SUVテイストの個性派フェイスが人気の2代目「三菱eKクロス/eKワゴン」【最新軽自動車 車種別解説 MITSUBISHI eK X/eK WAGON】

登場から四年が経過した現在も高い走りと装備内容が評価がされる「三菱eKクロス/eKワゴン」。兄弟車の日産デイズがエアロモデルを用意する一方、eKワゴンは三菱らしいSUVテイストのeKクロスを送り出した。ワイドなルックスは実寸以上に大きな存在感を放ち、インテリアも黒ベースのインパネやステッチなど上質な空間になっている。走りもしなやかな乗り心地ながらも車体の姿勢や操縦性も安定し、そのシャシー性能は高いポテンシャルを表している。
REPORT:岡島裕二(本文)/塚田勝弘(写真解説) PHOTO:中野孝次 MODEL:佐々木萌香

走りは上質で内装装備が充実 シートと荷室の空間効率も◎

三菱は日産との合弁会社で軽自動車を開発しているが、その第一弾となったのが先代eKワゴン。そのときは開発と生産を三菱が行ない、日産は企画やデザインなどを担当した。

エクステリア

eKクロスは、「ダイナミックシールド」と呼ぶフロントマスクの意匠とリヤバンパーのシルバー加飾、ルーフスポイラーなどにより、クロスオーバー色を強調。ルーフレールは、「Premium」にオプション。最小回転半径はグレードにより4.5m〜4.8m。

現行モデルからは開発の主体を日産に変更。走りの評判が芳しくなかった先代に比して走行性能や先進安全装備の内容を大幅に進化させ、発売当時は軽で最も充実した装備内容を誇っていた。そういった経緯もあり、現行型は登場から4年を迎えるが、今でもライバルに負けない装備内容と質の高い走りを備えている。

乗降性

eKワゴンは日産デイズと兄弟車となり、標準車の外観の違いはフロントグリル程度なので両車は似ている。だが、カスタムモデルに関して、デイズはエアロモデルのハイウェイスターを設定するのに対し、三菱はアウトランダーなどと共通のデザイン要素を用いた、SUVテイストのeKクロスを設定。

ワイド感が強調されたeKクロスのスタイリングは実際のサイズよりも大きく見え、軽自動車とは思えない存在感がある。昨年、ほぼ同じスタイリングのEVモデルが追加されたことで、再び注目を集めている。

インストルメントパネル

黒を基調とするeKクロスは、この「プレミアムインテリアパッケージ」を選択するとブラック×タンのツートーンになり、明るさと上質感が増す。エアコンは、「M」を除きオート。

インテリアも日産と共同開発されただけのことはあり、下手な普通車よりも質感が高い。インパネにはステッチ調のデザインが施され、オートエアコンには高級感のあるタッチパネルが採用されている。

シートも前席はクッションが厚く、座り心地が良好。適度にアップライトなシートポジションとなるため、前方の視界も開けている。後席も足元や頭上空間に余裕があるので快適性が高い。荷室は平均的な広さだが、後席は17㎝のスライド機構があり、荷物の量が多いときは荷室側からでも簡単に広さ調整することができる。

居住性

エンジンはeKワゴンが自然吸気だけだが、eKクロスはターボも選ぶことができ、さらに自然吸気とターボの両方にマイルドハイブリッドが搭載される。自然吸気でも街なかではスムーズに走ることができ、エンジンの排気音や振動も抑えられているからターボの必要性は感じないが、高速道路を使ってレジャーにも繰り出したいならターボを選択したい。

さらに言うなら、高速道路を使う機会が多ければ車線維持機能搭載のACCが付く、マイパイロットを選んでおきたい。このマイパイロットは軽のACCの中では精度が高く、長距離ドライブの疲労を軽減してくれる。さらにホールド機能付きの電動パーキングブレーキも装備するので日常的な市街地走行も楽になる。

うれしい装備

床下収納を完備。フロアボード裏のフックを後席ヘッドレストに掛けることでボードを固定できるため、背の高い荷物などを積む際にも重宝する。
月間販売台数    936台(22年7月〜12月平均値)
現行型発表      19年3月(一部改良22年9月)
WLTCモード燃費   23.3km/l ※eKクロス「M」「G」系のFF車

ラゲッジルーム

サスペンションは乗り心地を重視したしなやかな設定だが、カーブでは車体の姿勢を保ってくれるため、安心感が高い。ステアフィールも軽自動車の中では手応えがあり、操舵に対する正確性も高い。eKクロスには急な下り坂で低速を維持して走るヒルディセントコントロールや滑りやすい路面で駆動力を確保するグリップコントロールが装備されているから、少しではあるが悪路走破性も高められている。最近はeKクロスEVの走りの良さに注目が集まっているが、重いEVにも対応できるシャシー性能を備えたガソリン車のeKクロスも見逃せない存在だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.148「2023 軽自動車のすべて」の再構成です。

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