マツダが「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のリース販売開始。ロータリーエンジン、水素、ハイブリッドの3つの技術を融合したプレマシー【今日は何の日?3月25日】

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月25日は、マツダだけが量産化したロータリーエンジンと現在注目の水素エンジン、そしてハイブリッドを組み合わせた「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のリース販売が始まった日だ。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)

ハイドロジェンREをハイブリッド化した先進モデル

2009(平成21)年3月25日、マツダがハイドロジェンRE(水素ロータリーエンジン)とハイブリッドを組み合わせた「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のリース販売を開始。CO₂を排出しない水素の環境性能とREの力強い走り、ハイブリッドによる省エネが狙いだ。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
009年にリース販売が始まった「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」

水素とガソリン両方で走行可能なRX-8ハイドロジェンREを開発

マツダは、1967年発売の「コスモスポーツ」で唯一REを量産化した自動車メーカーだが、古くから水素エンジンの開発にも積極的に取り組んでいる。2006年には、CO₂を排出しない水素を燃料とするREを搭載した水素RE車「マツダRX-8ハイドロジェンRE」のリース販売を開始して注目を集めた。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
2006年にリース販売した「RX-8ハイドロジェンRE」

マツダRX-8ハイドロジェンRE は、RENRSIS REを使って通常のガソリン噴射に加えて、1ローターにつき2本のガスインジェクターを装着し、水素も直接噴射できる“デュアルフューエルシステム”を採用。ガソリンと水素の両方で走行可能で、運転席のスイッチで燃料を切り替えることが可能だ。
航続距離の短い水素エンジンの弱点をガソリンで補うことが狙いで、水素使用時の航続距離は100kmだが、ガソリンを使用すると549kmまで延びる。リース販売先は、主にエネルギー関連企業や広島県などの地方公共団体だった。

ハイドロジェンREを進化させたハイドロジェンREハイブリッドをプレマシーに搭載

マツダは、ハイドロジェンREをさらに進化させ、2009年にプレマシーハイドロジェンREハイブリッドを開発してリース販売を始めた。
プレマシーハイドロジェンREハイブリッドは、RX-8 ハイドロジェンREのように水素REをクルマの動力源として使うのではなく、水素REで発電機を回し発電させてバッテリーを充電し、その電力でモーター走行するシリーズハイブリッドだ。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
「プレマシーハイドロジェンREハイブリッド」のエンジンルーム

RX-8 ハイドロジェンREに比べて、ハイブリッド化の効果によって航続距離は2倍の200kmに延び、最高出力も40%向上して150psを達成。さらに、インテリアには植物由来のカーボンニュートラルな原料から作られた内装材“バイオテックマテリアル”を採用するなど、地球環境に配慮した仕様となっている。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
RENRSIS ロータリーの水素エンジン

プレマシーのハイドロジェンREハイブリッドのリース先は、主にエネルギー関連企業や広島県など地方公共団体である。

さらに進化して、「MX-30ロータリーEV」としてロータリーがついに復活

2003年発売の「RX-8」を最後にロータリーエンジンは市場から消えたが、ついに2023年9月、新型ロータリーエンジンを搭載した「マツダMX-30ロータリーEV」が登場し、現在大きな注目を集めている。

プレマシーハイドロジェンREハイブリッド
2023年9月にデビューしたPHEVのクロスオーバーSUVの「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」

MX-30ロータリーEVは、バッテリーを満充電すれば100km以上のEV走行も可能なPHEVで、高出力モーターとジェネレーターの同軸上に配置されたロータリーエンジンは、駆動用ではなく発電機用エンジンとして使われる。一般的なレシプロエンジンより小型軽量で振動の小さいロータリーエンジンの強みを生かした、マツダらしいPHEVシステムは、ロータリー復活待望論者の期待に応えた形となった。

基本的な考え方は、2009年にリース販売されたプレマシーハイドロジェンREハイブリッドと同じ。15年前にリース販売されたシステムが、バッテリーやモーターなど様々な電動部品や制御技術の進化によって、ついに市販化されるレベルに達したということだ。

ロータリーエンジン、水素エンジン、ハイブリッドを融合させるというマツダでしかできない先進パワートレーンを搭載したプレマシーハイドロジェンREハイブリッドは、リース販売を通してさまざまな課題をフィードバックしながら改良を進めたはず。その成果が、最新モデル「MX-30 e-SKYACTIV R-EV」として結実したのだろう。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

キーワードで検索する

著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…