新型プリウスのパワートレーンは、出力大幅アップで燃費は従来通り(つまりメチャメチャいい)の優れもの

新型プリウス(プロトタイプ)の2.0L E-Four
新型トヨタ・プリウスは、デザインだけでなくパワートレーンも大きく進化している。従来なかった2.0Lのハイブリッドと従来型の1.8Lハイブリッドの二本立て。どちらも従来並みの燃費性能をキープしつつ出力を大幅にアップしている。詳しく見ていこう。
TEXT:世良耕太(SERA Kota)PHOTO:平野 陽(HIRANO Akio)/Toyota

第5世代1.8Lハイブリッド 14.4%の高出力化

5世代目となる新型プリウスのパワートレーンを整理していこう(PHEVを除く)。先代は1.8Lハイブリッドのみの設定で、2WD(FF)と4WD(E-Four)の設定があった。システム最高出力は90kW(122ps)だった。

新型プリウスは1.8Lハイブリッドと2.0Lハイブリッドの二本立てだ。それぞれに2WD(FF)と4WD(E-Four)の設定がある。2.0Lハイブリッドは「新しい」と想像がつくが、1.8Lハイブリッドも進化している。先代プリウスが搭載していた1.8Lハイブリッドが第4世代なのに対し、新型プリウスは第5世代だ。これまで、トヨタのハイブリッドシステムはプリウスのモデルチェンジに合わせて進化してきたが、第5世代はすでに、2022年1月にモデルチェンジしたノア/ヴォクシーに投入されている。

新型プリウス(プロトタイプ)1.8L E-Fourの走り

第5世代1.8Lハイブリッドのシステム最高出力は103kW(140ps)で、第4世代に対し14.4%の高出力化を果たしている。搭載するエンジンは第4世代と同じで、2ZR-FXE型の直列4気筒自然吸気だ。ハイブリッドトランスアクスルに搭載する駆動用モーターの出力は従来型より大きく向上させつつ、大幅な軽量化を実現。電動車専用の超低粘度オイルを採用し、燃費向上に寄与している。

バッテリーの直流電流をモーター駆動のための交流電流に変換したり、その逆を行なったり、バッテリー電圧を昇圧する機能を内蔵するパワーコントロールユニット(PCU)も第5世代で新しくなった。モーターの出力増に合わせて電流値は上がっているが、損失は29%低減。「キーン」という高周波ノイズを人に聞こえない周波数域まで上げ、静粛性を高めたのも特徴だ。

リチウムイオンバッテリーは新開発のセルを採用することにより出力を15%向上。アッセンブリー構造を刷新することで、大幅な小型化を実現している。新型プリウスの1.8Lハイブリッドは、バッテリーの容量(セル数)も含めてノア/ヴォクシーの1.8Lハイブリッドと基本的に同じだ。

新旧プリウス パワートレーン比較

前型プリウスの1.8L THSⅡ

第5世代2.0Lハイブリッド 先代1.8Lハイブリッド比で1.6倍

新型プリウスの2.0Lシリーズパラレルハイブリッド(THSとは呼ばなくなった)

第5世代2.0Lハイブリッドは、国内では新型プリウスが初めて搭載する。初出しは欧州版カローラクロスで、プリウスよりひと足早く、2022年秋に販売が始まっている。エンジンはM20A-FXS型の直列4気筒自然吸気だ。世界トップレベルの熱効率41%を実現したエンジンで、国内では第4世代ハイブリッドのレクサスUX250hに搭載されている。

M20A-FXS型2.0L直列4気筒DOHCエンジンを搭載する。
M20A-FXS型2.0L直列4気筒DOHC(欧州カローラクロスのスペック)
形式:直列4気筒DOHC+THSⅡ
型式:M20A-FXS
排気量:1986cc
ボア×ストローク:80.5mm×97.6mm
圧縮比:14.0
最高出力:154ps(112kW)/6000rpm
最大トルク:190Nm/4400-5200rpm
燃料供給:DI+PFI
燃料:レギュラー

2.0Lハイブリッドのシステム最高出力は144kW(196ps)。先代1.8Lハイブリッド比で1.6倍だ。トヨタは「1.6倍の高出力を実現しつつ、従来型同等レベルの低燃費を両立」と説明している。先代プリウスのWLTCモード燃費は27.2〜32.1km/L(2WD)だった。新型はどうか。まもなく発表されるはずの詳細なスペックを心待ちにしたい。

2.0Lハイブリッドは1.8Lハイブリッドよりも高出力の駆動用および発電用モーターを搭載。モーターの高出力化に合わせてリチウムイオンバッテリーのセル数を増やしている(バッテリー出力が向上するし、発電や回生したエネルギーを蓄えるための容量も増える)。

E-Fourも新しくなった。やはり、ノア/ヴォクシーで投入された新システムとなっており、最高出力は従来比5.6倍の30kW(41ps)となっている。雪道など低ミュー路での走破性を確保するだけでなく、安定した旋回性能を実現するのが狙いだ。

ハイブリッドのロゴマークも新型で変更になっている。

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著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…