爽快な走りと環境性能の両立は初代から受け継ぐ伝統「ホンダ・シビック e:HEV」【最新国産新型車 車種別解説 HONDA CIVIC e:HEV】

21年にフルモデルチェンジしたシビックに、22年追加されたハイブリッドモデル「ホンダ シビックe:HEV」。多くの走行シチュエーションでは駆動をモーターが行なうシステムを搭載しているため、アクセル操作の反応が機敏で、加速も滑らか。最大トルクはガソリンエンジンの3.0ℓに匹敵する。ボディ剛性も向上し、長距離の乗車も疲れにくい安心感を提供している。
REPORT:渡辺陽一郎(本文)/小林秀雄/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:平野 陽/中野孝次 MODEL:花乃衣美優

ハイブリッドでも走りの楽しさを存分に味わえる

現行シビックのガソリン車は2021年に発売されたが、ハイブリッドのe:HEVは22年に追加された。直噴式の2.0ℓエンジンは高速巡航時以外で主に発電を受け持ち、多くの場面では駆動はモーターが行なう。22年11月に発表されたZR-Vも同じシステムを搭載する。

エクステリア

基本的なパッケージングはガソリン車と共通だが、「e:HEV」はフロントグリルやドアモールディングをグロスブラック仕上げとするほか、ブルーのエンブレムや専用形状のリヤバンパーガーニッシュを採用する。最小回転半径は5.7m。

通常の駆動はモーターが行なうから、動力特性は電気自動車に近い。モーターはアクセル操作に対する反応が機敏で、速度を即座に上昇させる。加速も滑らかだ。モーターの最高出力は184㎰、最大トルクは315Nmで、動力性能はガソリンエンジだと3.0ℓに匹敵する。それなのに運転中は、モーター駆動をほとんど意識させない。

その理由はe:HEVのエンジン制御にある。e:HEVのエンジンは発電機を作動させるが、アクセルペダルを深く踏むと、エンジン回転数が上下しながら速度を高めていく。まるで有段式ATのようだ。スポーツモードでは、車内のスピーカーから音を出すアクティブサウンドコントロールも作動するから、有段ATの感覚が一層盛り上がる。

乗降性

その代わり、演出のために発電用エンジンの回転数をアクセルペダルの踏み方や速度上昇に応じて上下させると、燃費効率が下がってしまう。制御が行き過ぎている印象も受けたが、これこそホンダが大切にするe:HEVの個性なのだろう。ちなみにホンダは、40年までに、ハイブリッドを含めてエンジンを全廃する方針を打ち出した。

しかしシビックe:HEVを運転すると、ホンダのエンジンに対する深い愛情が伝わってくる。残された時間が限られているため、エンジンの存在を強調しているのか、あるいは今後のホンダからはエンジンを意識させるような新しい電気自動車が登場するのか。シビックのe:HEVはホンダの現状を反映させた特別なハイブリッドだと感じた。

インストルメントパネル

エアコン送風口をハニカムメッシュグリルで覆うなど、機能部品の存在感を消すことでクリーンさを演出。一方で、9.0インチのディスプレイは視認性も操作性も良い位置にマウントするなど使いやすさも追求。

e:HEVで高速道路を巡航するときは燃費効率を高めるため、エンジンがタイヤを直接駆動することもある。シビックのe:HEVは、直噴式エンジンの採用で低回転域の出力を高めたから、直接駆動できる範囲も広がった。負荷が少し増えても、モーター駆動に移らずに直接駆動を保てるから、高速巡航時の燃費効率を向上できたのだ。

居住性

加えて走行安定性にも注目したい。低重心のボディは各部の剛性も高められ、ステアリングを回し始めたときから、車両の向きが正確に変わる。前輪のグリップ力に余裕があり、峠道でも旋回軌跡を拡大させにくい。そして最も感心したのは、後輪の接地性が高いことだ。

危険を避けるために下りカーブで減速を強いられても、後輪の安定性が削がれにくいのでドライバーは安心して対処できる。後輪がしっかりと接地するから高速道路での直進安定性も優れ、長距離移動時も疲れにくく安全だ。

うれしい装備

標準装備されるホンダのコネクテッド技術「Honda CONNECT」には、車内Wi-Fiの機能も備わる。自宅のようなネット環境の下、動画視聴やゲームを楽しめる。通信量はアプリや会員サイトからも購入が可能。
追加モデル          22年6月3日
月間販売台                327台(7月~12月平均値)
WLTCモード燃費            24.2km/l 

ラゲッジルーム

乗り心地は、18インチタイヤの採用もあって低速域では硬めだが、適度な引き締まり感が伴うから不快ではない。ハッチバックボディだから、後席に座ると後輪が路上を転がるときに発するノイズが少し耳障りだが、これを感じるのも走行音が全般的に小さいからだ。優れた走行性能と環境性能の両立は、初代モデルから受け継がれるシビックの本質といえるだろう。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。

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