想像以上! メルセデスの最上級BEV、EQS 「インテリジェント」を突き詰めた「エンターテインメント」な新技術

メルセデスAMG EQS 53 4MATIC+ 車両本体価格:2372万円
メルセデス・ベンツの電気自動車(BEV)のブランド「EQ」の最上級モデルがEQSだ。文字通り「SクラスのBEV版」という位置づけだ。EQSには、現在考え得る最新最高の技術が惜しげもなく投入されている。どんな技術か?体験してみた。
TEXT & PHOTO:世良耕太(SERA Kota)

EQSの室内の空気は驚くほど清浄

メルセデスEQS450+ 車両価格1578万円

メルセデス・ベンツ初のラグジュアリー電気自動車(BEV)、EQSは最新の技術が満載だ。主だった技術を紹介していこう。EQSでメルセデス・ベンツ初採用となるのが、エナジャイジングエアコントロールプラスと呼ぶ空気清浄システムだ。EQSはBEVのためエンジンを搭載する必要がなく、ボンネットフード下に空間的な余裕が生まれた。そのため、高機能な空気清浄システムを搭載することが可能になったのだろう。

ボンネットフードは基本的にサービス工場でのみ開閉が可能だが、特別に開けて見せてもらうと、スペースのかなりの部分を、汚染物質を除去する大型のHEPA(High Efficiency Particulate Filter)フィルターが占めているのがわかる(その両サイドに、アルミダイキャスト製の、いかにも局所剛性が高そうなサスペンショントップが見える)。

ボンネットフードは、通常開けない前提。サービス工場で開ける(つまり、ユーザーの日々のメインテナンスはボンネット内ですることがない)中央に見えるのがエアフィルターだ。
HEPAフィルターのサイズはA2サイズ
この説明を見ると、EQSの車内の空気の清浄度は、車外よりも格段に高いことがわかる。

フィルターのサイズは596×412×40mmでA2用紙とほぼ同じ。A4用紙約4枚分だ。約600gの活性炭の使用と室内側のフィルターにより、不快な臭いを低減。微細粉塵フィルターの吸着面積はサッカー場約150面に相当し、PM2.5~PM0.3クラスの微粒子を含め、粒子状物質を最大99.65%以上除去する能力を有するという。また、ウイルスの捕集機能も持ち合わせている。EQSは車内外の空気の状況をモニターしており、状況に応じて外気導入/車内循環を自動で切り換える。室内の空気の汚れ具合は、MBUXハイパースクリーンのセンターディスプレイで確認することが可能だ。

MBUXもさらなる新体験へ

MBUXハイパースクリーンは、AMG EQS53は標準、EQS 450+はオプション(デジタルインテリアパッケージ)。ディスプレイは、メーター内が12.3インチ、センターが17.7インチ、助手席が12.3インチ。

MBUXハイパースクリーンは助手席ディスプレイが新しい。ダッシュボード全体(横幅141cm)がガラス張りで、運転席の目の前には12.3インチの液晶ディスプレイがはめ込まれ、センターには17.7インチの有機ELディスプレイ、助手席ディスプレイも有機ELでサイズは12.3インチだ。センターと助手席側はタッチ操作式で、触感フィードバックを採用している。

助手席ディスプレイはBluetoothヘッドフォン(イヤホン)を利用するなど、一定の条件を満たせば走行中でもテレビを除く動画コンテンツ、すなわちUSBメモリーに保存した動画やWebブラウザー、テザリングした状態でのYouTubeなどが利用可能だ。「助手席の人がひとりの世界に入ってしまうけど、車内のムードとしてはどうなの?」という懸念もあろうが、ここでは技術の紹介に留めておくことにする。

ドライバーが助手席ディスプレイに視線を飛ばすと、車内のカメラがそれを検知し、助手席ディスプレイを自動的に減光して見えなくする。安全性を担保するためだが、そうなると、助手席側の住人から「こっち見るな!」と強い言葉を浴びせられそうな気がしてならない……。

MBUXハイパースクリーンに表示される高精細な3Dマップはもはや、情報表示の枠を超えてエンターテインメントだ。助手席に座って地図を眺める行為が単純に楽しい。目的地を設定した際のドライブでは、ARナビゲーションが体験できる。ARナビゲーションは拡張現実(AR)技術を搭載したナビゲーションのことで、車載カメラで捉えた現実の映像上に、進む方向の矢印などを表示する。

EクラスやSクラスなど、既存のエンジン車で既出の技術だが、最新技術を満載したEQSとの親和性はとくに高いと感じた。新鮮だし、実際、便利だ。ARヘッドアップディスプレイを標準装備するメルセデスAMG EQS 53 4MATIC+ではARナビゲーションの情報をフロントガラス上に表示できるため、センターディスプレイへの視線移動の必要がなく、より使い勝手がいい(メルセデス・ベンツEQS 450+にはオプション設定)。

「EQSは極めてインテリジェントなクルマ」で、多くの感知能力を備えており、距離や速度、加速度、照明の状態、降水量、気温、シート着座の有無、ドライバーの瞬きや乗員の発話などの情報から、MBUX(Mercedes Benz User Experience)はユーザーに先回りして適切な機能を適切なタイミングでディスプレイに表示する。

もはや「エンターテインメント」なエナジャイジングコンフォート

新しい自動車体験、エナジャイジングコンフォートはEQSのハイライトのひとつだ。

AMG EQS 53 4MATIC+を試乗して1時間半ほどが経過したところで、エナジャイジングコンフォートを切り換えてみないか、とする旨のメッセージがセンターディスプレイに表示された。日が暮れてきたし、長時間運転しているので、「リフレッシュしては?」という提案なのだろう。

エナジャイジングコンフォートは車内温度、空気清浄、香り、音楽、照明などを切り換えることで、乗員の状態に合わせて最適な車内環境を提供する機能だ(Sクラスなどにも適用)。リフレッシュ、ウォーム、バイタリティ、プレジャー、ウェルビーイング、フォレスト、オーシャンなどのプログラムがあり、バイタリティではサウンドで気分を盛り立ててくれ、ウェルビーイングではシートヒーターと断続的な振動の組み合わせにより、くつろぎ効果を生み出す。

プログラムによって温かみのある照明に変えたり、涼しげな照明にしたり、リラクゼーション効果のある香りを漂わせたり、派手なサウンドを響かせたり、もみほぐし機能が働いたりと、五感を心地良く刺激してくれる。EQSで初搭載した機能ではないが、ARナビゲーションと同様、最新技術満載のEQSとの親和性が高いと感じた。まるで、ラグジュアリーホテルのリラクゼーション施設がクルマに組み込まれたかのよう。ドライバーだけでなく、助手席の乗員も存分に機能を味わえるのが魅力だ。

キーワードで検索する

著者プロフィール

世良耕太 近影

世良耕太

1967年東京生まれ。早稲田大学卒業後、出版社に勤務。編集者・ライターとして自動車、技術、F1をはじめと…