新型ランドクルザー250が「プラド」の名前を捨てた理由とは?日本仕様に電動パワートレインの設定なし?

新型ランドクルーザー250
新型ランドクルーザー250
トヨタが「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」としてプライドをかけて開発している本格オフローダーがランクルこと「ランドクルーザー」だ。そしてランクルは、フラッグシップ、ヘビーデューティー、ライトデューティーと3つのラインナップでの展開となっている。これまで人々の生活と実用を支えるライトデューティーモデルとして親しまれてきたモデルには"プラド"の愛称がつけられてきたが、このたび発表された新型モデルではランドクルーザー250系と呼ばれることになる。はたして、その狙いとは? 公開情報から自動車コラムニストが読み解いてみた。
REPORT:山本晋也(YAMAMOTO Shinya) PHOTO:トヨタ自動車(TOYOTA)

新型ランドクルーザー”250″シリーズが世界初公開された。日本発売は2024年前半予定

世界初公開された新型ランドクルーザー”250″シリーズ。日本での発売は、特別仕様車First Editionを含めて2024年前半予定とアナウンスされている。

トヨタのみならず、日本の、いや世界のオフロード4WDのシンボルともいうべき「ランクル」ブランドの新型ラインナップ”250″シリーズが、日本時間2023年8月2日に世界初公開された。

発売時期については、日本向けは2024年前半の予定と発表されているなど、すぐさま世界市場にデリバリーされるわけではなさそうだが、むしろ全体としてデリバリーに時間がかかっているだけに、はやめに新型をお披露目したといったところだろう。

ご存知にように、ランクルはフラッグシップとして最新メカを採用するステーションワゴン(”300″シリーズ)、生きて帰るというランクル本来の価値を突き詰めたヘビーデューティーモデル(”70″シリーズ)、ランクルらしさに快適性をプラスしつつ生活と実用を支えるライトデューティーモデルの3本柱によって展開されてきた。

今回発表されたのは、ライトデューティーモデルのフルモデルチェンジ。これまで「プラド」のサブネームで親しまれてきたシリーズが250系へと生まれ変わったというわけだ。

左がステーションワゴンの300系、中央がヘビーデューティーモデルの70系、右がライトデューティーモデルの250系。

かつてのプラドは三菱パジェロがライバルだったが…

ヘビーデューティーな70系を乗用テイストに仕上げたのが初代プラド。日本市場での立ち位置はパジェロのライバルといったものだった。

2020年代におけるランクル・プラドといえば、もっともリセールバリューの高いモデルといわれることもあるほど、その価値を認められているオフロード4WDだ。新型モデルにおいてプラドのサブネームを止め、250系としてしまうことには疑問を感じる部分もあるが、プラドというブランドを捨ててしまうだけの価値あるフルモデルチェンジということなのだろう。

ところで、初代プラドが生まれた頃の状況を思い出すと、じつは現在のプラドが持っているほどのブランド力はなかったようにも思える。1989年にフラッグシップシリーズが80系へとフルモデルチェンジしたばかりのランドクルーザー・ファミリーにおいて、1990年に新設されたプラドは廉価版というイメージもあった。

ファンの方からは怒られてしまうかもしれないが、その当時売れに売れていた三菱パジェロを追撃するために、トヨタがヘビーデューティーな70系のハードウェアをベースに、乗用風味に仕立てたモデルが初代プラド…という印象さえあった。

逆にいえば、初代プラドが70系の持つヘビーデューティーさを受け継いでいたからこそ、そのブランド価値は高まっていったのかもしれない。

プラドというブランドを捨てる合理性とは

ランドクルーザーのルーツ、トヨタBJ型の誕生は1951年8月1日。シリーズとして生誕72周年を迎えている。

その後のランドクルーザープラドは90系、120系、150系といったナンバリングで成長していった。ちなみに、フラッグシップであるランドクルーザーは80系の後に100系、200系、300系と進化していったことは言うまでない。

では、ランドクルーザーの新しいライトデューティーモデルが一足飛びに250系となったのには、どんな意味があるのだろうか。

そのヒントは、250系の基本アーキテクチャが、300系と同じGA-Fプラットフォームを採用している点にある。

先ほど、初代プラドの成り立ちを簡単にいえば、70系のアーキテクチャを利用した乗用オフロード4WDという表現をした。そうしたマインドは150系まで続いていたが、新しいランクル250系はフラッグシップのアーキテクチャを、より身近にした中核モデルとして生まれ変わったといえる。

だからこそ、プラドという伝統とブランド力のあるサブネームを止め、250系という呼び名に変えたのではないだろうか。

2つの顔をお披露目。ヘッドランプの交換を前提としたデザイン

プロトタイプは2つのフロントマスクを提示。バイビームLEDの丸目タイプはクラシカルな雰囲気だ。
LED3連ランプによるバージョンは300系の弟分的なイメージが強い。

さて、新型ランドクルーザー250系には、丸目と角目の2種類が用意されることがプロトタイプからわかるポイントのひとつ。

プラドが築いてきたブランド力、そのヘリテージを表現したのが丸目であり、300系とアーキテクチャを共有するフラッグシップの弟分という立ち位置を表現するのが角目といえる。丸目ヘッドランプはバイビームLEDによるもので、角目はPES式とリフレクター式の3連ランプを用意するという。

興味深いのはヘッドランプユニットを容易に交換できる設計にしているということ。数年後にランプユニットを換えることで愛車のイメージをリフレッシュできるという提案は、一台を長く愛することで、トータルでの環境負荷を低減しようという思いも見て取れる。

またバンパーのデザインについても破損しやすいコーナー部分を独立した部品とすることで、交換時の環境負荷を低減するというアイデアも盛り込まれている。

グローバルには5種類のパワートレインを用意する

ランドクルーザー初のハイブリッドを設定する250系だが、日本仕様は4気筒のディーゼルとガソリンになりそうだ。

環境性能として注目したいのは、ランドクルーザー・シリーズとして初めてハイブリッドを設定している点だ。

ガソリン(ターボとNA)とディーゼル、3つのエンジンを設定するが、いずれも4気筒となっているのはプラドからの伝統を感じさせる部分。現時点で価格帯は未公開となっているが、このあたりの設定は『身近なランクル』となっていることが期待できる。

ハイブリッド・パワートレインは、2.4Lターボ「T24A-FTS」と8速ATに薄型モーターを組み合わせたもので、オフロード性能も考慮した電動パワートレインとなっているのが特徴。モーターを含めたシステム最高出力243kW(330PS)、最大トルク630Nmというスペックからもわかるように250系のフラッグシップとなっている。

この2.4Lターボハイブリッドは、現時点では北米および中国市場向けとされているが、日本への導入は“検討中”とのことなので、早期導入に期待したい。

じつは2.8Lディーゼル「1GD-FTV」には48Vマイルドハイブリッドを設定するというが、こちらも豪州や西欧向けであって、日本への導入は難しそうだ。

現時点で、日本向けのランクル250系に搭載されるパワートレインは、2.8Lディーゼル「1GD-FTV」と8速ATを組み合わせたものと、2.7Lガソリンエンジン「2TR-FE」に6速ATを組み合わせたベーシック版の2種類となるとアナウンスされている。

グローバルでのパワートレイン設定に比べて、良品廉価なマインドが強い日本仕様のパワートレインからすると、プラドの名前をそのまま受け継いでもよかったような気もするが、プラドの名前に期待する価格帯を大きく超えてしまっていることが250系へのリネームが示しているというのは考え過ぎだろうか。

新しいランドクルーザー250系において、開発陣は「The Land Cruiser : 質実剛健を追求し、お客様の生活と実用を支え、お客様に信頼されるクルマ」という開発コンセプトを掲げたという。生活と実用を支えるという部分をそのまま理解するのであれば、プラドと同等の価格帯を期待したいものだが……。

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著者プロフィール

山本 晋也 近影

山本 晋也

1969年生まれ。編集者を経て、過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰することをモットーに自動車コ…