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Volkswagen ID.Buzz
電気自動車が浸透する北欧で
![モーターは最高出力150kW(204ps)、最大トルク310Nm。最高速は145km/hでリミッターが作動する。車重2.4tで0-100km/h加速は10.2秒と控えめ。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_03-1024x688.jpg)
デンマークのコペンハーゲンから東京湾アクアラインのような橋を渡ったところにあるスウェーデンのマルメ。両都市には電気自動車が浸透していて、自家用車にもタクシーにも多くの電気自動車が使われている。
そして街なかには多数の普通充電器や急速充電器が点在していた。数時間滞在しただけでそれがわかるのか? と思われるかもしれないが、今回試乗したVW IDバズに備わるカーナビの地図上のあちこちに「11kW」と「22kW」の表示が出ていたのでわかるのだ。
北欧各国は冬季の寒さが半端ないため、車内に乗り込む前にヒーターをオンにするのが一般的。内燃機関車しかない時代から自宅ガレージに電源がきていたそうだ。そのことも電気自動車の早期普及の一因なのかもしれない。
ミニバンとは言うものの
![前シートは双方ともにアームレストがついた独立シートを標準装備。3人掛けのリヤシートは40対60分割可倒タイプを採用し、それぞれ前後方向に150mm移動できる。後席ドアは左右共にスライド式となり、フロアの低さも相まって乗降性は良い。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_06.jpg)
![オプションで、スウォーム(群知能)データを活用した“Travel Assist”や車線変更アシストなどの新しいドライバーアシストシステムを利用可能。また、無線によるOTA(Over-the-Air)アップデートによりシステムは常に最新へと維持される。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_05.jpg)
![オプションで、スウォーム(群知能)データを活用した“Travel Assist”や車線変更アシストなどの新しいドライバーアシストシステムを利用可能。また、無線によるOTA(Over-the-Air)アップデートによりシステムは常に最新へと維持される。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_04.jpg)
![前シートは双方ともにアームレストがついた独立シートを標準装備。3人掛けのリヤシートは40対60分割可倒タイプを採用し、それぞれ前後方向に150mm移動できる。後席ドアは左右共にスライド式となり、フロアの低さも相まって乗降性は良い。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_07ph.jpg)
さてVWグループ各社が幅広く用いる電気自動車専用プラットフォームMEBを用いた電気自動車のIDバズは、全長4712mm、全幅1985mm、全高1927mm、そしてホイールベース2989mmの堂々たるサイズのミニバンだ。ずんぐりとしたフォルムと2トーンカラーの塗り分け方を見れば一目瞭然、このクルマは往年のタイプ2(T1ブリー)を電気自動車として現代に蘇らせた存在といえる。
ミニバンとはいうものの2列シート5人乗り仕様のみ。リヤに40対60の分割可倒式の一体型3人がけシートが備わる。左右それぞれ前後に150mmのスライドが可能。電動スライドドアは両サイドに備わる。ラゲッジ容量は5人乗車時に1121リットル(後席背もたれ上端まで積載した場合)、後席を倒せば2205リットルに拡大する。
フロアに77kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、永久同期磁石モーターが後輪を駆動する。WLTPモードでの一充電走行可能距離は最大425km。ところでVWジャパンはこのIDバズの日本導入を前向きに検討しているのだが、日本仕様のバッテリーも77kWhになるかどうかはわからないという。
BEVならではの低重心
![IDバズの最大の売りはやはり積載性能だろう。後方から跳ね上げ式テールゲートを上げてアクセスすると、5人乗車用レイアウトでは1121リットル、リヤシートを折りたたむと最大2205リットルの収納スペースが出現する。5人乗り仕様の最大積載量は529kg。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_08.jpg)
![IDバズの最大の売りはやはり積載性能だろう。後方から跳ね上げ式テールゲートを上げてアクセスすると、5人乗車用レイアウトでは1121リットル、リヤシートを折りたたむと最大2205リットルの収納スペースが出現する。5人乗り仕様の最大積載量は529kg。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_09.jpg)
![最大航続距離は425kmを計上。充電は最大170kWに対応し、急速充電ステーションを用いれば30分で充電を完了できる。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_02.jpg)
MEBには50kWh台のバッテリーを搭載する仕様もあり、価格戦略上そちらも検討しているのかもしれない。ただし77kWh版の航続距離が425kmであることを考えると、50kWh台のバージョンだとパワーを絞ったとしても航続距離はそれよりも縮まる。仮に300km台になってしまうと、日常のルートがだいたい決まっている商用車なら問題ないだろうが、自家用車としては不安要素になり得る。欧州版同様77kWhを導入することになるのではないだろうか。
2.4tの車重を動かすためのモーターは最高出力が150kW(204ps)、最大トルクが310Nm。最高速は145km/hでリミッターが作動する。車重が影響してのことだろう、0-100km/h加速は10.2秒とおとなしい。ただし発進と同時に最大トルクに達するモーター駆動車特有の特性によって、出足は悪くなく、都市部のストップ&ゴーに痛痒はない。
スムーズな加減速は言わずもがな。回生ブレーキの強さはシフトレバーでDもしくはBを選ぶことで強弱2段階から選べる。ステアリングパドルは備わらない。1.9mを超える全高のクルマだが、電気自動車ならではの低重心ぶりを発揮し、目線の高さのわりに背高グルマを運転している感覚はない。後輪駆動ならではの癖のない素直なハンドリングにも好感がもてた。
好みどおりにカスタマイズも
![モーターは最高出力150kW(204ps)、最大トルク310Nm。最高速は145km/hでリミッターが作動する。車重2.4tで0-100km/h加速は10.2秒と控えめ。](https://motor-fan.jp/genroq/wp-content/uploads/sites/2/2022/09/GQW2211_Buzz_10-1024x682.jpg)
車重が重いのに加え、20インチの大径タイヤを装着するため、不整路面を低速で走行すると多少バタつく。半面、高速道路での直進安定性は素晴らしく「さすがドイツ車、VWだ」と思い出させてくれる。
至れり尽くせりの日本製ミニバンに慣れた身には、IDバズのドンガラ感はいささか素っ気なく感じるが、好みの仕様にカスタマイズし甲斐があるともいえる。ぜひ早期の日本導入を果たしてほしい。
REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/VOLKSWAGEN AG
MAGAZINE/GENROQ 2022年11月号
SPECIFICATIONS
フォルクスワーゲン ID.Buzz Pro
ボディサイズ:全長4712 全幅1985 全高1927mm
ホイールベース:2989mm
トランスミッション:1速ギヤボックス
モーター:永久同期磁石
最高出力:150kW(204ps)
最大トルク:310Nm
バッテリー:リチウムイオン電池
容量:77kWh
駆動方式:RWD
サスペンション形式:前マクファーソン 後マルチリンク
最高速度:145km/h
0-100km/h加速:10.2秒
一充電走行可能距離(WLTP):402〜423km
【問い合わせ】
フォルクスワーゲン カスタマーセンター
TEL 0120-993-199
https://www.volkswagen.co.jp/