あなたのクラシック・フェラーリは本物か? フェラーリ本体がチェック

「俺もF40買ったらクラシケ取るんだ」。フェラーリの価値を万人に認めさせるフェラーリ・クラシケとはなにか?

鈴鹿サーキットで開催されたフェラーリ・レーシングデイズに展示されたF40
鈴鹿サーキットで開催されたフェラーリ・レーシングデイズ。そこにはミントコンディションのF40が展示されていた。
6月24〜25日、鈴鹿サーキットで行われたフェラーリ・レーシングデイズの特設テントで、極上コンディションのF40を発見! 真紅のボディやインテリアまで、すべてオリジナル状態でついさっき工場から出てきたばかりの新車のようだ。この個体はフェラーリの正規ディーラーであるコーンズ・モータースが所有するクルマだが、重要なのはフェラーリ・クラシケの認証を得ている点だ。フェラーリ・クラシケの意義を解説する。

フェラーリ本社が認めた極上のF40を鈴鹿で発見!

フェラーリ・クラシケの認定書。2018年12月19日に発行されており、シャシーナンバーも記載されている。
フェラーリ・クラシケの認定書。2018年12月19日に発行されており、シャシーナンバーも記載されている。

クラシックスーパーカーの市場価値は、最近さらに上昇している。ましてフェラーリともなると、その人気はもはや留まるところを知らないという状況だ。だが、古いクルマならなんでもいいというわけではない。その価値を大きく左右するのが「オリジナルであるかどうか」という部分なのである。

スーパーカーも工業製品である以上、メンテナンスが必要だし、修理や修復をすることもあるだろう。その際に当時とは異なるパーツを使ってしまったり社外品で代用してしまったり、社外パーツを装着したりすると、そのクルマの価値は大きく下がってしまう。

しかし難しいのは、そのクルマがオリジナルの状態であることをどうやって把握するかだ。そこでフェラーリが展開するのが「フェラーリ・クラシケ」という制度。これは製造から年数を経たフェラーリがオリジナルの状態であるかどうかをフェラーリ本社が検査し、合格したクルマには証明書を発行してくれるというものだ。この「フェラーリ・クラシケ」の認証を得られたクルマは、生産当時のオリジナル状態のままであるということをフェラーリが認めたという、“お墨付き”を与えられることになるわけだ。

オリジナルか否かのチェックは日本でも可

証明書の発行にあたっては、マラネッロのクラシケ専門部署、もしくは世界中のフェラーリ正規ディーラーにおいての検査を受けなければならない。エンジンやトランスミッション、サスペンションなどの機能部品はもちろん、インテリアの素材や色まで、すべて工場出荷時のオリジナルの状態、もしくは純正パーツによってオリジナルの状態に保たれ、機能していることが条件となる。仮に自分が所有するフェラーリがオリジナル状態でない場合でも、オリジナル状態に戻してから申請して承認されれば、クラシケの認定を得ることができるのだ。

申請はクラシケの認定を受けたワークショップが行ってくれるので、クルマをわざわざイタリアに送らなくても大丈夫。晴れて認定されれば、マラネッロから分厚い鑑定書と認定書が送られてくる。このF40もクラシケの認定書が同時に展示されていた。製造から20年以上を経過した市販車、またコンペティションマシンは製造年に関わらずクラシケ認定の対象となる。

フェラーリのお墨付きを得ることで適性価格が維持される

このフェラーリ・クラシケがスタートしたのは2006年で、その狙いはフェラーリの貴重な遺産であるクルマを保護することにあるという。その効果は世界中のクラシックフェラーリをオリジナルに保つことを促進するだけではない。特に古いスーパーカーは個体の状態を把握するのが極めて難しく、中には粗悪なクルマを高値で売りつける悪質な業者もいる。フェラーリ・クラシケは市場からそのような悪質業者を締め出す役割も果たしているのである。もちろん、自分の愛車がクラシケ認定を得ることはオーナーに大いなる満足も与えてくれるだろう。

フェラーリ・レーシングデイズ会場に展示されていたF40は新車のようなコンディションだったが、クラシケの目的はレストアではなくあくまでオリジナルの状態にある、ということ。ヒートアップする近年のクラシックカー市場だが、フェラーリのこのような動きは良質な個体を増やし、市場の適正化を進めるという点でとても意味があると言えるだろう。

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。愛車は993型ポルシェ911。