スバル初となる量産電気自動車「スバル・ソルテラ」【最新国産新型車 車種別解説 SUBARU SOLTERRA】

スバル初の純BEVとしてデビューした「スバル・ソルテラ」。ミドルクラスSUVのスタイリングの中にスバルならではのこだわりが詰まっている。何より走りを重視し、ハンドリングは俊敏でドライブフィールは手応えを感じつつ、長めのホイールベースで安定性にも優れる。先進運転支援機能も新機能を盛り込み、スバルらしいポリシーを感じられる一台だ。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:平野 陽 MODEL:大須賀あみ

トヨタとの共同開発ながら味つけはスバルのSUV

スバルとトヨタの合同チームで開発された、スバルとして初めての純粋なBEVは、より多くの人に広く使ってもらうためのミドルクラスSUVとされた。居住性を確保しつつ前面投影面積を小さくするため全高を1650㎜と低めにしながらも、走破性を重視するスバルの強いコダワリにより、地上高は210㎜を確保した。

エクステリア

フロントの大型ヘキサゴングリルをはじめ、Cシェイプのシグネチャーランプを内蔵した4灯LEDヘッドランプやリヤコンビランプを備える。フロントフォグランプもソルテラ独自の装備で、SUVらしい見た目と機能を実現。最小回転半径は5.6m。

ホイールベースは2850㎜と長く、〝全席等価値〞の言葉どおり前後席間距離も十分すぎるほど広い。最新モデルらしく先進運転支援装備が充実しており、数々の新機能を盛り込みインターフェースを刷新したインフォテイメント系も使いやすい。プロファイルを登録しておくと、それに合わせておすすめスポット等の情報を随時提供してくれるという「エージェントプラス」という機能も、ドライブをより楽しいものにしてくれるに違いない。

乗降性

充電時にはマイルームモードという便利な機能が役に立つので、必要に応じて使えばよい。トヨタ版とはヘキサゴングリルを配したフロントをはじめデザインや装備、サスペンションのチューニング等が異なり、それぞれのブランドへの期待に応えるべく巧みにつくり分けられている。

販売方法もソルテラはサブスクではない。装備について、もちろんソルテラにないものもあるが、違いを挙げると、例えばシートヒーターについてフロントではヒーターの配された面積が大きくなっているほか、リヤシートヒーターの設定があるのもソルテラのみ。AWD車ならパドルシフトを駆使して回生の強さを任意に選べるのもソルテラの特権だ。

インストルメントパネル

特徴は三つ。まずはフードのないパネルをハイマウントしたメーター。高い位置として視認性が向上。ふたつめはスバル初採用となる横長の大型センターディスプレイ。三つめはダイヤル式のシフトセレクターだ。

走りの仕上がりはそつがなく、いたって乗りやすい。運転環境は独特で、メーターがステアリングホイールの上に配されていることで視線が自然に遠くなり、視線移動が少なくて済む。適度に高いアイポイントにより見晴らしもよい一方で、操縦感覚は見た目の印象ほど重心の高そうな感覚もない。モーターおよびバッテリーは共通で、モーター出力はAWDが前後に80kWずつで、FWDが150kWとなり、バッテリー総電力量はいずれも71.4kWhとなっている。

居住性

静かでなめらかな走りはBEVなればこそ。リニアなレスポンスで十分に力強いながらも、乗員や駆動系に負荷を与えなよう、加速の立ち上がりはマイルドにされているようだが、それぐらいが公道で普通に乗るにはちょうどよい。足まわりの味付けはトヨタ版と異なり、はっきりわかる性格の違いがある。

より快適志向で万人向けのトヨタ版に対し、ソルテラは走り志向で、乗り心地には多少の硬さはあるものの、姿勢変化が小さく動きに一体感があり、ハンドリングが俊敏でしっかりとした手応えもある。全体的にスポーティでありながら、長めのホイールベースも効いて安定性にも優れる。

うれしい装備

充電時に挿したコネクターはロックされ、勝手に抜かれないように対策されている。ロック解除はドア解錠ボタンで行なう。
新規デビュー          22年5月12日発表
月間販売台数              29台(22年10月〜12月平均値)
WLTCモード充電走行距離     567km  

ラゲッジルーム

悪路走破性についても、「X-MODE」だけでなく、新たに車両を安定させながら一定速度での走行が可能な「グリップコントロール」が設定されたのもポイントだ。兄弟車ともども完成度が高い中でもしっかりとつくり分けられていて、スバルのコダワリがヒシヒシと伝わってくるあたりも興味深い。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。

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