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俊敏で滑らかな走りが好印象 先進安全装備の充実ぶりも◎
日産が開発し、三菱が生産を担い、いち早く世に送り出された軽自動車規格のBEVは、その先見性や利便性が高く評価されて、2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したことはご存じのことだろう。
エクステリア
日産版はガソリン車のデイズと内外装をまるっきりつくり分けたのに対し、三菱版は車名や外見からもわかるとおり、eKクロスの一員としてラインナップされた点が大きく異なる。内外装デザインはほぼ共通で、eKクロスならではのSUVテイストのスタイリングながら、クリーンなイメージをアピールする専用のボディカラーも設定されている。
乗降性
インパネまわりではシフトセレクターの位置や形状、エアコンの操作パネルやパーキングブレーキのスイッチなどがガソリン車と差別化されている。収納スペースが非常に充実しているのは変わらない。価格差は54万円あまりと小さくないが、上級の「P」にはシートヒーター類やインパネ中央に充電スポットの検索も可能な9インチWXGAディスプレイを備えたスマートフォン連携カーナビが標準装備されるほか、オプションで新設の自動パーキング機能が選べる点が「G」との大きな違いとなる。
インストルメントパネル
走りの要となるモーターは、日産のノートe-POWER 4WDのリヤにも用いられているMM48型を軽自動車の自主規制値に収まるよう出力を調整して搭載している。駆動用バッテリーもリーフのものを流用しているが、冷媒を用いて温度管理している点が新しい。車両重量はガソリン車と比べて200㎏ほど重いものの、最大トルクが一般的な軽自動車のターボエンジンの倍近くあるので十分に力強く、モーターの強みでレスポンスも俊敏で走りは至って滑らかだ。
居住性
駆動用バッテリーを車体の中央寄りの低い位置に搭載するため、重心が低く前後重量配分に優れることは、操縦安定性の良さにも表れている。シャシーについて、増加した車両重量への対応や限られたスペースに諸々をレイアウトするためにリヤの足まわりがガソリン車の4WDと同じ3リンク式とされている。また、重量配分がガソリン車と変わることにより直進安定性を確保するため、電動パワステのチューニングを最適化したという。
うれしい装備
月間販売台数 725台(22年7月〜12月平均値) 現行型発表 22年5月 WLTCモード電費 124kh/km
ラゲッジルーム
一充電のWLTCモード走行距離が180㎞というのは意見の分かれるところだが、軽自動車本来の姿である日常の足として使うなら十分と感じた人が少なくないことは、好調な受注でも明らかだ。一方で、電動パワートレインを得たことで、先進運転支援装備も軽自動車としては望外に充実している。
軽自動車らしく小回りが利く上に、完成度の高い駐車支援機能まで搭載していることも強調しておこう。さらにはすでにV2HやV2Lにも対応しており、eKクロスらしくアウトドアユースでの移動電源として使うことができるのも魅力だ。知れば知るほど軽自動車とEVというのは、実はかなり相性が良いのだ、と毎日使うほどにありがたみを実感できるクルマである。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。