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今日は何の日?■鉛電池のハイゼット電気自動車で満充電110kmを達成

1999(平成11)年4月23日、ダイハツは1998年10月に実施された軽自動車の規格変更に対応した軽ワンボックスバン「ハイゼット電気自動車」を発売した。最高速度は100km/h、満充電時に110kmの走行が可能であり、290万円で官公庁や法人向けに販売された。
古い歴史持つハイゼットとハイゼット電気自動車

1907年に創業したダイハツは、1930年に3輪トラック「HA型」を発売して自動車事業に参入。戦後になって3輪トラックの需要が急速に高まり、これに応えてダイハツは急成長した。

そのような中で1957年8月に超小型のユニークな3輪トラック「ミゼット」を発売。1人乗りで小回りが利いて街中の運送や農家の手足として重宝され、爆発的なヒットを記録した。


そのミゼットの4輪車版として、ダイハツ初の軽4輪として1960年11月に登場したのが、「ハイゼット」だった。当初はボンネットタイプの軽トラで、翌1961年にはバンもデビューして、当時は軽トラや軽バンの需要が高かったことから人気を獲得した。

その後もハイゼットは人気モデルとして進化し続けたが、1968年5月デビューの3代目ハイゼットバンをベースにしたEVを初めて開発し、1970年3月の大阪万博で会場遊覧用EVとして活躍した。1971年9月に登場した4代目ベースの急速充電システム付の「クイックチャージャー式EV」が開発され、1976年4月に開催された大阪国際見本市で展示された。その後も、ハイゼットに適時EVが設定されて少量ながら販売された。
新規格に対応して大きくなった9代目にEVを設定
1998年に安全対応のための軽自動車規格変更に対応して大きくなった9代目「ハイゼット」にも、1999年4月のこの日、EVが設定された。この時点で、ハイゼット電気自動車は官公庁や法人需要を中心に1300台以上を販売しており、EVの販売台数としては業界トップの実績を誇っていた。

新型ハイゼット電気自動車は、タウンビークル(小型モビリティ)EVとして求められる快適性や静粛性、ガソリン車並みの動力性能を持つことを目標に開発された。
モーターは、小型高効率の永久磁石型同期モーター(35kW)を採用。車両重量は1370kgで、0-40km/h加速は6.5秒、最高速度は100km/hに達した。また5%登坂を75km/hで走行できるパワーを持ち、約7時間の満充電で110km(10-15モード)の走行が可能だった。
バッテリーは、補水が不要なシール型鉛電池(容量60Ah、電圧12V)を使用。快適装備としてはエアコンと電動油圧パワーステアリングを標準装備。車両価格は290.0万円で、従来通り官公庁や特定法人への販売が主で、年間100台が販売目標とされた。


ついに量産型EVの「e-ハイゼットカーゴ」と「e-アトレー」がデビュー

40年以上ハイゼットをベースにして電気自動車を開発してきたダイハツが、ついに「ハイゼットカーゴ」、「アトレー」をベース車とした初の量産EV「e-ハイゼットカーゴ」と「e-アトレー」を2026年2月から発売を始めた。

新型EVは、室内スペースを変えることなく、床下に大容量バッテリーを搭載。軽キャブオーバーバンNo.1の積載スペース(e-ハイゼットカーゴ・4シーター)を確保し、使い勝手の良さなど軽商用バンとしての魅力を確保。一方で、EVならでは力強い走行性能と優れた乗り心地、静粛性、軽商用EVバンNo.1の満充電走行距離257km(WLTCモード)が達成された。
電動システムとしては、モーター、インバーター、減速機を一体化したe Axle(イーアクスル)を後輪駆動軸上に搭載して後輪を駆動させるFRレイアウトを採用。また、大容量36.6kWhの安全性が高いリン酸鉄リチウムイオン電池は床下に配置することで、従来のガソリン車よりも低重心となり、操縦安定性が向上して荷崩れなども防ぐことができる。
また、走行時でも使えるAC100Vで最大消費電力の合計が1500W以下の電気製品が使用可能なアクセサリーコンセントを装備。加えて災害時などで電力が必要な時は、車両の走行機能を停止した状態で給電ができる非常時給電システムも搭載された。
車両価格は、「e-ハイゼットカーゴ」が314.6万円、「e-アトレー」が346.5万円に設定された。
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比較的短距離走行の軽商用車はEVに向いているように思えるが、一方で何よりも低価格であることが重視される軽商用車では、EV化の敷居が高いのかもしれない。
今日がなにかの記念日になるかもしれない。





