ダイハツ「シャレードソシアル」発表、3代目シャレードを4ドアセダン化し99.8万円~【今日は何の日?3月14日】

ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日3月14日は、ダイハツから3代目「シャレード」の派生車である4ドアセダン「シャレードソシアル」が発表された日だ。シャレードは1977年にデビューし、走りと燃費を両立したリッターカーの先駆けとして人気を獲得。ハッチバックのシャレードに、初めて4ドアセダンを投入したのだ。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・ダイハツ 新型シャレードのすべて、RallyPlus

■3代目シャレードベースの4ドアセダン「シャレードソシアル」誕生

1989(平成元)年3月14日、ダイハツは人気のリッターカー「シャレード」の3代目をベースにした4ドアセダン「シャレードソシアル」を発表(発売は4月1日)。3ボックスのセダンにすることで、広い室内空間と荷室空間を確保して、ユーザー層の拡大を目指したのだ。

ダイハツ「シャレードソシアル」
1989年にダイハツ3代目シャレードの派生車としてデビューした4ドアセダン「シャレードソシアル」

世界初の直列3気筒エンジンを搭載したシャレード

ダイハツ「シャレード」
1977年にデビューしたリッターカーの先駆け、ダイハツ「シャレード」

1977年、ダイハツはトヨタとの提携後初のダイハツオリジナルのリッターカー「シャレード」を発売。1.0Lエンジンながら1.3Lクラスの小型車に匹敵する性能と室内空間、軽自動車並みの燃費を達成することを目標に開発された。

コンパクトながら、タイヤを極力隅に追いやり、乗員すべてをホイールベースの中に収めて十分な室内空間を確保。パワートレインは、乗用車としては世界初となる3気筒エンジンの1.0L 直3 SOHCエンジンと4速/5速MTの組み合わせ、駆動方式はFFである。

ダイハツ「シャレード」
1979年~1983年の間、WRCモンテカルロ・ラリーに挑戦したシャレード(RallyPlus誌)

1.0Lエンジンながら、シャレードの車重は630~660kgと非常に軽量だったので、燃費の良さとともに軽快な走りを実現。それを実証するため、海外ラリーに積極的に挑戦し、1981年にはWRCモンテカルロ・ラリーでクラス優勝を飾る活躍を見せた。

軽自動車と当時人気だった1.3~1.5Lクラスのコンパクトカーの中間を埋めるシャレードは、リッターカーの先駆け的なモデルだった。その後、リッターカーとして日産自動車「マーチ」、スズキ「スイフト」、三菱自動車「ミラージュ」など人気モデルが続いた。

スタイリッシュに変貌した3代目シャレード

ダイハツ2代目「シャレード」
1983年にデビューしたダイハツ2代目「シャレード(ターボ)」
ダイハツ2代目「シャレード」
1983年にデビューしたダイハツ2代目「シャレード」

1983年にモデルチェンジでデビューした2代目シャレードは、1.0L直3 SOHCにターボを搭載したターボモデル、さらには乗用車用として世界最小の1.0L直3 SOHCディーゼルモデルを発売して大きな注目を集めた。

ダイハツ3代目「シャレード」
1987年にデビューしたダイハツ3代目「シャレード」

そして、1987年には3代目へ移行。ボディタイプは、これまで通り3ドア/5ドアハッチバックだが、初代や2代目シャレードの直線基調から一転、ボディがやや大きくなって全高を抑えた曲線基調のスタイリッシュなフォルムに変貌した。

ダイハツ3代目「シャレード」
1987年にデビューしたダイハツ3代目「シャレード」

エンジンは、最高出力50ps/55psの1.0L直3 SOHC電子制御キャブレターNAと73psのそのターボ仕様、さらに77psのDOHC EFIターボを加えたガソリンエンジンの4種。一方ディーゼルは、最高出力38psの1.0L直3 SOHC NAと50psの同ターボの2種。トランスミッションは、先代同様4速/5速MTおよび3速ATが組み合わされた。

3代目の最大の特徴は、エアロダイナミクスを追求したスタイリッシュなスタイリングであり、若者からは高い評価を受けて人気を獲得した。

3代目シャレードをセダン化したシャレードソシアル

ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」のリアビュー

シャレードは、初代以来ハッチバックスタイルを続けてきたが、1989年3月のこの日、派生車の4ドアセダン「シャレードソシアル」がデビューした。

ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」のコクピット

3代目ハッチバックのシャレードをベースに、独立したトランクを備えた4ドアセダン化し、315mm延ばした全長はリヤのトランク部分に充てられた。全長4m以下のコンパクトサイズにクラスを超えた大きな室内空間と大きなトランクを備えた新しいコンパクトセダンをアピール。独立したトランクルームを持つ3ボックスのセダンの投入によって、同クラストップの室内空間を確保して、新しいユーザーの開拓を目指したのだ。

ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」のインテリア

エンジンは、最高出力82ps/最大トルク10.6kgmを発揮する1.3L直4 SOHCの電子制御キャブレター仕様だが、その後電子制御噴射EFIが追加された。トランスミッションは、5速MTおよび3速ATが用意され、駆動方式はFFのみ。

ダイハツ「シャレードソシアル」
ダイハツ「シャレードソシアル」

車両価格は、標準グレードで99.8円(5速MT)/104.3万円(3速AT)。当時の大卒初任給は16.4万円程度(現在は約23万円)だったので、単純計算では現在の価値で約140万円/146万円に相当する。

シャレードが人気モデルだっただけにセダンのソシアルも期待されたが、ハッチバックのイメージが強かったためか苦しい販売を強いられ、1994年に2代目ソシアルにバトンタッチして1999年に生産を終えた。

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ハッチバックのイメージが強いと、それをベースにしたセダンはどうしても安直なイメージとなってしまう。ソシアルも、ハッチバックの後部にトランクを取って付けたようなスタイルだと感じたファンも多かったのではないだろうか。
今日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

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著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…