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ホンダ・シビックの長所と短所は?
現行型ホンダ・シビックは、Cセグメントを自認するが、ライバルと比べるとボディサイズは大きめで、Cセグといわれても素直に首肯できないところがある。一方で、後席膝まわりの余裕やサイズを活かしたダイナミックなデザインなどを享受できる。最大の魅力は、新型プリウスと比べてもスポーティといえる走りで、ホンダらしさにあふれたモデルといえるだろう。
【シビックのココが○】スポーティーな走行性能!
タイプRを持ち出さなくてもシビックの美点は、走りの良さだ。
なお、タイプRは、身構えて乗っても拍子抜けするほど乗り心地がよく、エンジン制御の巧みさも含めて低速域から扱いやすく、個人的には子どもがいるファミリーでもギリギリ許容できそうなスポーティモデルに仕上がっている。飛ばしても運転が上手くなったかのようなコントロールのしやすさにも驚かされる。
しかし、タイプRは注文一時停止とホームページに掲載されているように、欲しくてもオーダーできない状態にある。また、タイプRを除くノーマル仕様のシビックも半導体などの部品不足を理由に、残念ながら注文一時停止状態にある。とはいえ、受注が再開されれば、ノーマル仕様は、タイプRよりは早く手にできる可能性が高いのではないだろうか。
そこで、目をつけたいのが、1.5LガソリンターボのMT仕様だ。動力性能では330PS/420Nmに達するタイプR(2.0L VTECターボを積む)には遠く及ばないものの、182PS/240Nmという動力性能は、公道ではちょうど良く、高速域で踏み切れないジレンマを抱かずにすむ。MTということもあり、自在な加速感も得られるし、MTのシフトフィールは、輸入車も含めて上々といえるレベルにある。スポーティハッチといえる雰囲気は、ガソリンターボとMTの組み合わせが(タイプRは別格にしても)最も濃厚に感じられる。
また、「e:HEV」はガソリンターボと異なる仕上がりで、モーターアシストもあり、スポーティさとスムーズさを兼ね備えている。静粛性や乗り心地、もちろん燃費も含めたトータル性能では群を抜く。
なお、WLTCモード燃費は、純ガソリンエンジン車が16.3km/L、e:HEVは24.2km/L。純ガソリンエンジン車の上級仕様「EX」と「e:HEV」には、40万円ほどの差があるものの、トータルバランスの高さからすると納得できる方も多いはずだ。
【シビックのココが△】同乗者にとって硬めの足まわりは厳しい?
FFリアルスポーツであるシビック・タイプRであれば、乗り心地は思ったよりも良好と表現できるものの、ノーマル仕様のそれは、路面によってはかなり揺すぶられるような乗り味が気になってしまう。
現行シビックが、プレス向けに事前に披露された際に、筆者は会場の駐車場で、まだ日本に正規導入されていなかったフォルクスワーゲン・ゴルフⅧの左ハンドル仕様(某栃木県ナンバー)を目撃してしまった。Cセグでは、自他ともにベンチマークと認める存在であるのがゴルフ。その後、現行シビックの試乗会などでもゴルフを徹底的に研究したことを開発陣は否定しなかった。
ゴルフⅧは、高速域のスタビリティの高さなどの美点を受け継ぎつつ、スムーズなステアフィール、比較的ソフトな乗り味を披露してくれる。ロードホールディングスや運転する楽しさでは、甲乙付けがたく、個人的にはシビックに惹かれる面もあるが、助手席や後席に座って快適に移動するのであれば、ゴルフを選びたくなる。
19インチタイヤを履くタイプRは別にして、18インチタイヤを履くシビックは、少々辛口といえる足まわりになっている。
【シビックのココが✕】大型化したボディと最小回転半径5.7m
車名に込められた「市民のクルマ」という割には、いまやボディサイズが大きくなりすぎてしまった感がある。
ボディサイズは、全長4550×全幅1800×全高1415mm、ホイールベース2735mm。ベンチマークたるゴルフⅧは、全長4295×全幅1790×全高1475mm、ホイールベースは2620mmで、全長は255mmもシビックの方が長い。一方で、長さを活かして膝前に余裕があり、前席下への足入れ性も上々。身長180cmの乗員が前後席に座っても後席足元には余裕が残るはずです。
さらにシビックは、最小回転半径が5.7mに達していて、5.1mに収まるゴルフとの差は歴然だ。試乗会などでクルマの向きを変えたり、撮影のために時には狭い場所でUターンしたりする機会が多く、取り回しには敏感になっていることもあるのだろうが、気になる方は確認したいポイントだろう。また、リヤクォーターガラスの追加などにより、先代よりも改善しているものの、斜め後方の視界も良好とはいえず、こちらも要チェックポイントだ。