モータースポーツで高い実績を持つヒューランドの技術を注入

GTOエンジニアリング、スクアーロのギヤボックスをヒューランドと共同で開発

スクアーロに搭載する5速ギヤボックスを共同開発、GTO エンジニアリングとヒューランドがパートナーシップ契約を締結
スクアーロに搭載する5速ギヤボックスを共同開発、GTO エンジニアリングとヒューランドがパートナーシップ契約を締結
英国・バークシャー州トワイフォードを拠点に、クラシック・フェラーリのレストア、整備、パーツ供給、イベントサポートなどを行うGTOエンジニアリング(GTO Engineering)は、現在開発中のオリジナルスポーツカー「スクアーロ(Squalo)」に搭載するギヤボックスを、ヒューランド(Hewland)社と共同開発すると発表した。

世界最小・最軽量の5速トランスアクスル

スクアーロに搭載する5速ギヤボックスを共同開発、GTO エンジニアリングとヒューランドがパートナーシップ契約を締結
GTOエンジニアリングが開発するオリジナルスポーツカー「スクアーロ」には、ヒューランドと共同開発した世界最小・最軽量の5速トランスアクスル・ギヤボックスが搭載される。

GTOエンジニアリングは、トランスミッションの世界的企業ヒューランドと、スクアーロに搭載するギヤボックスの共同開発と製造に関するパートナーシップ契約を締結した。これにより、スクアーロの開発は新たな段階に進んだと言えるだろう。LSDを含む5速トランスアクスル・ギヤボックスの重量は70kg以下に抑えられる予定で、業界で最も軽量かつコンパクトな駆動系パッケージのひとつとなる。

スクアーロは、GTOエンジニアリングが自社開発・製造する4.0リッターV型12気筒自然吸気エンジンを搭載。最高出力は460bhp以上を発揮し、エンジン単体重量は165kg以下を目標にしている。これに5速マニュアルトランスミッションが組み合わせられ、後輪を駆動。車両重量は1000kg以下を目標に開発が続けられている。

この超軽量スポーツカーを実現するための鍵となるのが、5速トランスアクスル・ギヤボックスの設計・製造だ。専用ギヤボックスは、スクアーロのコンパクトなシャシーに収まるように小型化されているだけでなく、デバイス単体で70kg以下の重量を目標としている。ヒューランドとのパートナーシップ契約締結により、ギヤボックスのケーシングや内部の素材選定、研究開発、設計、ホモロゲーション、生産などを共同で行うことになる。

英国・バークシャー州に拠点を持つ両社

スクアーロに搭載する5速ギヤボックスを共同開発、GTO エンジニアリングとヒューランドがパートナーシップ契約を締結
ヒューランドのファクトリーを訪れたGTOエンジニアリングのマーク・ライオン(左)を迎えた、マーク・ヒューランド会長(右)。GTOエンジニアリングとヒューランドは、どちらもバークシャー州に拠点を持つ。

1959年に設立されたヒューランドは、1960年代から1970年代にかけてのモータースポーツ・フィールドにおいてその名を上げた。60年以上にわたり、様々な自動車メーカーへのOEM供給、モータースポーツチームとのギヤボックス共同開発などを行っており、駆動系に関する世界屈指の技術力を保有する。また、その本拠地をGTOエンジニアリングと同じ英国・バークシャー州に構えている。

GTOエンジニアリングの創業者であり、マネージングディレクターを務めるマーク・ライオンは、ヒューランドとのパートナーシップ締結について次のように語った。

「スクアーロのトランスアクスル・ギヤボックスに関して、長年の友人であり共に仕事を行ってきたヒューランドをパートナーとして迎えることができました。ヒューランドは、究極のドライバーエンゲージメントを実現する最高のクオリティと性能を持ったギヤボックスを設計できるだけでなく、エンジニアリング上の課題を克服してきた豊富な経験を持っています」

「現在、スクアーロに搭載するトランスアクスル・ギヤボックスを共同で開発しています。お互いの知見や技術を共有することで、このタイプのトランスアクスル・ギヤボックスとしては史上最軽量・最少を目指しています。両社の本拠地がバークシャー州にあるおかげで、非常に密接な協力関係を築いて進めています」

2023年に向けて順調に開発が進むスクアーロ

スクアーロに搭載する5速ギヤボックスを共同開発、GTO エンジニアリングとヒューランドがパートナーシップ契約を締結
2023年の生産スタートに向けて、順調に開発が進むスクアーロ。最終的なエクステリアが決定し、エンジンやインテリアの開発が進められている。

これまで多くの自動車メーカーと共同開発を行ってきたヒューランドのマーク・ヒューランド会長も、GTOエンジニアリングとの協力関係に喜びを隠さない。

「スクアーロ・プロジェクトにおいて、GTOエンジニアリングと協力できることを嬉しく思っています。彼らの知識、情熱、ディテールへのこだわりは、プロジェクト初期段階から明確でした。最先端の技術と製造方法を駆使して再構築された5速マニュアル・トランスミッションは、ドライバーに優れたフィードバックとフィーリングを提供し、究極のアナログドライビング体験を実現するでしょう」

GTOエンジニアリングが開発するスクアーロは、2020年11月に初期スケッチと共に開発を発表。その後、クレイモデリングを経て、エクステリアデザインは最終的に決定した。4.0リッターV型12気筒自然吸気エンジンの開発も続けており、インテリアは初期の素材を選定中。生産開始は2023年を予定している。

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