ブリヂストンがアセントロボティクス社と資本業務提携。ピースピッキングロボットシステムを開発、実用化へ

はこのほど、知能ロボットシステムを開発・販売するアセントロボティクス株式会社と資本業務提携契約を締結したと発表した。両社は今後、ブリヂストンのソフトロボットハンドとアセントロボティクスのAIソフトウェアを組み合わせたピースピッキングロボットシステムを開発し、その実用化を目指す。

ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンドを用いて、様々な形・硬さ・重さのモノを“いい感じ”につかむ動作を実現

ブリヂストンはこのほど、知能ロボットシステムを開発・販売するアセントロボティクス株式会社と資本業務提携契約を締結したと発表した。両社は今後、ブリヂストンのソフトロボットハンドとアセントロボティクスのAIソフトウェアを組み合わせたピースピッキングロボットシステム(※)を開発し、その実用化を目指す。
※ソフトロボットハンド、AIソフトウェア、カメラを一体として組み合わせてピースピッキング(品物を一つひとつ運び出す作業)を行うロボットシステム

近年、Eコマースの拡大などによる物流需要が増加するなか、少子高齢化に伴う労働力不足やCOVID-19に起因する非接触化ニーズの高まりを受け、物流業界では作業の自動化が求められている。この課題を解決する選択肢として、ヒトと協働することができる柔らかいロボット、ソフトロボティクスが注目されている。

ブリヂストンは、タイヤやホースの開発・生産におけるノウハウを活用したゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)の開発を行っている。このゴム人工筋肉の柔軟性、耐衝撃性、軽量・高出力といった特徴を活かし、ロボットの「指」となる部分にゴム人工筋肉を搭載したソフトロボットハンドを用いて、様々な形・硬さ・重さのモノを“いい感じ”につかむ動作を実現することで、ピースピッキング作業の自動化を目指している。2022年7月には、複数のパートナーとともに物流倉庫等におけるピースピッキング自動化に向けた実証実験を開始。そして2023年1月には。ブリヂストン初の社内ベンチャー「ソフトロボティクス ベンチャーズ」を設立するなど、ソフトロボティクスの事業化に向けた取り組みを加速している。

ブリヂストンは今回の資本業務提携を通じて、ロボットの「手」をブリヂストンのソフトロボットハンドが、そして「目」と「頭脳」をアセントロボティクスのAIソフトウェア群が構成するピースピッキングロボットシステムを開発する。これにより、物流の作業現場でロボットが対象物を即座に認識・判別し、多種多様なモノを“いい感じ”につかむことで、対象物や状況に応じて自律的に作業することが可能となる。今後、ブリヂストンはこのシステムを物流に関わる事業者等に提供していく予定だ。こうした取り組みを通じて、現在はヒトの器用さに依存している物流現場でのピースピッキングの自動化の実現を目指す。

アセントロボティクス株式会社 代表取締役兼CEOの久夛良木健氏(写真左)と、株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズ CEO兼探索事業開発第1部門長の音山哲一氏

このたびの発表に際して、株式会社ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズCEO兼探索事業開発第1部門長の音山哲一氏はこのようにコメントしている。
「独自のAI技術を持つアセントロボティクスとの資本業務提携は、ソフトロボティクスの事業化に向けた大きな一歩であり、大変嬉しく思います。アセントロボティクスとの共創を通じて、ゴムのしなやかさを活かし状況に応じて柔軟に対応できるソフトロボティクスの実用化を目指します。また、新たに立ち上げた社内ベンチャー『ソフトロボティクス ベンチャーズ』では、新しい事業をゼロから創り出したいという人財が早期の事業化に挑戦しています。こうした取り組みを通じ、ソフトロボティクスが人々の暮らしに寄り添い、それを支える新しい社会を実現していきたいと考えています」

一方、アセントロボティクス株式会社 代表取締役兼CEOの久夛良木健氏はこのようにコメント。
「アセントロボティクスは世界規模で高まる流通、物流領域のさらなる自動化の流れに向けた、最先端のAI技術を活用した知能ロボットシステム開発に取り組むとともに、急速に市場が活性化しつつある『デジタルツイン時代』に向けた各種センシング技術への取り組みを加速します。
 逼迫する流通、物流のさまざまな課題に柔軟に対応するためには、定型化された反復作業のみを行う旧来型のロボットではなく、多種多様な対象物をフレキシブルに扱うことができ、かつ、現場の環境に応じて人間のオペレーターと協調して自律的に動作可能な知能ロボット群の導入が期待されています。
 このたび、ブリヂストン ソフトロボティクス ベンチャーズの提供するソフトロボットハンドの有するゴム人工筋肉の、しなやかさを活かしながらもしっかりと掴むという特徴を活かすことにより、これまで適用が困難であった不定形の生鮮食品や冷蔵冷凍品等にも対応できるソリューションが提供できるなど、アセントロボティクスのAIソリューションの活用範囲がさらに拡大することに期待しています」

●ブリヂストン公式ウェブサイト「ソフトロボティクス」

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