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新型N-BOXはコネクテッド性能強化がテーマのひとつ
「日本でもっとも売れているクルマ」ことホンダN-BOXのフルモデルチェンジが話題と注目を集めています。もはや軽自動車という枠を超え、ニッポンの国民車といえる存在だけに、実際に買い替えを検討している現オーナーの方も多いのではないでしょうか。
なにしろ、N-BOXの保有台数(ナンバーをつけている車両の台数)は約220万台。毎年1割の既存オーナーが買い替えただけでも月販2万台近く売れるだけのポテンシャルを持っていることになります。保有台数が多く、さらに商品力が高いゆえに、ホンダの他モデルが影響を受けて思うように売れないという評論も見かけます。
端的にいえば「N-BOXが売れすぎているからフィットが売れない」という意見です。
はたして、新型N-BOXの登場によって、そうした流れは加速するのでしょうか。じつは、新型N-BOXのフルモデルチェンジにおける開発テーマは『総合力をひとつ高い次元へと進化』させることです。軽自動車の”上の次元”といえば、まさにコンパクトカーということですから、N-BOXがフィットを喰ってしまうかどうかは気になるところでしょう。
そして、商品力強化の課題として「コネクテッド」が挙げられています。ホンダ車専用車載通信モジュール「Honda CONNECT」を軽自動車のN-BOXにも搭載するということでしょう。メディア向けに公開された新型N-BOXには「Honda Total Care プレミアム」の機能であるSOSコールボタンも備わっていました。
こうしたコネクテッド機能はフィットには搭載されていますのでコンパクトカーが軽自動車に劣るということはないでしょうが、新型N-BOXの登場によってコネクテッド領域でフィットが持っていたアドバンテージは失われるといえるでしょう。
3代目N-BOXはニッポンのファーストカーを目指す
筆者の個人的な印象かもしれませんが、新型N-BOXの開発陣にヒアリングしていると、「ニッポンのファーストカー」を目指してきたことをヒシヒシと感じます。
自動車メディア的には、グローバルモデルのフィットとのヒエラルキーを考慮したくなりますが、開発陣は純粋に日本のユーザーにとってのベストを追求して新型N-BOXを生み出してきたという印象を受けたのです。
ターゲットユーザーについても、いわゆる30代子育て層を中心としているのは初代から不変ですが、2代目では20代の独身層や60代のシニア層までを意識しているのは知られているところ。さらに新型では、「仲間と楽しむみんなのN」をキーワードにしています。N-BOXとしての価値を磨き、拡げているのが3代目というわけです。
そう考えると、従来ではワイドさを強調していたスタイリングが、新型ではスタンスを効かせたフォルムに変化しているのは、N-BOXがファーストカーを意識していることの証左でしょう。
フィットのエンジン車と価格帯はガチンコになりそう?
では、フィットとN-BOXのどちらが賢い選択になるのでしょうか。
フィットの価格帯はガソリンエンジン車で162万円~232万円、ハイブリッド車で204万円~267万円となっています。いくら軽自動車としては高価なN-BOXといっても、ハイブリッドのようにスターティングプライスが200万円オーバーとなることは考えられません。
先ほど、新型N-BOXがフィットを意識していないであろうと予想できることを書きましたが、国内販売における値付けを考えたときにN-BOXがフィットを明らかに超えた価格をつけることは考えづらいのも事実です。
新型N-BOXについては価格帯が未公表となっているため経済性についての結論を出すのは難しいのですが、現時点での両モデルのリセールバリューを考えると、同じ程度の価格であればN-BOXのほうが経済合理性のある選択といえるかもしれません。