F1由来の技術を搭載した新型メルセデスAMG C 43の実力を最速レポート!

新型AMG C 43はF1由来の電動ターボがカギ! 渡辺慎太郎が最新メルセデスAMGに海外で最速試乗

メルセデスAMG C 43 4MATICのフロントビュー
メルセデスAMG C 43 4MATICがデビュー。モータージャーナリスト・渡辺慎太郎が海外で試乗し、そのパフォーマンスを報告する。
メルセデスAMGは、2022年4月27日に新型「C 43 4MATIC」をリリース。F1由来のテクノロジーを駆使した次世代過給システムを積む2.0リッター直4ターボユニットを採用したことで注目を集めた。アファルターバッハが放つその最新作を、渡辺慎太郎が海外試乗。果たして新しい“ヨンサン”はいかなる仕上がりになっているのだろうか。

Mercedes-AMG C 43 4MATIC

43でも正真正銘のAMGエンジンに

実際にどれくらいの人が待ち望んでいたのかよくわからないけれど、AMGのスタッフによればメルセデス・ベンツのCクラスのAMG仕様は“待望”のモデルだそうである。ただ、とりあえず登場したのは“43”なので、ひょっとすると今後“53”やらそれに相当するハイスペックバージョンが控えているかもしれないし(多分控えている)、そっちのほうがみんなの本命ではなかろうかと自分なんかは思ってしまう。

きっと中には「なんだ43か」と期待外れ感を抱いた方もいらっしゃることだろう。これまでの「43」は、いってみれば「なんちゃってAMG」であり、3.0リッターのV6ターボはAMGではなくメルセデスのエンジン工場で生産されていた。

つまり、AMGの象徴ともいえる「ワンマン、ワンエンジン」を示すサイン入りプレートがエンジンカバーになかったのである。その点に関しては、新型C 43は正真正銘のAMG製エンジンで、ちゃんとサインプレートも確認した。

次世代型ターボを採用したM139“改”ユニット

メルセデスAMG C43 4MATICに搭載する次世代電動ターボ
メルセデスAMGとギャレットモーションが共同開発した電動アシストターボ「エレクトリック・エキゾースト・ガス・ターボチャージャー」の概念図。センターハウジング部におよそ4cm厚の電動モーターを組み込んでいる。

C 43が積むM139型の1991cc、直列4気筒ターボエンジンはAMGのA 45などにすでに搭載されているユニットと基本的には同一である。このM139型、実は汎用性の高いエンジンで、横置きでも縦置きでも使えるスグレモノなのだ。だからAクラスにも積めるしCクラスにも積めたのである。

A 45と基本的に同じと書いたけれど、決定的に違う点がこのエンジンにはある。C 43は電動ターボを採用しているからだ。

ターボのコンプレッサーとタービンを繋ぐ軸上に48Vで駆動するモーターを設置。こうすることで、全回転域でのエンジンレスポンスが大幅に向上しているという。この電動ターボ、エンジン始動時にはずっと稼働していて、アクセルペダルを踏んでいなくても一定のブースト圧を保つよう制御されている。だから例えば減速のあとの再加速時でもダイレクトなレスポンスが瞬時に得られるのである。

最高出力は408ps/6750rpm、最大トルクは500Nm/5000rpmで、いずれも高めの発生回転数の設定ではあるけれど、電動ターボのおかげで低回転域からしっかりとしたパワーデリバリーが体感できる。ちなみにこのエンジン、C 43が初めての搭載モデルではなく、日本にまだ導入されていない新型SLのほうが先に採用が決まっていた。

駆動形式は4WDのみ

駆動方式は車名の通り4WDで、現時点でFRは用意されていない。「4MATIC+」でもないので、前後駆動力配分は可変ではなく31:69の固定式となる。トランスミッションはAMGスピードシフトMCT 9G。これを使うことが、このパワートレインがISG仕様ではなくあえてBSG仕様とした理由のひとつでもある。ISG仕様だと、湿式多板クラッチを置く場所にモーターが居座ってしまうからだ。

エクステリアのお化粧方法はこれまでのAMGのやり方に則ったもの。縦方向にバーが入ったフロントグリルやリヤのディフューザーなどがそれで、ホイールは18インチが標準、19/20インチがオプションとなる。インテリアの仕立てもAMG仕様であることが、専用のスポーツシート(座り心地があまりよくなかった)やトリムの赤いステッチなどから見てとれる。メーターのグラフィックにはAMG専用のものが2種類追加されていた。

控えめながらも効能あらたかな「剛性アップ」

走り出してすぐに気が付いたのは、残念ながらご自慢の電動ターボの所作ではなく、ボディの剛性感の高さと乗り心地のよさ、そして正確な操縦性のほうだった。C 43の資料にはパワートレインのことばかりが記されていて、ボディに関する記述はひと言もなし。でも、ボンネットを開けるとサスペンションの取付部を結ぶようにタワーバーがガッツリ入っているし、前後のサブフレーム付近のボディ側にもなんらかの補強が入っているような気がした。

なんでそんなおいしいことを資料に書かないのか疑問なのだけれど、彼らにとってはあえて書くまでもない当たり前のことなのかもしれない。

ノーマルのCクラスのボディでも不満はまったくないが、C 43ではさらにしっかりしている印象で、電制ダンパーと金属ばねの組み合わせによるAMGライドコントロールサスペンションも本来の仕事をまっとうしている。速度や路面の依存度が低く常に一定の快適な乗り心地を提供してくれるし、ステアリングレスポンスもよく切り始めからの挙動もスムーズで、狙ったラインを正確にトレースできる。ドライブモードをスポーツ+にすると、ステアリングギヤ比とパワステのアシスト量が変化(速く重くなる)して旋回中の細かい調整がちょっとやりにくかったが、これは個体差かもしれない。

モーター~ターボの連携ワザもお見事

で、肝心の電動ターボの効果は額面通りだった。スペック上では出力もトルクも発生回転数が高いので「下のほうはスカスカじゃなかろうか」と思ったものの、もちろんそんなことはない。何より、減速からの再加速時のレスポンスのよさが本当に際立っていた。アクセルオフでフューエルカットの状態でもモーターで一定のブースト圧を維持しているからだろう。

発進時にはBSGによりモーターがアシストしてくれているが、どの時点でターボにバトンが渡されるのかは正直よく分からなかった。それくらい、スムーズな加速感であるということである。4輪駆動は、フロントにも駆動力がかかることよりも重量のほうが若干気になったものの、これだけのパワーとトルクだとやっぱり4WDのほうがスタビリティが高く安心してアクセルペダルを踏めるから、重量増のネガは相殺されてチャラだとも思った。

【SPECIFICATIONS】

メルセデスAMG C 43 4MATIC

ボディサイズ:全長4791 全幅1824 全高1450mm
ホイールベース:2865mm
車両重量:1765kg
エンジン:直列4気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:83.0×92.0mm
総排気量:1991cc
最高出力:300kW(408hp)/6750rpm
最大トルク:500Nm/5000rpm
ブースト出力:10kW(14hp)
トランスミッション:9速MCT(AMG SPEEDSHIFT MCT)
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前後ダブルウィッシュボーン
タイヤサイズ(リム幅):前後245/45ZR18(8.0J)
最高速度:250km/h(AMGドライバーズパッケージ装着車=265km/h)
0-100km/h加速:4.6秒

REPORT/渡辺慎太郎(Shintaro WATANABE)

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渡辺慎太郎 近影

渡辺慎太郎

1966年東京生まれ。米国の大学を卒業後、1989年に『ルボラン』の編集者として自動車メディアの世界へ。199…