休みの日はプラモデルを作ろう! 本当に誰でも簡単に作れるトヨタC-HRを作ってみた!

簡単に作れると評判のトヨタC-HRのプラモデルに挑戦! 難しいのはシール貼り作業だけだった! | 作ってみよう、自動車プラモ 第1回 | アオシマ 1/32 ザ・スナップキット No.06 トヨタC-HR 編

休みの日は、肩の力を抜いてちょっと自動車のプラモデルを作ってみませんか? 気になる自動車プラモデルをピックアップして実際に組み立ててみましょう。今回はコンパクトSUV市場でヒットを飛ばしたトヨタC-HRの、誰でも簡単に作れるプラモデルを取り上げてみました。

TEXT&MODEL-BUILD◎高橋昌也
(初出2020年4月25日/改題・改稿)
アオシマ 1/32 ザ・スナップキット No.06 トヨタC-HR 定価1650円(税込)

ちょっとしたお休みの日には、自動車プラモデルを作ってみませんか? アオシマ(アオシマ文化教材社)から発売中の『1/32 ザ・スナップキット』という自動車プラモデルのシリーズは、誰でも簡単に組み立てられると好評でしたので、さっそく大手通販サイトで購入してみました。今回、選んだ車種はコンパクトSUV市場でヒットを飛ばしたトヨタC-HRです。

実車の1/32というのは、かつてスロットレーシングカーでメインストリームの一翼を担ったものの、スロットレーシングカーからボディなどを転用して作られたプラモデルを除けば、自動車プラモデルのスケール(縮尺)としては比較的珍しいものです。とは言え、なかなかお手頃なサイズ感であることは間違いありません。

実はこのスケール、現在では走行性能重視のオリジナルマシンが主流になっているため意味合いが薄れたものの、「日本で一番売れている自動車プラモデル」であるタミヤの『ミニ四駆』がシリーズ開始当初に採用したスケールでもあります。
そう考えると、組み立ては接着剤不要、カラーリングは成形色を生かしてシールで各部カラーリングを再現というこのプラモデルの基本コンセプトは『ミニ四駆』にかなり近しく、本格的なスケール・プラモの入門編として『ミニ四駆』あたりからスムーズに移行できる格好の製品と言えるでしょう。何年振りかで「プラモデルを作る」という人にももってこいなので、今回はメーカーの意向(?)を重視して、何も手を加えずに組み立ててみたいと思います。「成功体験」こそが次のプラモデル作りへの最大のモチベーションですから、まずは完成を目指します。
なお、このプラモデルは商品名には『トヨタC-HR』とあるだけですが、詳しく言えばC-HRの前期型、ハイブリッドのGグレードを模型化したものです。トヨタのハイブリッド車はトヨタの“T”の字をデザインしたエンブレムに青い影がついているのが特徴で、大変小さいのですが、このプラモデルのカラーリング用シールでもそれが再現されていますからハイブリッド車であることがわかります。またホイール形状から“G”か“G-T”グレードなのがわかりますが、ハイブリッドなので“G”ですね。

トヨタ C-HR 前期型 実車フロントビュー。
トヨタ C-HR 前期型 実車リヤビュー。

ちなみにこのC-HRのプラモデルには4色のボディカラーがあり、お好みで選べます。今回組み立てたのは「メタルストリームメタリック」ですが、このほか「ホワイトパールクリスタルシャイン」、「ブラックマイカ」、「センシュアルレッドマイカ」があります。もちろんボディカラーとカラーリング用シールの色以外はすべて同じ内容になります。なお、2022年末時点では定価1650円(税込)となっています。

パーツの一体化をはじめとして合理化をはかっているためアッサリした印象を受ける内容物。「これなら作れそうだ」という印象。

組み立てに必要な道具はたったこれだけ!

写真のニッパーはミネシマ『プラニッパー(D-3A)』(希望小売り価格660円・税抜き)。決して高価なものは必要ないが、模型製作用の専用品が望ましい。ピンセットは家にあった200~300円程度のもの。何でも良いがシール貼り作業には、先端が尖っているものが使いやすい。シールを細部に密着させるためのつまようじはコンビニ弁当の箸などに付いてくるもので十分。このほかニッパーの切り跡を整えるカッターナイフや作業時に机などを傷つけないためのカッティングマットなどがあると良い。これらは100均で売っているもので十分。

〇このプラモデルの感心した点

ボディカラーはボディの樹脂成形色で、細部カラーリングはホイルシールで再現しており塗装不要な点は入門者や初心者にとっつきやすい。ただし貼り難い形状のものもあるので、貼り方には工夫が必要かも?

内装はコンソールやドアトリムなどを含めて一体成型で、魚の開きみたいな状態になっている。これを前方および左右から折って壁状に立ち上げると内装が完成。1980年代後半の海外メーカー製自動車プラモデルでこの手法を見たことがあるが、おそらくダイキャストミニカーからのノウハウ移転と思われる。

△このプラモデルでちょっと不満な点

塗装不要をうたっているが、金属や樹脂に塗装した実車ボディの質感を樹脂成形色だけで再現しようというのは、やはり無理があるかも。特にメタリック系カラーの場合はその意が強い。丹念に金型が磨かれていると思われるので光沢は素晴らしいの一言だが…。入門者や初心者はともかくマニアは塗装したくなるのでは?

タイヤはホイールと一体成型だが裏側はくり抜かれていてマニア的には実感を欠いて見えるかもしれない。これはタイヤ形状を保ったままの形で一体成型しようとすると材料の厚みで熱の均等な制御が困難となり、成形収縮時にヒケ(シンクマークとも言う凹状のへこみ、窪み) が発生するのを防止するためで決して手抜きではないが、タイヤのくり抜き部分を埋めるパーツがあればモア・ベターだったか。またトレッド面も彫刻が無いので、トレッドを表現するシールも有ると良かったかも。

C-HRを作ってみた

組み立て説明書に従って作れば、たいして苦労もなく完成させられるでしょう。『ミニ四駆』やアニメのロボット物のプラモデルを作ったことがある人なら恐らく楽勝だと思います。このプラモデルの組み立てのすべてはシール貼り作業にあると言っても過言ではありません。ここがこのプラモデルのハイライトであり最大の難所です。それが何と組み立て順序の一番最初にあります。

シールは細くて複雑な形状のものもありますので、そのまま貼ろうとするのではなく、貼りやすい大きさや長さ、形にカットしてチマチマと貼り進めるのが良いと思います。たとえばウインドモールのような「ロの字」のシールはそのまま貼ろうとすると苦戦しますから、「コの字とIの字」や「Iの字、二の字、Iの字」のように分割して貼るというのもオススメです。この辺は頭の使いどころですね。
また、シールはアルミ蒸着シールで比較的丈夫ではありますが、密着させようとして表面をこすり過ぎるとさすがに破れたり色がハゲたりしますので、やり過ぎには十分に注意してください。完成するとなかなかどうして、C-HRの魅力を手堅く再現したモデルとなります。ぜひトライしてみてください。

■工作の流れ

組み立ての一番最初はボディへのシール貼り。実はこれがこのプラモデル最大のハイライトにして難所。 ピンセットとつまようじを駆使して貼ってやるが、時には貼りやすい形にカットしてから貼るのもオススメ。こすりつけて破ったりしないよう注意したい。

ボディにすべてのシールを貼り終えた状態。実はもうほとんど完成と言ってもいい。

ホイールのスポーク部に貼るシールの例。細く、複雑な形状をしている。場合によっては貼りやすい形にカットしてからチマチマと貼ることも考えておきたい。

苦労してシールを貼り付けると、なかなかいい感じのホイールになってくれる。メッキ調の銀色は塗装での再現は難しいので、アルミ蒸着のシールのメリットが出ている。組み立て説明書にはホイールのパーツを切り離してからシールを貼るよう指示されているが、先にシールを貼った方が安定して作業ができると思う。

一体化された内装パーツを組み立ててシャシーのパーツと合体させればアッという間に下回りは完成。ここも内装パーツ、特にメーターやインパネまわりの加飾を再現したシールを貼るのに苦労するぐらい。

完成したボディを下回りと合体させれば完成。ここまで一切、接着剤は使っていない。

アッという間に完成!

完成したモデルをフロントから見る。C-HRの複雑なボディ形状が上手く再現されている。特筆すべきはボディの光沢感。ここまでピカピカに成形されたプラモデルを見たことがない。

今度は完成したモデルをリヤから。リヤランプもシールを貼ることで再現しているが、透明パーツの上からシールを貼ってしまうのはもったいない気もする。

(初出2020年4月25日/改題・改稿)

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著者プロフィール

高橋 昌也 近影

高橋 昌也

1961年、東京生まれ。早稲田大学卒。モデラー、ゲームデザイナー、企画者、作家、編集者。元・日本冒険小…