「タイヤ内発電技術」の進化により、幅広い速度域で電力安定供給に成功。住友ゴムが関西大学との協業で実用化への取り組みを加速

タイヤ内に取り付けた2種類の発電デバイス
住友ゴムでは現在、関西大学・谷弘詞教授と共同で、タイヤの内側に静電気を利用した発電デバイス(エナジーハーベスト※1)を取り付け、タイヤの回転によって電力を発生させる技術開発を行っている。このたび、2種類の発電デバイスを組み合わせることで、幅広い速度域で安定した電力を得ることに成功し、タイヤ内部に設置したTPMS(※2)の稼働を確認した。同社は今後も「タイヤ内発電技術」の進化をさらに加速し、各種デジタルツールの安定稼働を可能にすることで、早期の実用化を目指す。
※1:環境発電。身の回りの使われずに捨てられている、光、振動、熱などのわずかな環境エネルギーを拾い集めて活用する技術
※2:Tire Pressure Monitoring System=タイヤ空気圧監視システム

発電メカニズムの異なる2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになり、実車を用いた実験でも、低速域から高速域まで安定してTPMSの起動が可能なことを確認

発電メカニズムイメージ

これまでの開発では、タイヤの歪みの変化による張力を利用した低速域での発電(発電デバイスA)に成功している(※)。今回の開発では、加速度変化による遠心力を利用する発電デバイス(発電デバイスB)を適切に配置することにより、高速域でも相当量の電力を得ることに成功した。発電メカニズムの異なる2種類の摩擦発電デバイスを並列接続することで、幅広い速度域で安定した電力を得ることができるようになり、実車を用いた実験でも、低速域から高速域まで安定してTPMSの起動が可能なことを確認した。
※タイヤ速度50km/hで発電量800μW以上を確認

発電デバイスによる発電量イメージ

同社は、CASE(※1)やMaaS(※2)などの自動車業界の変革に対応するためのタイヤ技術開発および周辺サービスのコンセプト「スマートタイヤコンセプト」を掲げて、さまざまな技術開発を行っている。そのなかでもタイヤを「センサー」としたソリューションサービスの提供を推進している。このタイヤ内発電技術は、タイヤセンシングの一番の課題であるセンサーデバイスの電池寿命を解決する手段であり、この実現により、タイヤセンシングの実用化を大きく前進させることができると同社は考えている。
※1:「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)」「Electric(電気自動車)」の頭文字をとった造語
※2:MaaS=Mobility as a Service。目的地までのルートや移動手段の検索や予約、決済を一括して行えるサービス

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