1980年代を象徴する輸入車を1台選ぶとしたら、卓越したシャープなスタイル、運転スタイルを持つBMW「E30」3シリーズが選ばれるのではないだろうか。またその後のハッチバックブームでは、フォルクスワーゲン(以降VW)の「ゴルフGTi」も人気となりそうだ。BMWには、1970年代に通称「マルニ」(2002ツーリング)と呼ばれるホットハッチが存在したが、GTIの直接のライバルにはなりえなかった。
そこで、アビメレック・デザインは、E30をベースとしたハッチバック「125i」を製作した。VW初代「シロッコ」や「Yugo」などさまざまな車からインプレッションを得たという。ランチア「ベータHPE」にも似ているところがあり、長いホイールベースとファストバックスタイルのリアエンドからは、この仮想「E30 GTi」がホットハッチというより、リフトバックのようにみえるかもしれない。
非常に長いホイールベースは、E30の縦置きエンジンレイアウトによるドアの、フロントホイールアーチとの間隔がぎこちなく見える。だが、たとえE30ほどシャープなボディシルエットではなくともはるかに実用的で、ツーリングワゴンにハッチバックの柔軟性がマッチしており、絶妙なレトロスポーツ感が溢れている。
この仮想「125i」のパワートレインは、BMWが1980年代にE30 「3シリーズ」とE28 「5シリーズ」の両方で使用していた、2.5リットル直列6気筒「M20」エンジンを搭載、最高出力は170psを発揮する。また約7秒で時速60マイル (97 km/h)に達するが、これは当時のどのゴルフ「GTi」よりも優れたパワー、パフォーマンス、シリンダーを備えている。
BMWがE30をハッチ化することを検討していたかどうかはわからないが、この仮想モデルは、BMWファンの記憶を蘇らせる夢のCGと言えそうだ。