名なイベントにエントリーするかどうかは不明だが、ぜひとも一度はその姿を我が目にしてみたい一台と評してもよいだろう。

「カウンタック LPI800-4」は残念ながらシリーズモデルではなく112台限定車だ。台数は初代カウンタックの開発コードがL112に由来する。

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著者プロフィール

山崎元裕 近影

山崎元裕

中学生の時にスーパーカーブームの洗礼を受け、青山学院大学在学中から独自の取材活動を開始。その後、フ…