おかえり! ワークス、待望の復活【連載|スズキ・アルトワークスを語り尽くす】

15年の沈黙を破り5代目スズキ・アルトワークスが帰ってきた|Dr.SUZUKIのワークス歴史講座_Vol.7

アルトワークスのカタログと広報資料メモ
2015年12月に15年ぶりの復活を果たしたアルトワークス。現行の5代目だ
2015年12月24日、アルトでのワークスの名が復活。4代目の販売終了から15年余り、突如5代目ワークスが発表され、その日から早くも5年以上が経った。ここで改めてスズキが5代目に籠めた(もう、あえて“籠めた”を使いたい!)WORKSの魂を見ていこう。
人気連載・週刊【スズキ・アルトワークスを語り尽くす】。ワークスを語り始めたら終わらない(?!)スズキ博士の “ワークスの歴史” を繙く連載、第7回。

TEXT / PHOTO:スズキ博士(Dr. SUZUKI)
スズキ・アルトワークスの脚周りの写真

希望と懸念の平成10年新規格移行! 4代目スズキ・アルトワークス|Dr.SUZUKIのワークス歴史講座_Vol.6

1998(平成10)年10月施行の軽自動車の規格改定により、ボディサイズが全長+100mm、全幅+80mmとひとまわり大きくできるようになった。各社は98年10月初旬、一斉にニューモデルを投入。アルトワークスも、マッチョな1台に仕上げられた。4代目となる新RS/Zの登場である。 人気連載・週刊【スズキ・アルトワークスを語り尽くす】。ワークスを語り始めたら終わらない(?!)スズキ博士の “ワークスの歴史” を繙く連載、第6回。 TEXT / PHOTO:スズキ博士(Dr. SUZUKI)

5代目の個性は新しいワークスの基軸

アルト ワークスが5ドアで帰ってきた!

スズキ車RSの法則?!

アルトツインカム12RS → 初代ワークス
初代ワゴンR RS → 初代ワゴンR RR
5ドア・スイフトRS → HT81Sスイフトスポーツ
スイフト特別仕様車RS → ZC32Sスイフトスポーツ

ワークス復活はスズキ車RSネームの法則か。RSの名がつくカーモデルのあとには、必ずといえるほど1台くる。アルトターボRSのアルト+ターボ+RSとワードが揃えば、初代ワークスの例からして尚更だった? スポーティモデル、アルトターボRSの登場から10ヵ月後の2015年12月24日、5代目ワークスが発表された。4代目の販売終了から15年余り、再びワークスの歴史が幕を開けた。

「しかし、ベース車のアルトターボRSとの違いはなんだ!?」発表会で一見した印象である。アルトターボRS発売の際には、俺は顔つきに初代ワークス風のキリっと感を見た。でも、アルトターボRSのフロントグリルに、開いていた部分を埋めるようにつくWORKSエンブレム。随分と強引な仕立てだなぁ……などと、ブツブツいう間もなく「おっ、新生ワークスだ」。

俺は、あっさりと暗示にかかった。

5ドアのワークスは4代目からの継承

持論だが、ワークスの原点から、ボディは3ドアであるべきだ。しかしながら5代目36ワークスは、5ドアで現れた。数字の並びはいいものの折角の復活なのに、どうして3ドアでの堂々登場ではないのか。すでにアルト系のボディには、3ドアが並んでいないかった。無いものはない。俺としては、3ドアで帰ってきてほしかった。メーカーだって叶うなら3ドアで出したかった、と推察している。いつかはHT81Sスイフトスポーツの如く、3ドア車を期待したい。

話を戻すと、以前にも5ドアのワークスは存在した。4代目最終型のieがソレ。5代目への流れでは一応、バトンが渡った格好だ。ちなみに『軽のボンネットバンで5ドア』は、スズキが先駆けである。

当初は4グレードをラインアップ

5代目ワークスの車両型式はHA36S。ワークスの歴史では、3代目までは車両型式がFF、フルタイム4WDで区分されていた。それが4代目から同一になった。
さらに5代目は、RS/Z等のグレード名がつかない。ややこしいのは、アルトターボRSも車両型式がHA36S。以下、5代目を36ワークスと記し、ターボRSは名のとおり書く。

駆動形式の設定は先代までと同様、FFとフルタイム4WDの二本柱になる。トランスミッションは目玉として、ターボRSには未設定の5MTが登場した。当然、ターボRSを受け継ぐ2ペダル式5MTの5AGSもある。当初は2×2の組み合わせから4グレードが存在したが、20年10月のアルト一部変更時にFFの5AGSは消滅している。ニーズなどから構成を再編したらしい。

当初はFF、フルタイム4WDそれぞれに5MTと5AGSを用意。登場時点での車両価格は150万9840円~161万7840円。販売が終了したターボRSが129万3840円~141万5880円

ターボRSにはない、ワークス専用装備

ワークス名復活の理由。顔の雰囲気は初代へのオマージュなのか。そういう話題より、俺の興味はこの1台にどうWORKSが籠められたか、のみだった。
前出のとおり、ベース車両はターボRS。発表会で明かされた専用チューニングの主は、以下である。

〇エンジン系:サーモスタット/専用制御プログラムECU/WORKSロゴ入りメーター
〇駆動系:クロスミッションの5速MT/専用変速マップの5AGS
〇サスペンション系:専用ショックアブソーバー/専用15×5.0Jアルミホイール/専用制御マップの電動パワーステアリング/赤色フロントブレーキキャリパー
〇内外装:専用レカロ製シート/ブラックメッキヘッドランプ/WORKSロゴのカーボン調フロントバンパーアッパーガーニッシュ/ドアミラー、バンパーガーニッシユ、スポイラー類の塗装色/WORKSサイドデカールとリヤエンブレム等
○ボディ関連、エンジン本体などはターボRSと一緒。

いよいよ連載も後半戦。次回からは細部を見ていこう。

ターボRSとの外観の違いはヘッドランプ、バンパーガーニッシュ、スポイラー、ドアミラー等の塗装色。アルミホイールのデザインと色。グリルガーニッシュの追加とボディデカール類
現行5代目/HA36Sアルト ワークス 2015年12月~
仕様・諸元(一部)

 駆動方式:2WD(FF)
     :フルタイム4WD
 型式(FF):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~)
   (4WD):DBA-HA36S(2015年12月~2020年10月)/4BA-HA36S(2020年10月~)
 エンジン:R06A型DOHC4バルブ直列3気筒インタークーラー付きターボ
 ボア×ストローク:64.0mm×68.2mm
 総排気量:658cc
 トランスミッション:5MT/5AGS
 全長×全幅×全高:3395mm×1475mm×1500mm 
 ホイールベース:2460mm
 トレッド:フロント1295mm/リヤ1300mm(4WD 1290mm)
 車両重量:2WD 5MT 670㎏/2WD 5AGS 690㎏/4WD 5MT 720㎏/4WD 5AGS 740㎏の間隔調整?
 乗車定員:4名
 タイヤ:165/55R15
 車両規格:平成10年10月施行 現行新規格
 ※各数値はHA36S初期モデルを掲載。2WD(FF)の5AGSは新車販売を終了
現行スズキ・アルトワークスのカタログ

軽くて速い、スズキ・アルトワークス|Dr.SUZUKIのワークス歴史講座_Vol.8

現行の5代目アルトワークスが販売されて早5年以上。ターボRS、そして36ワークスが完成したのも、優れたアルト系のプラットフォームがあってこそだ。今回はそのボディの骨格となる各部の特徴と、それが36ワークスのキャラクターにどう活かされているのかを探っていこう。 人気連載・週刊【スズキ・アルトワークスを語り尽くす】。ワークスを語り始めたら終わらない(?!)スズキ博士の “ワークスの歴史” を繙く連載、第8回。 TEXT / PHOTO:スズキ博士(Dr. SUZUKI)

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著者プロフィール

スズキ 博士 近影

スズキ 博士

当時の愛車、初代ミラターボTR-XXで初代ワークスと競って完敗。機会よく2代目ワークスに乗りかえ、軽自動…