同条件で「日産リーフe+(バッテリー容量60kWh)」を用いた場合の理論値は、連続昇降回数1248回(往復)、連続稼働時間44時間48分に
昨今、自然災害が頻発するなかで、その影響で停電が発生した際にも、社会生活を継続できるようにするための対策に注目が集まっている。高層ビル・マンションなどにおいては、停電時にエレベーターなどの共用部設備が使用できなくなる事態を回避するため、非常時電源として蓄電池などを整備する動きが進んでいるが、導入コストなどが課題となっている。
このような背景のもと、日立ビルシステムは、EVの普及により、ビルの非常時電源として活用できる可能性が広がっていくことを見据え、停電時に、EVと建物をつなぐV2X技術により、EVから、エレベーターなどのビル設備に給電を行い、継続利用を可能とするシステムを開発し、実用化に向けて準備を進めている。このたび両社によって実証された実験は以下のとおり。
【今回の実証実験】
●実験目的:電気自動車の電力を利用した給電可能最大時間までのエレベーター動作確認およびエレベーターの実稼働データ計測
●使用車両:軽EV「日産サクラ」(バッテリー容量20kWh、バッテリー残量10%まで外部給電が可能)
●使用エレベーター:日立標準型エレベーター「アーバンエース HF」
●実験環境:6階建ての試験棟に設置されているエレベーターについて、稼働電力をEVからの給電に切り替え、停電時に使用する低速運転モードにて、EVのバッテリー残量が10%となるまで往復運転を実施(1階および6階でドア開閉、実利用を想定した重り搭載)
●測定項目:エレベーターの連続稼働時間および昇降回数、電気自動車のバッテリー残量
【実証実験結果】
実験開始から14時間56分が経過し、エレベーターの連続昇降回数が416回(往復)を数えた時点で、バッテリー残量10%に到達、エレベーターは安全に休止した。この実験により「日産サクラ」からの給電で、約15時間エレベーターを連続稼働させられることを実証。
なお、同条件で「日産リーフe+」(バッテリー容量60kWh)を用いて外部給電が可能なバッテリー残量10%までエレベーターの連続稼働を行った場合の理論値は、連続昇降回数1248回(往復)、連続稼働時間44時間48分となる。