メルセデス・ベンツがデジタル生産システムをドイツ、ハンガリー、中国で導入

メルセデス・ベンツが2020年代中盤から新型EVプラットフォーム車両製造開始「製造工程のデジタル化で効率大幅アップ」

メルセデス・ベンツは、デジタルツインや人工知能(AI)を活用することで、工場におけるデジタル化を推進している。
メルセデス・ベンツは、デジタルツインや人工知能(AI)を活用することで、工場におけるデジタル化を推進している。
メルセデス・ベンツは、2020年代中盤から、ドイツ・ラシュタット、ハンガリー・ケチケメート、中国・北京の各工場において、次世代EVプラットフォーム「MMA(メルセデス・モジュラー・アーキテクチャー)」をベースに開発された、新型フル電動モデルの生産をスタートする。このプロセスにおいて、独自のデジタル生産システム「MO360」が活用されている。

デジタル生産システム「MO360」を導入

メルセデス・ベンツは、デジタルツインや人工知能(AI)を活用することで、工場におけるデジタル化を推進している。
MMAベースの新型EVの製造に合わせて、メルセデス・ベンツは2020年に発表したデジタル生産システム「MO360」を導入。これにより効率化が大幅に向上し、同一ラインでEV、ハイブリッド、ICEの生産が可能になる。

メルセデス・ベンツは、独自に開発したデジタル生産システム「MO360」を導入。MMAプラットフォームの生産計画、工作機械の入れ替え、生産立ち上げなどにデジタルツイン(DigitalTwin)を活用する。デジタルツインとは、現実世界から集めた様々なデータを、コンピュータ上で再現するテクノロジー。この“デジタル・ファースト”アプローチは、効率を高め、様々な不具合を事前に回避するだけでなく、作業時間を大幅に削減することが可能になる。

9月にドイツ・ミュンヘンにおいて開催された「IAA モビリティ」において、メルセデス・ベンツは、MMAをベースに開発された、フル電動コンセプト「コンセプト CLA クラス」を公開。2020年代中盤には、世界各地の工場において、「MO360」を活用して市販仕様の生産が開始される。

「MO360」の導入によって、メルセデス・ベンツは世界中に点在する約30の工場をリアルタイムデータを用いて高度にネットワーク化。これによりEV、ハイブリッド、ICE(内燃機関)搭載モデルをひとつのラインで生産可能になり、マーケットの需要に応じてEVの生産規模を柔軟に変更することができるという。

既存のラインを止めずに行われる生産準備

メルセデス・ベンツは、デジタルツインや人工知能(AI)を活用することで、工場におけるデジタル化を推進している。
ドイツのラシュタット工場では、「MO360」を導入することで、現在生産されているAクラス/Bクラス/GLA/EQAのラインを止めることなく、次世代EVの生産準備を進めている。

ドイツのラシュタット工場では、生産ラインの中断を最小限に抑えながら、次世代EVを導入するため、新たにデジタルツイン・テクノロジーが導入された。MMAプラットフォームをベースに開発された新型EVの生産に向けて、生産ラインの変更/工作機械の導入/人員配置の最適化などを、高精度のデジタル・シミュレーション技術を使って行う。

現在、生産されている、Aクラス、Bクラス、GLA、EQAの生産を中断することなく、工作機械の配置、供給ルートの構築などを事前にシミュレーション。従来の製造準備プロセスと比較して、投資額を抑えながら、生産の立ち上げ期間を大幅に早めることができるという。ラシュタットでの新たな試みは、今後、中国・北京工場にも導入される予定だ。

デジタル化による工場拡張計画の効率化

メルセデス・ベンツは、デジタルツインや人工知能(AI)を活用することで、工場におけるデジタル化を推進している。
メルセデス・ベンツは、ハンガリーのケチケメート工場の拡張計画において、アメリカの半導体メーカー「エヌビディア」と共同でデジタル化を導入。大幅な効率化アップとコスト削減を果たしている。

メルセデス・ベンツは、アメリカの半導体メーカー「エヌビディア(NVIDIA)」と共同で、新たな生産技術も開発している。エヌビディアは、ソフトウェア・プラットフォーム、データ管理、人工知能(AI)の分野において、世界をリードする高い技術を持つ企業。今回、ハンガリーのケチケメート工場の拡張計画において、メルセデス・ベンツはエヌビディアと協力し、初めて工場全体の完全なデジタル設計図を作成した。

このデジタル設計図には、建屋全体と工場内に設置されるインフラ、従業員のための休憩エリアや更衣室も含まれており、導線や防災を考慮しながら、組立エリアをバーチャルに計画・検証することができる。バーチャル上でシミュレーションすることで、高いコストを強いられる実際のハードウェアを使用することなく、生産工程のスピード化、透明性や柔軟性の確保が可能になった。

このデジタル設計図の導入により、生産施設の入れ替えや、組立ホールの建設期間は半分にまで短縮。同時に潜在的なエラーが現実世界の干渉を受けずに、早い段階で検出できるため、無駄なミスやエラーも排除され、大幅な品質アップも実現した。

システム合計360PSを誇る「メルセデス・ベンツ EQS450 4マティックSUV」と、フロント258PS、リヤ313PSの計571PSを発揮する「BMW iX xドライブ50」。

メルセデス・ベンツとBMWのフル電動フラッグシップSUV「EQS SUV」と「iX」を比較して分かった完成度の違い

ドイツ、いや世界を代表する2大メーカーのBEVフラッグシップSUVが、メルセデス・ベンツEQ…

キーワードで検索する

著者プロフィール

GENROQweb編集部 近影

GENROQweb編集部