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四輪操舵DRSを標準装備 よりパワフルなRSも追加
2022年7月、異例の4車種ファミリーとして登場した新型クラウン。ただ、そのときに発売されたのはクロスオーバー(以下、CO)だけで、そこから1年以上が経過してから、第2波ともいうべきスポーツとセダンが発売となった。ちなみに、残るエステートは今春予定とか。
エクステリア
同じクラウンでも、COとその他3車種の発売時期が大きくズレたのは、当初はCOだけの計画で16代目クラウンの開発がスタートしたからだという。昨今の「セダン離れ」を受けてCOに生まれ変わることにしたクラウンだったが、それが形になりはじめると「やっぱりセダンもいけるのでは?」との意見が出て、さらには「どうせ複数車種をやるなら、スポーツもエステートも」と、最終的には4つのクラウンを同時開発することになったのだそうだ。その中でも、クラウンスポーツはファミリー随一のスポーティなデザインと走りがツボだ。土台はCOと共通のGA-Kプラットフォームだが、上屋は欧州スーパースポーツブランドのSUVを思わせる肉感的なハッチバックとなる。特に強烈な抑揚がつけられたドアからリヤフェンダーにかけた曲面のプレスには非常に苦労したという。インテリアデザインは基本的にCOと共通だが、「RS」専用に用意される黒と赤のコーディネートは鮮烈である。
乗降性
ホイールベースはCO比で80㎜短く、さらに前後オーバーハングも削られており、全長はCOより210㎜も短い。一方で全幅は40㎜幅広く、明らかに回頭性重視のショート&ワイドなディメンションとなっている。さらに、標準装備される四輪操舵「DRS」も、低速域の逆位相はより強く、高速域の同位相は弱く……と、俊敏性を強調する専用セッティングになっている。
インストルメントパネル
パワートレインは車種ごとにラインナップを変えるのが新型クラウン流。スポーツの場合は、COと共通の2.5ℓシリーズパラレルハイブリッド(グレード名は「Z」)と、ハリアーなどに続く2.5ℓプラグインハイブリッド(同じく「RS」)という2種類を用意する。CO同様、どちらもリヤモーター式の4WDだ。
居住性
この原稿を書いている23年12月下旬時点で、筆者が試乗できているのは穏当な乗り味(のはず)のZのみだが、その巨体に似合わず、まるでホットハッチのように俊敏なハンドリングが印象的だ。ロールもほとんどしない。固定減衰ダンパーもあってか、全体に硬質な肌ざわりだが、路面からの衝撃はきれいに丸められている。これは高いボディ剛性のおかげだろう。見た目の割に車両感覚は良好で、さらにDRSのおかげで、市街地でも意外なほど小回りが利くのは素直にありがたい。
うれしい装備
追加モデルデビュー 23年10月6日 月間販売台数 1860台(23年11月) WLTCモード燃費 21.3km/ℓ※SPORT Z(HEV)
ラゲッジルーム
RSの試乗経験をもつ同業者によれば、Zより明らかにパワフルで、乗り心地もより良好という。2t超の車重はお世辞にも軽いとはいえないが、標準装備される可変ダンパーのNAVI AI AVSやフロント6ポットという強力なブレーキが奢られていることもあり、その重さを感じさせることは少ない。そんな走りに加えて、日本車とは思えない迫力満点の後ろ姿は、ドイツ御三家などの輸入車乗りも、ちょっと心惹かれるのではないか。
※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.156「2024 最新国産新型車のすべて」の再構成です。