電動化だけじゃない!「ランボルギーニ レヴエルト」の劇的進化とは?

最新ハイブリッドV12スーパースポーツ「レヴエルト」がランボルギーニにとって画期的な理由

デザインはカウンタック的デザインを受け継いでいるが、パッケージングは大きく変わったレブエルト。
デザインはカウンタック的デザインを受け継いでいるが、パッケージングは大きく変わったレブエルト。
ランボルギーニ初のV12プラグイン ハイブリッド スーパースポーツ「レヴエルト」。電動化ばかりが注目されているが、ランボルギーニのV12ミッドシップとしては画期的なモデルチェンジでもある。第1世代のミウラ、第2世代のカウンタック〜アヴェンタドールと、第3世代のレヴエルトでは果たして何が変わったのか?

ハイブリッドよりもパッケージングに注目

ランボルギーニのV型12気筒ミッドシップといえば、ランボルギーニというよりも世界中のスーパーカーを代表する存在です。その最新モデルがレヴエルト。V型12気筒にモーターを加えたプラグインハイブリッド(PHV)であることが最大の特徴で、ランボルギーニがプラグインハイブリッドを市販するのは初めてのことです。

このレヴエルトはランボルギーニの歴史を変える存在だと言えます。その理由はハイブリッドであることよりも、そのパッケージングにあるのです。

ランボルギーニのV型12気筒ミッドシップの歴史は、1969年に登場したミウラから始まります。このミウラはV型12気筒をなんとミッドに横置きするという、今では考えられない方式を採用していました。そのメリットとして短いホイールベースとロングノーズ&ショートデッキというFR的プロポーションを実現していたのですが、やはり重量バランスが悪く、操縦性に難があることは否めませんでした。

シエンタより120mmも短い全長

その反省を踏まえて、1974年に登場したカウンタックではエンジンを縦置きとしました。しかし、普通にV12を縦に置いてその後ろにトランスミッションを繋いだら、ホイールベースが長くなってボディも大きくなってしまいます。

そこで当時ランボルギーニのチーフエンジニアであったパオロ・スタンツァーニはエンジンを前後逆向きに搭載し、エンジンの前にトランスミッションを置いたのです。そしてトランスミッションから出る動力は反転させて後輪に伝えるました。まさに逆転の発想で生まれたのがカウンタックというスーパーカーなのです。

そのおかげでカウンタックはV型12気筒を縦置きしながらホイールベース2450mm、全長4140mmというコンパクトなボディを実現していました。ちなみに4140mmという全長は今のトヨタ・シエンタより120mmも短いのですから、いかにカウンタックのパッケージが驚異的だったか、わかりますね。その代わり中央にトランスミッションが張り出した室内はちょっと狭かったですが……。

この逆向きミッドシップレイアウトは、1990年のディアブロ、2001年のムルシエラゴ、2011年のアヴェンタドールと、その後のクルマにも受け継がれ、ランボルギーニV型12気筒ミッドシップマシンを象徴するエンジニアリングとなりました。

ハイブリッド化でトランスミッションがエンジンの後方に

しかし最新のレヴエルトでは、ついにV型12気筒が逆転し、トランスミッションはエンジンの後方に配置されました(つまり普通になった)。その理由はもちろんハイブリッド化で、センタートンネルにバッテリーを搭載したためにミッドシップエンジンの前にトランスミッションを置くスペースがなくなってしまったからです。それでもそのままでは終わらないのがランボルギーニの意地。今度はトランスミッションを横向きにして、パワートレインの前後長を短くまとめました。レヴエルトのパッケージは、V型12気筒ミッドシップのPHVという要素の中で、最大限のコンパクト化を実現したものだといえるでしょう。

ランボルギーニV12ミッドシップは第1世代のミウラ、第2世代のカウンタック、ディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールを経て、いよいよ第3世代に入ったのです。これからどのような歴史を刻んでいくのか、楽しみですね。

発表会場となったチェントロ・スティーレ。そこで我々を待っていたのは、「REVUELTO」(レヴエルト)のプレートを掲げた一台の新型12気筒ミッドシップだった。

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著者プロフィール

永田元輔 近影

永田元輔

『GENROQ』編集長。愛車は993型ポルシェ911。