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使い勝手や荷室積載性は特筆 2022年10月に「RS」追加
現行型フィットの開発キーワードは「心地よさ」。数値性能にこだわるのをやめ、人の感覚を重視するというコンセプトだ。外観デザインも「一緒にいて心地よい」をテーマにしており、柴犬の愛らしさをイメージしている。ライバル他車がキリッとしたシャープさを表現しているのに対し、フィットがどことなくユーモラスなのはそのせいだ。
エクステリア
内装デザインはスッキリとシンプル。インパネ上面のラインを水平に通し、サイドウインドウ下端のラインも直線化して、それらを定規に見立てて車両感覚をつかみやすくしている。メーターパネルはフル液晶。ソフトウェア次第で表示は自由自在のはずだが、フィットはあえてシンプル化している。初見では「クルマっぽくないなぁ」と感じるが、慣れるとこれが非常に見やすい。
乗降性
特にライバルより優れているのが、使い勝手の多彩さだ。ラゲッジスペースを拡大するとき、ライバルは後席背もたれが前に倒れるだけ。なので大きな段差ができたり、天地寸法がそれほど取れなかったりするが、フィットは背もたれに連動してクッションが沈み込むから、ラゲッジフロアとの間にできる段差が小さいし、天地寸法も他車より50〜100㎜大きく取れる。前後長もたっぷりあり、公式ウェブサイトで車中泊の仕方を案内しているほどだ。しかも自転車も積みやすい。先日、ウェブ記事の企画でロードバイクを積んでみたのだが、前輪を外してサドルを下げたら、後輪は付けたままで縦向きに積めてしまった。僕は身長が181㎝あるのでバイクは大きいし、サドルもあまり下げられないホリゾンタルフレームなので、SUVでも前後輪を外さないと積めないことが多い。フィットの積載性能は、下手なSUVを凌ぐのだ。
インストルメントパネル
しかも後席は座面が後ろ側に跳ね上げられ、できたスペースに背の高い荷物が載せられる。最大室内高は1260㎜。箱物を積む際にはフロアトンネルが邪魔になるが、それでも1100㎜ぐらいの高さは使え、ひとりで運べるサイズの家具や家電製品なら積めそうだ。そんなマルチプレイヤーなフィットは、パワートレインもマルチな設定。1.5ℓ直列4気筒ガソリンエンジン+CVTの組み合わせと、1.5ℓガソリンエンジン+2モーターを組み合わせたハイブリッド仕様〝e:HEV〞を用意する。
居住性
グレード展開は5種類。価格重視の「ベーシック」と、コネクティッド機能やUSBチャージャーなど今時の装備を加えた「ホーム」、16インチタイヤと専用サスをもつ「RS」、大径タイヤでSUVテイストを与えた「クロスター」、本革シートをはじめ充実装備の「リュクス」という布陣だ。「クロスター」は全高が30㎜高い1570㎜となり、「RS」ともども全長が4mを超える。立体駐車場やフェリーの利用頻度が高い人は要注意。駆動方式は「RS」がFFのみとなる以外、4WDも選べる。
うれしい装備
月間販売台数 6573台(22年11月〜23年4月平均値) 現行型発表 20年2月(マインーチェンジ22年10月) WLTCモード燃費 30.2km/l ※「e:HEV BASIC」のFF車
ラゲッジルーム
乗り心地はどのグレードもしなやか系。操舵応答はマイルドながら、ハンドルを切った分だけきっちり曲がる。〝ロードセーリング〞の頭文字を取った「RS」は、引き締まり感があるがレーシーではなく、ほどよいスポーティさが好印象だ。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.150「2023-2024 コンパクトカーのすべて」の再構成です。