進化し続ける、羨望の超国産級スーパースポーツ!「日産 GT-R」【最新スポーツカー 車種別解説 NISSAN GT-R】

22年モデルが公開されると同時に、予定販売台数に即座に達した「日産 GT-R」。GT-Rのために開発され、匠と呼ばれる職人が一基ずつ精密に組み上げるエンジンをはじめ、隙のない「スーパースポーツカー」として誰もが認める存在であることは間違いない。すべてにおいて別格のポジションにあり、さらなる高みを目指し続けている。
REPORT:岡本幸一郎(本文)/工藤貴宏(写真解説) PHOTO:神村 聖 

特別仕様車に奢られた高性能パーツの数々

登場から約15年の間ずっと話題を振りまいてきたGT-Rは、この1年の間にも注目すべき動きがあった。2021年4月にはNISMOの2022年モデルが公開され、6月に受注が始まると、正式に価格が発表される前の7月末時点ですでに予定販売台数の300台を超えるオーダーがあり、関係者を驚かせた。

エクステリア

あまりに強い個性ゆえなのだろう。デビューから15年のときを経た今なおデザインは古さを感じさせず、特別な存在感を放つ。かつてと違いこのモデルは「スカイラインGT-R」ではないが、スカイラインGTの伝統である丸形テールランプを継承する。
GT-Rのために開発され、量産車ではGT-Rだけに搭載されるVR38DETT型エンジン。2007年のデビュー当初は480㎰だった最高出は、幾度もの改良を経て570㎰まで引き上げられている。組み立ては流れ作業ではなく、匠と呼ばれる職人が一基ずつ精密に組み上げる。
「Premium edition T-spec」はブロンズに塗られたレイズ製の専用アルミホイールを履く。スポークが驚くほど細いデザインが印象的で、もちろん鍛造だ。「T-spec」ではリム幅が標準仕様より広いが、これは走行性能を高めるため。ブレーキローターはカーボンセラミック製を奢る。
さすがに大型スーツケースを運ぶのは厳しいが、315ℓのスペースは大人2名の数泊の旅行程度ならツアラーとしての役割を十分に果たす後席なら大型スーツケースも積載可能だ。

そのうちの大半がNACAダクトの付く専用カーボン製エンジンフードやレッドリム加飾を施した専用のレイズ製20インチアルミ鍛造ホイールを装備する44万円高の「Special edition」で、半分以上が凄みのある専用色の「NISMOステルスグレー」を選んだという。さらに、9月には標準の2022年モデルとともに、「Trend Maker」と「Traction Master」を意味する「T」を冠した特別仕様車の「T-spec」が計100台限定で抽選販売された。

インテリア

超高性能モデルながら、開放感も視界も良好で乗るたびに日常での付き合いやすさを実感できる。2017年モデルで大幅な意匠変更を受けたコクピットは、「Premium edition T-spec」だけアルカンターラが貼られてひときわプレミアム感が高まる。
メーターはコンベンショナルなアナログ式。スポーツカーらしく中央は大きなタコメーターで、その下の液晶部にはデジタル速度計も表示できる。
シフトゲートは溝をジグザグに刻んでいる。
MTの設定はなく全車とも2ペダル。

多くの専用装備を纏う中でも、専用にセッティングされたサスペンションをはじめ、NISMO用と同じものをブロンズに塗装した専用のレイズ製アルミ鍛造ホイールや、高価な専用カーボンセラミックブレーキが標準装備される。カーボン製リヤスポイラーや専用エンジンカバーなども特別装備され、内外装にも専用のコーディネーションが施される。ボディカラーにもGT-Rにとっては歴史的な意義のある「ミレニアムジェイド」ら2色の新色が設定されたことも注目された。

乗り心地を追求した究極のストリート仕様

専用の足まわりをもつ「T-spec」の走りは、なかなか印象深い。年を追うごとに乗り心地は改善されたが、それらとも一線を画するもので、路面からの入力の受け止め方がかつてない感覚に仕上がっている。バネ下が軽く、足まわりがよく動いてしなやかにタイヤが路面を捉える。軽快でスムースなスッキリとした回頭性もこれまでのGT-Rにはなかったものだ。すでに十分過ぎるほどだったエンジンフィールについても、2022年モデルにおける変更は特に伝えられていないが、よりパワー感が増えて、低い回転域から伸びやかに吹け上がるようになっている。

2017年モデル以降のパドルシフトはステアリング裏固定式となり、それ以前に比べて小型化。
センターディスプレイには任意で選んだ車両情報を表示する機能が備わる。 
トランスミッション、ショックアブソーバー減衰力、そしてスタビリティコントロールの設定をそれぞれ三段階に変更可能。
「T-spec」のリヤスポイラーはカーボン製の軽量タイプ。

これまでいろいろなバージョンが送り出されてきたR35型の中でも、究極のストリート仕様と認識してよさそうな仕上がりだ。一方のNISMOは逆に、走りに特化した、速さの象徴としてのGT-Rのパフォーマンスを究極的に高めたマシンといえる。600㎰まで引き上げられたVR38DETT型はより瞬発力が増して加速の伸びもさらに高まっている。

応答遅れを排除したダイレクト感のあるハンドリングもNISMOらしい。車速を高めるほどにグリップ感とスタビリティが高まっていくのは、派手なエクステリアパーツも有効に機能してのことに違いない。2022モデルの仕上がりは、今でもGT-Rが進化し続けていることを強調するかのようであった。

Country          Japan
Debut           2007年10月(22年モデル発売:21年9月)
車両本体価格        1082万8400円~1463万6600円

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.143「2022-2023 スポーツカーのすべて」の再構成です。

http://motorfan-newmodel.com/integration/143/

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