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実は全長は短いLM
まずはボディから見てみる。
一目見れば明らかだが、この3車はボディタイプからまったく異なる。
LMはミニバン、センチュリーはセダンタイプとSUVタイプとなっている。
全長はLMが5,125mmで実は一番短い。センチュリーのSUVタイプはLMに対して80mm、同セダンタイプは210mm長い数字となっている。
ホイールベースはLMが3,000mmに対し、センチュリー – SUVは2,950mmとほとんど差はない。センチュリー – セダンが一番長く3,090mmという数字だ。
このあたりは、LMとセンチュリー – SUVがともに新GA-Kプラットフォームを採用している一方で、センチュリー – セダンのプラットフォームはTNGAではなく、4代目レクサスLS(ロングボディ車)用のものをベースに最適化させたものを使用しているという点も影響していそうだ。
全高は当然、ミニバンであるLMが一番高い。17インチホイールで1,945mm、19インチホイールで1,955mmというスペックとなっており、センチュリー – SUVに対して140~150mm、センチュリー – セダンに対しては440~450mm背が高い。車幅はLMが一番狭い1,890mmで、センチュリー – SUVに対して100mm、センチュリー – セダンに対して40mm狭い。
LMは旧型では4座タイプのほかに7座タイプも存在していたが、新型となって現状では4座しか設定がない。
センチュリーはSUVタイプの乗車定員が4名、セダンタイプは5名となっている。
ボディサイズ一覧
LM500h | センチュリー – SUV | センチュリー – セダン | |
全長 | 5,125 mm | 5,205mm | 5,335mm |
全幅 | 1,890 mm | 1,990mm | 1,930mm |
全高 | 1,955 mm(19インチ) 1,945mm(17インチ) | 1,805mm | 1,505mm |
ホイールベース | 3,000 mm | 2,950mm | 3,090mm |
車両重量 | 2,460 kg | 2,570kg | 2,370kg |
定員 | 4名 | 4名 | 5名 |
パワートレインは三者三様
3車ともエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドだが、それぞれ異なるパワートレインを搭載している。
LMは2.4L直列4気筒ターボエンジン、6速ATとモーターを一体化したユニットをフロントに搭載し、リヤに高出力モーター「eAxle」を配置する。
モーターを活用した4輪駆動制御技術「DIRECT4」が採用されており、前後輪のトルク配分を100:0から20:80までの間で制御することで、加速性や操縦安定性はもちろん、低燃費にも貢献している。
2.4L直列4気筒ターボ+ハイブリッドというパワートレインは、LM以外ではレクサスRX500hとトヨタ・クラウンクロスオーバーに採用されているのみ。LMはクラウンクロスオーバーよりも出力面でやや強化されており、システム総最高出力は273kW(371PS)を誇る。
センチュリー – SUVは3.5L V型6気筒エンジンとプラグインハイブリッドシステムの組み合わせ。駆動方式はLMと同様にリヤをモーターで駆動するAWDだ。
エンジン本体のパワーはLMの2.4L直4ターボより低く設定されているが、モーターは前後ユニットともに強力。システム総出力は303kW(412PS)とLMを上回る。
また、プラグインハイブリッド車ということで、日常のなかではEVとしての運用が十分に可能。満充電からのEV走行可能な距離は69kmというスペックだ。
センチュリー – セダンは、5L V型8気筒エンジンを搭載したハイブリッド車。駆動レイアウトはFRで、3車種のなかでは最も伝統的でシンプルなパワートレインだと言える。
出力的には一番パワフル。5L V8エンジンは381PS/52.0kgf・m、モーターは224PS/30.6kgf・m、システム総出力は431PSを誇る。
ちなみに、燃費的にはプラグインハイブリッドのセンチュリー – SUVが最も優秀でWLTCモードで14.2km/L。LMが同13.5km/L、センチュリー – セダンが12.4km/Lというカタログスペックとなっている。
パワートレイン一覧
LM500h | センチュリー – SUV | センチュリー – セダン | |
パワートレイン | 2.4L直列4気筒ターボ+ハイブリッド | 3.5L V6+プラグインハイブリッド | 5L V8+ハイブリッド |
エンジン型式 | T24A-FTS | 2GR-FXS | 2UR-FSE |
エンジン種類 | 2.4L直列4気筒ターボ | 3.5L V型6気筒 | 5L V型8気筒 |
トランスミッション | Direct Shift-6AT | 電気式無段変速機 | 電気式無段変速機 |
駆動方式 | AWD | E-Four Advanced (電気式4輪駆動方式) | 後輪駆動方式 |
エンジン最高出力 | 202kW(275PS) / 6,000rpm | 193kW(262PS)/6,000rpm | 280kW(381PS)/6,200rpm |
エンジン最大トルク | 460N-m(46.9kgf-m) / 2,000-3,000rpm | 335N・m(34.2kgf・m)/4,600rpm | 510N・m(52.0kgf・m)/4,000rpm |
モーター最高出力 フロント/リヤ | 64kW(87PS)/75.9kW(103.2PS) | 134kW(182PS)/80kW(109PS) | 165kW(224PS) |
モーター最大トルク フロント/リヤ | 292N-m(29.8kgf-m)/168.5N-m(17.2kgf-m) | 270N・m(27.5kgf・m)/169N・m(17.2kgf・m) | 300N・m(30.6kgf・m) |
システム最高出力 | 273kW(371PS) | 303kW(412PS) | 317kW(431PS) |
燃費性能(WLTCモード) | 13.5km/L | 14.2km/L | 12.4km/L |
ドライブモードとしては、新しい車種であるセンチュリー – SUVとLMが、センチュリー – セダンにはない「REAR COMFORT」モードが設定されている。
LMでレクサス車としては初採用となったこのREAR CONFORTは、その名の通り後席の快適性を重視したドライブモード。AVS(Adaptive Variable Suspension system=減衰力制御サスペンション)の減衰力特性は後席の乗り心地を優先しつつ、アクセルやブレーキを統合制御することで加減速時の車両姿勢変化がより少なくなるようセッティングされたものだ。
サスペンション型式はLMがマクファーソンストラット(前)/ダブルウィッシュボーン(後)、センチュリー – SUVがマクファーソンストラット(前)/マルチリンク(後)、センチュリー – セダンがマルチリンク(前)/マルチリンク(後)と、3車でそれぞれ異なるが、AVSは全車装備されている。
後部の空間はLMが圧勝か?
ショーファーカーでは後席の快適性が何よりも重要視される。
LMの室内寸法は日本向けにまだ公表されていないが、すでに公開されている画像を見る限り、足元や頭上のスペースはセンチュリーの2台を圧倒していそうだ。
LMの特徴は前後席がパーティションで区切られていること。車内空間を仕切ることにより、後席のパーソナル感とプライバシー性を高めるとともに、車両前部から発生するノイズを低減している。パーティションのガラスは開閉や調光変更が可能で、前後席どちらからでも操作ができるが、後席には作動ロックのボタンが用意されている。
このパーティションには48インチの大型ディスプレイが備えられる。これは左右2画面表示など、複数の表示パターンが設定されている。入力はHDMIなどに対応しており、幅広いシーンで活用可能だ。オーディオシステムは23スピーカーの「Mark Levinson Reference 3D Surround Sound System」が採用されている。
パーティション下部には冷蔵庫も設定される。
また、パーティション上部中央には、後席乗員と周辺温度を検知する「温熱感IRマトリクスセンサー」が備えられている。さらにエアコンやシートポジション、サンシェードなどを統合制御する「リヤクライメイトコンシェルジュ」はレクサス車として初採用され、パッセンジャーの快適性を向上させている。
リアシートはオットマン付きパワーシートでヒーターとベンチレーターも設定。ヒーターはアームレストとオットマンにもついている。シートバックとクッションにはエアブラダー(空気袋)が内蔵され、大腿部から背中までを押圧する機能も持つ。
リヤコンソールには脱着可能なタッチ式のリヤマルチオペレーションパネルも備えられる。これでシートやオーディオ、リヤクライメイトコンシェルジュなどの機能を操作することが可能だ。
センチュリー – SUVは、後席と荷室の間にラゲージルームセパレーターが設置されている。
このクルマでは、11.6インチのディスプレイが左右前席の後部にそれぞれ着くかたちで配置。車内の前後空間を隔てるように設けられたタワーコンソールにはブルーレイディスクプレイヤーなどが格納される。
オーディオシステムは8chオーディオアンプ、18スピーカーの「センチュリープレミアムサウンドシステム」だ。
LMと同じく電動化されたシートはヒーターとベンチレーション、エアブラダーを装備。オットマンにもヒーターがつく。リヤシートは最大77度まで倒すことが可能で、フルリクライニング時では身長190cmの人が足先を伸ばしても前席に触れないスペースが確保されている。
脱着式のリヤマルチオペレーションパネルもLMと同様に装備され、空調やオーディオ、助手席の操作を含むシート操作がこのデバイスから可能だ。
冷蔵庫もメーカーオプションとして設定されており、このクルマでは左右後席に間、通常小物入れになる場所に配置される。
センチュリー – セダンはロングホイールベースであることを活かし、セダンとしては広い空間を確保。シートは内蔵エアブラダーで肩から腰までを押圧するリフレッシュシートとなっており、ヒーターとベンチレーターも備える。
後席は左右ともにパワーリクライニングシートとなっているほか、左側はオットマンも電動化されている。
左右前席に挟まれるように配置されたタワーコンソールには、11.6インチディスプレイのほか、ブルーレイディスクプレイヤーやHDMI端子などを装備。オーディオシステムには12chオーディオアンプ、20スピーカーのトヨタプレミアムサウンドシステムが採用されている。
また、センチュリーは両タイプともにアクティブノイズコントロールを装備。車内に伝わるエンジンのこもり音などを、スピーカーから逆位相の音を発することで打ち消し、静粛性を一段と向上させている。
価格はLMが税込2000万円、センチュリー – SUVが2500万円、センチュリー – SUVが2008万円という設定になっている。