新星スバル・クロストレックは本気の新型SUV。独自のモチーフが施されたディテールにも注目!

スバルのSUVラインナップの末弟的ポジションとなる新型クロストレックは、実質的にはXVの後継モデルといえる。これまでXVのローンチは、インプレッサに次ぐことが多かった。実際、見た目やハードウェアからもわかるように、XVはインプレッサスポーツの派生車種だから、そうした順番は自然といえた。しかし、新型クロストレックはインプレッサに先行してフルモデルチェンジを発表。プロトタイプの細部には、クロストレックが完全に独立したモデルと示すディテールを見つけることができた。
REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:/中野幸次(NAKANO Koji)

インプレッサの派生車種ではないのだよ!

近年のスバル・ブランドは、本気の走りにも応えてくれるクロスオーバーSUVが充実していることで市場での存在感を増しているという印象が強い。そしてスバルSUV三兄弟といえば、長男がレガシィアウトバック、次男がフォレスター、そして末っ子がSUBARU XVというのが従来のラインナップだった。

2022年9月15日、末弟であるXVの後継モデルというべき「クロストレック」が世界初公開となった。もともとクロストレックというのは北米向けXVにつけられていた名前である。グローバル統一ネームにするという意味合いもあるだろうが、日本仕様の改名というのは従来のポジショニングを変えたいという意思を感じさせる。

新型クロストレックのハードウェアは基本的にキャリーオーバーといえるが、全体的にブラッシュアップされている。

これまでXVの位置づけというのはインプレッサの派生モデルといえるものだった。実際、現行モデルでいうとインプレッサのフルモデルチェンジが2016年10月で、XVは2017年4月にフルモデルチェンジを発表している。半年以上のタイムラグがあったのだ。

しかし、今回プロトタイプを取材している限り、インプレッサの「イ」の字も出てこなかった。スバルの開発リソースを考えると、新型クロストレックと次期インプレッサの共通パーツがゼロになるとは思えないが、インプレッサの派生モデルというイメージのあるXVからクロストレックに改名したことには、強い意思を感じてしまう。

クロストレックを描いたテクスチャーが個性をアピール

いきなりディテールにフォーカスした話をすれば、テールゲートを開けただけで、クロストレック専用に作り込まれているであろう部分を確認することができた。それが、開口部にある山脈をモチーフにしたテクスチャーで、そこにはクロストレックのサイドビューをアイコン化した模様も確認できる。こうしたテクスチャーは後席脇のサイドシルプレートにも施されているが、いずれもクロストレック専用パーツと考えられる。

テールゲートの開口部には、大自然のなかをクロストレックが駆け抜けるようなテクスチャーが施される。
ルーフレールへアクセスする際にステップとして利用できるプレートのテクスチャーは滑り止め機能も持たせたもの。

ルックスでいっても、SUVらしい雰囲気を強めるフェンダー部分に装着されたクラッディングには操安性につながるエア・アウトレットが備わっている。SUVのムードを高めるだけでなく、まごうことなき機能パーツであり、こうした部分もクロストレックのオリジナリティにつながっていると感じさせる。フェンダーアーチだけでなく、前後バンパーなどにも樹脂のガーニッシュを積極的に使っている点もクロストレックの個性をわかりやすく演出しているといえるだろう。

上級グレードのタイヤが225/55R18サイズ。撮影車の銘柄はファルケン・ジークスZE001A A/Sだった。
フロントバンパーの樹脂ガーニッシュはボディに食い込むようなイメージでデザインされている。17インチタイヤの銘柄はヨコハマ・ジオランダーG91だった。

オフロード性能を高めるX-MODEは2種類を設定

スバルのSUVシリーズに、おなじみの機能といえば「X-MODE」。電子制御によって、スバル独自のシンメトリカルAWDの性能を引き上げるというもので、新型クロストレックにおいても『SNOW/DIRT』と『DEEP SNOW/MUD』という2つの選択肢があることが確認できた。11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイ上部に大きく表示されることもあって、直感的に操作できるのも好印象。X-MODEは飾りの機能ではなく、必要なシチュエーションで積極的に使ってほしいというスバルの本気を感じるUIとなっている。

X-MODEには、SNOW/DIRTととDEEP SNOW/MUDという2つのモードから選ぶことができる。
最低地上高は200mmを確保していると発表された。

ワンランク上のハードウェアを感じさせる部分多し

インテリアの便利機能でいえば前後に用意される充電用USBがほんのり光るようになっているのは、高級感を感じさせる演出だ。アイサイトの衝突被害軽減ブレーキ性能を高めるために採用された電動ブースターはレヴォーグなどの上級モデルでも採用されたもので、ボディサイズこそ従来通りのコンパクトさをキープしているが、ハードウェア的にはワンランク上のモデルへと進化しているのが、新型クロストレックといえるだろう。

正式発表は2023年春ということで、公道で新型クロストレックに出会えるのは少々先のことになるだろうが、はたして走り味においても従来のXVに対してどこまでアドバンテージを持っているのか、期待が高まる一台といえそうだ。

USBコネクター部分は、ほんのり光るようになっており、夜間にも使いやすそうだ。
SUBARUクロストレック上級グレード(プロトタイプ参考値)
全長×全幅×全高:44805×1800×1580mm
ホイールベース:2670mm
車両重量:1620kg
排気量:2.0L
エンジン:水平対向4気筒DOHCガソリン直噴
駆動方式:AWD
トランスミッション:CVT
タイヤサイズ:225/55R18
乗車定員:5名

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…