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3つ柱は「プラットフォーム」「制御システム」「技術サービス」

「ロータス エンジニアリング」とはロータスのコンサルティング部門である。これまで世界中の様々な自動車メーカーやティア1(一次下請け)サプライヤーに、包括的なコンサルティングサービスを提供してきた。近年ロータスの名前が出てくることは少なくなったが、古くはいすゞ(ジェミニ、ピアッツァ)など自動車メーカーの開発をサポートしてきたのは事実だ。先進的なエンジニアリングと革新的な車両開発への貢献は、長年にわたり国際的に認められている。
ロータス エンジニアリングの専門知識と商用製品の3つの中核となる柱は「プラットフォーム」「制御システム」「技術サービス」であるという。具体的にはインテリジェントな設計、車両コンセプトや新セグメントの開発、高度なエンジニアリングそして車両製造などである。
プラットフォームは、ロータス エンジニアリングにとって重要かつ注目を集める分野だ。端的に言えばロータスのアーキテクチャの商品化である。開発時間を短縮することで、ニューモデルの投資を抑えた開発ができる。たとえば2000年に当時GM傘下で発売された、オペル スピードスター/ボクソール VX220が、ロータスのプラットフォームを採用した。スタイリングはオペルが担い、エンジンはGM製が採用され、製造はエリーゼやエキシージと同様にノーフォーク州ヘセルのロータス本社で行われた。
現在の独自プラットフォームは4つ

こうしてロータス エンジニアリングはGMと共同で、エリーゼのプラットフォームから2つのブランドにとって、新規顧客層を開拓する2シータースポーツカーを設計したのだ。
現在ロータスには4つの独自のプラットフォームがある。徐々に、だが確実に電動化に向かう自動車界においてロータスも例外ではいられない。内燃機関の「エミーラ」以外の3つ「エヴァイヤ」「エレトレ」そして「タイプ135」と呼ばれるEVスポーツカーはいずれも完全電気駆動のBEVである。もちろん、望めば昨年まで製造されていたエリーゼ、エキシージ、エヴォーラが採用する「レガシー アーキテクチャ」と呼ばれるプラットフォームも使用できるという。
ロータス エンジニアリングのコマーシャル・ディレクター、マーク ストリンガーは次のようにコメントしている。「オペル スピードスターの場合、世界的に認められた品質基準に従って効率的に製造されています。もちろんオペルとボクソールのDNAを継承しつつ、ユニークで賞賛されるGMの新しいスポーツカーが誕生したのです。ロータスのプラットフォームを採用したことでコストを圧縮し、市場投入までの時間を短縮できました。クライアントがどんな利益を得ることができたかを示す優れた例です」
ロータスが用意する電動化への近道

プラットフォームの共有は、複数のブランドを持つグローバルな自動車メーカーでは一般的な戦略である。しかし小型車から大型車まで幅広いラインナップを持つ巨大な自動車メーカーといえども、車両の企画によっては、生産計画がシビアになる可能性もある。その点ロータス エンジニアリングは少量でも、大量生産でもサード パーティにソリューションを提供できると謳う。さらに製造までカバーする製品開発サービスも自慢だという。ストリンガーは次のように付け加えた。
「われわれはすでに3つのEVプラットフォームを有しています。これは当社の技術サービスでサポートしつつ、電動化を行いたいと考えているクライアントが、投資を抑えつつも迅速に新しいセグメントに参入できることを意味しています。ロータス エンジニアリングが提供する多彩なアーキテクチャーと同様に、製造もスケーラブルです。これは、サードパーティの作業を可能にする新型車製造施設、チャップマン・プロダクション・センターが建設されたため、追加生産が容易になりました」とストリンガーは付け加えた。
創設者の名前が与えられたチャップマン・プロダクション・センターは今年、開設した。3つのBEVアーキテクチャーをベースに、ロータス エンジニアリングは様々な開発サポートができるという。また、アーキテクチャ自体にも技術的柔軟性があるのがロータスの強みなのである。2017年に中国の吉利汽車の傘下に入って以来、ロータスの従業員は2倍に増加しており、他社の自動車開発のエンジニアリングビジネスにも意欲を見せている。