スバル・クロストレックは北米でどれくらい売れている? ライバルホンダHR-Vとの攻防は?

スバル・クロストレックを知っているか? 北米でどれくらい売れている? ライバルHR-Vとの攻防は?

2023年モデルの価格が発表されたことで話題のスバル・クロストレック。アメリカでは人気モデルと言われても、日本人にはあまりピンとこないのも事実。そこでアメリカでの販売統計を調べてみたところ、想像以上の売り上げをスバルにもたらす超優等生であることがわかったぞ!

REPORT:小林秀雄

6月9日にアメリカで2023年モデルの価格が発表されたスバルの「クロストレック」。日本で言うところの「XV」と同じコンパクトSUVだが、クロストレックには日本のXVに設定されている1.6L車がない代わりに、2.5Lの水平対向ガソリン車がラインナップされている。さらに2.0Lハイブリッド車にはカリフォルニア州の厳しい規制に対応するためのプラグインハイブリッド車も用意されている。

販売価格が発表された2023年モデルのスバル・クロストレック。北米スバルにとってはフォレスターとアウトバックに肉薄する販売台数を稼ぎ出す重要モデルである。

そんなクロストレック、じつはアメリカのサブコンパクトSUVのセールスをリードする存在であり、スバルにとって欠くことのできない重要なモデルでもあるのだ。特にスバル・グローバル・プラットフォームを採用した現行モデルが登場してからの躍進は目覚ましい。では、いったいどれくらい売れているのか統計データを見ていこう。

アメリカで現行クロストレックが発売されたのは2017年(2018年モデル)。それまでの従来型も好評で着実に販売台数を伸ばし続けていたが、新旧両方の台数が合算されている17年の年間販売台数は11万138台と、初めて10万台の大台を突破した。それからは18年に14万4384台、19年に13万1152台、20年に11万9716台、21年に12万7466台と、コンスタントに10万台オーバーを記録。直近の22年第1四半期も3万7463台を売り上げ、前年同時期から6%アップという好成績を収めている。

発売当初の2018年モデルがこちら。ほとんど変わらないように見えるが20年にマイナーチェンジが実施されている。

ちなみに日本の統計と比較するため、試しに自販連のサイトで18年のデータを開いてみたところ、ブランド通称名別ランキングにはXVの名前は見当たらず、スバルで最も売れたモデルはインプレッサの5万4194台となっている。軽自動車を除いて年間で最も売れた日産ノートでさえ13万6324台と、その年のクロストレックの販売台数に及ばない。これはクロストレックがすごいというより、いかにアメリカの市場規模が大きいかを実感させられるデータだ。

では、アメリカでクロストレックと販売台数を競っているライバル車は何かというと、これまた日本車であるホンダのHR-Vだ。日本で言うところのヴェゼルだが、日本仕様の現行モデルではなく旧型が継続して販売されている。4月に新型が発表されたことでも話題だが、なぜか現行HR-Vはここに来て販売台数を伸ばしており、21年はクロストレックを上回る13万7090台を売り上げた。

HR-Vは前年の販売台数が8万4027台に過ぎず、商品性に大きな変更があったわけでもないのに、クロストレックを追い抜くほどの急激な伸び率を実現したのは、ちょっと不自然。勝手な憶測だが、全米各地のディーラーで在庫処分の投げ売りセールがなされたのではと考えたくもなってしまう。

発売以来ずっと10万台超えを実現してきた現行クロストレックと、新型の登場が秒読み段階にあるHR-Vは、真のライバル関係にあるのか。その答えは新型HR-Vが登場した後のデータを注視していく必要があるだろう。

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小林秀雄

大正から昭和初期の文豪の如き不健康な風貌ながら、趣味は草野球とサーフィンというわかりにくい男。編集…