新型は”相棒アコード” 2024年春に日本市場に登場!流麗なスタイリングにコネクティッドが充実!【新型ホンダ・アコード】

新型アコードの日本市場投入が9月21日に発表された。1976年の初代モデル登場から数えて11代目となる新型モデルは、2022年11月に北米で先行発売されているもので、2024年春に日本市場に導入となる。発売に先駆けて2023年12月から先行予約を開始する予定だ。

PHOTO:島崎七生人(Naoto Shimazaki) PHOTO:井上 誠(INOUE Makoto)

40年以上続くアコードの11代目は先進装備が充実

新型ホンダ・アコード

ホンダ・アコードというと、1976年登場の初代の頃から同車をリアルタイムでご存知の世代なら、ちょっと日本車離れした粋なクルマ……そんなイメージをお持ちかもしれない。また当初からグローバル展開が積極的行なわれてきた車種でもあり、輸出は初代から、1982年の2代目からは、当時の日本の自動車メーカーの乗用車として初めて北米での生産を開始。以降、タイ、台湾、イギリス、メキシコ、中国、インドなど世界各国の工場でも生産が行なわれてきた。さらに仕向け地ごとに専用モデルが用意されるなどした経緯も持つ。

そんなアコードの通算11代目が、2024年春に発売予定という。従来型(10代目)は今年1月に終了しており、1年余のブランクを経ての登場となる新型は、すでに北米では市場投入済みのモデルと基本的に共通と考えていい。

新型ホンダ・アコード

先代同様の流麗なファストバックスタイル。

新型ホンダ・アコード

スタイリングは10代目を踏襲したファストバックスタイルで、ボディサイズでは全長が10代目に対して70mmほど伸び、ロングノーズとスリークなシルエット、ノイズレスなボディサイドとロー&ワイドなプロポーションとにより、伸びやかでごく上品な佇まいだ。フロントもディテールが徹底的に整理され、グラデーションがかけられたメッシュパターンのフロントグリルと、デイタイムランニングライト/ポジション/ターンシグナルの3つの機能が与えられたシグニチャーなどで実にクールな表情に。一文字コンビランプを採用したリヤも同様にクリーンな印象をもつ。なおホイールベースは北米仕様のスペックが111.4インチ/2829mmだから、事実上、10代目と同じサイズのはずだ。

フロントグリルはヘッドライトと一体感のある造形。

他方でインテリアは近年のホンダ車の流れを汲んだ、シンプルだが車格感を感じさせるデザイン。CMF(カラー/マテリアル/仕上げ)にもこだわり、加飾部分に微細立体柄の金属調高輝度フィルムを採用したり、アームレスト部などへのソフトマテリアルの採用などが行なわれている。現代的なアンビエントライトも採用する。なお室内から見たときの低く見切りのいいフード、スッキリとした視界、水平基調のベルトラインなどは10代目の良さが引き継がれている。

横一文字に伸びたリヤコンビネーションランプはワイド感を強調。

「Googleビルトイン」を搭載しコネクテッドを強化

水平基調のインパネはスッキリ感のあるデザイン。手に触れる部分にソフトな素材を多く使用することで質感を高めている。

12.3インチHonda CONNECTディスプレイ、10.2インチのバイザーレス液晶メーター、11.5インチ相当の大型ヘッドアップディスプレイも採用。エクスペリエンスセレクションダイヤルは国内のホンダ車では初採用で、1つのダイヤルで複数の機能が操作でき、さらに最大8セットまで操作可能な機能の一括設定が可能なパーソナライズ機能ももつ。

12.3インチHonda CONNECTディスプレイ。
国内のホンダ車では初となるエクスペリエンスセレクションダイヤルを採用。

またこれも国内のホンダ車では初採用の車載向けコネクテッドサービス「Googleビルトイン」の搭載と、最新の全方位安全運転支援システムのHonda SENSING 360を日本向けとして初搭載。これは約100度の有効水平画角をもつフロントセンサーカメラに加えフロントレーダーと各コーナーに計5台のミリ波レーダーを装備することで360度センシングを実現したもの。安全運転支援機能には前方交差車両警報、車線変更時衝突抑制機能、車線変更支援機能が加えられた。

10.2インチのバイザーレス液晶メーター。メーター中央にはナビの経路案内画面を表示することも可能。

なおパワートレインには、2.0L直噴アトキンソンサイクルエンジンと高出力モーターを採用した平行軸の新開発2モーター内蔵電気式CVTを搭載。最大トルクを大きく向上させながら優れた静粛性を実現、e:HEVの上質で爽快な走りに磨きをかけている、という。

日本仕様は2.0L直4ハイブリッドのみラインアップ。

純粋に「いいクルマを作りたい」という想い【開発責任者インタビュー】

新型ホンダ・アコード

ところで11代目新型アコードは、いったいどのようなクルマなのか? 開発責任者の横山尚希さんにお話が伺えたので、以下、ご報告しておきたい。

──ザックリと新型アコードとはどういうクルマですか?
横山さん:アコードは初代から脈々と受け継いできた高い志と確かな技術により、お客様と信頼関係を40年以上に渡って築き上げてきた。11代目では単なる移動の道具ではなく、お客様のより充実した日常や人生の成功に向けて共に歩む存在であることを目指しました。

──具体的にはどういうことをされたのでしょうか?
横山さん:グランドコンセプトを“相棒アコードとより高みへ”とし、とにかくお客様の相棒でありたいと考えました。たとえばパワートレインでいうと、お客様にキチンと寄り添った制御ができるようにした。これまで走りがイマイチだよと思われていたところを、モーターの出力を上げながらお客様の意志に寄り添った走りができるようにした。加速も、少しモタッとしていたところを、エンジンを少し早くかけて出力を立ち上げる。そういう制御を入れています。
──それにしても“相棒”とは、ずいぶん親しげな言葉づかいですね。
横山さん:爽快シビックというとイメージが湧くじゃないですか。相棒と言われると、実は意外と難しい。そこで開発者は各担当エリアごとに相棒とは何か?をシッカリ考え、お客様にとってどうやったら新型アコードが相棒となれるのかを考えて作り上げた。
──それでコンセンサスは得られたのですか?
横山さん:そうですね。グランドコンセプトの意味合いも含め、ベクトルを共有してきたのでクルマとしてチグハグなところはないです。

──今のアコードはかつてのように仕向け地ごとに別のモデルを仕立てる考え方ではないのですか?
横山さん:デザインにしても、基本的なところは大きく変わりません。では日本仕様は何が新しいのか?というと、Googleビルトインが入りながらADSが入ってHonda SENSING 360も入ったこの組み合わせは日本仕様にしかありません。日本に対してのもっともいい装備、仕様を組み合わせながら作っています。

──それにしても発売日に対して、今回のご紹介は随分気が早い気もしますが……。
広報:先行予約を12月に始めますので、先に情報をお出ししたいと考えまして。

アンビエントライトはユーザーの好みの色を選択できる。

──今はアコードはホンダのフラッグシップですよね。スタイルなど、表情はかなりスッキリしましたが、全体のシルエットはドラスティックには変わった印象ではないですが、これはどういう意図からですか?
横山さん:手段はいろいろありますが、ペルソナのアーバンダンディな男性(=開発時に設定されたターゲットカスタマー)の趣味趣向でいうと、服装にしても素材感はいいものだけれど決して華美ではなく、そのなかに自分の好きなブランドをひとつ入れるといった傾向がある。ギラギラしていたり威圧感があるものではなく、シンプルでキチンと風格が出る。新型アコードでいうと、グリルの造形でキラッとセンスが光るものがある……そんな風に考えながら作ってきました。

──初代アコードやリトラクタブルライトのアコード、最初のUSアコードワゴンなど、横山さんのお話のように控えめながらセンスが光るクルマで個人的にも好きでしたが、新型も、大人しすぎることはないですか?
横山さん:それは市場の反応を見てみたいですね。我々としてはお話したような思いで作ってきましたので。

──ユーザーターゲットはエンプティネスターがメインでそれに独身の方も、と?
横山さん:日本でいうと、実際の年齢層でいうと60歳台とか、子育てが終わって、オデッセイのようなミニバンから自分の好きなクルマに乗り換えようとか、もう少し若い40歳台の方に世界観を気に入っていただいて乗っていただけたらいいな、と考えています。

──新型アコードで、横山さんから、ここは!というポイントというとどこですか?
横山さん:ひととおり売りのポイントはありますが、やはり走り。かなり走りがよくなっていますので、お確かめいただきたい。実は今回、パドルの性能が相当に上がっています。前のモデルはパドルを引いても減速度が足りず、フットブレーキを踏むようなシーンがままあった。新型では減速度が2倍くらいに上がっているので、ワインディングを走りながらフットブレーキを使わずにパドルだけで、減速、加速、減速……ができる。私もアメリカでなかり走り込んだのですが、すごく楽しかった。そうした“相棒”に相応しいチューニングを入れていますので、ぜひご体感いただきたいと思います。

18インチのマットブラック切削仕様アルミのイール。

──大人しめのアコードとしてはちょっと意外な魅力ですね。
横山さん:もともとアコードの開発の思いとして、純粋に「いいクルマを作りたい」というのがあった。ではいいクルマとは何か?という時に、我々が考えたのは、次の目的地に向かう時に疲れず、スッキリと気持ちが整って、「よし仕事頑張ろうぜ」と降りた時に思えるような、そういうクルマがいいクルマなんだろうなと。そういう思いが買ってくださるお客様に響いたらいいなと思います。
──いいですねえ。
横山さん:喩えるなら、平均台は幅が10cmくらいしかなく、あの上で演技ができるのは練習を積んできたプロしかいない。そうではなく幅が2倍、3倍あったら、どなたでもそこで演技ができる。要はそういうクルマにしたかった。誰もが扱えて、仮にミスしても、いいよいいよオレが修正するよ……とクルマが言ってくれるような、それぐらいの懐の広いクルマに今度のアコードはなっていると思っています。そういった観点から“相棒”としてお客様に認めていただけたらいいなあと思っています。今日はインタビューだけで歯痒いですけれど、ぜひお確かめください。

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著者プロフィール

島崎 七生人 近影

島崎 七生人

東京都生まれ。大学卒業後、編集制作会社を経てフリーランスに。試乗記であれば眉間にシワを寄せずに、イ…