革新のスタイリング! 挑戦の歴史はクラウンのアイデンティティ 【最新国産新型車 車種別解説 TOYOTA CROWN】

新しい息吹が吹き込まれた「トヨタ・クラウン」。第一弾の「クロスオーバー」モデルはセダンとSUVを融合させたスタイリング。エクステリアのデザインをZ世代デザイナーが担当。クーペライクなシルエットと大径タイヤは、力強さと洗練された美しさを見せる。インテリアはすべてのシートでスペシャルな乗り心地と使い勝手の良さが光る。
REPORT:世良耕太(本文)/小林秀雄(写真解説) PHOTO:神村 聖 MODEL:佐々木萌香

第1弾はクロスオーバー 見た目も中身も全面刷新

クラウンクロスオーバーは16代目となる新型クラウンの第1弾で、セダンとSUVを融合させたパッケージをもつ。新型クラウンはほかにスポーツ、セダン、エステートが準備されており、2023年以降に順次登場する予定だ。新型はひと目でわかるように、かつてのクラウンのイメージを断ち切った新しいデザインを採用したのが特徴だ。コンセプトはずばり、「革新と挑戦」である。

エクステリア

追ってセダン、エステート、スポーツ(ハッチバック)も発売される予定の新型クラウン。第一弾として登場したクロスオーバーは、クーペライクなシルエットと力強いリフトアップスタイルを融合した。最小回転半径は5.4m。

エクステリアデザインを担当したのは、俗に言うZ世代の若手デザイナーだ。開発過程ではアイデアスケッチをベースに発泡スチロールを粗く削って塊感やサイズ感を確認し、「自分たちが乗ってみたいクラウンとはどんな形なのか」検討を重ねたという。

クーペライクのシルエットや左右一直線につながるヘッドランプにテールランプも新型クラウンを特徴づけるポイントだが、最大の特徴は大径タイヤを採用したこと。クラウンクラスでは外径670〜690㎜が標準的だが、新型クラウンは740㎜とした。ホイールは21インチだ( 19インチの設定もある)。大径タイヤの採用により、量感のあるボディながら、踏ん張り感のある力強いスタイルが実現している。

乗降性

インテリアは操作スイッチを水平方向に集約し、どの席からでも直感的に操作できる機能的なレイアウトとした。インパネからドアにかけてはひと続きのラインで構成し、包み込むような雰囲気を演出。後席も含め、テーマは「全席特等席」だ。前後席とも、かがみ込むでもなく、乗り上がるでもない、乗り降りしやすいシート高さとしたのが特徴。

加えて、ドア開口部とフロアの段差が小さく、足の出し入れがしやすい。シフトレバーの前方にはワイヤレス充電機能が付いたスマートフォンの置き場がある。寝かせて置くのが一般的だが、クラウンの場合はカップホルダーに収納するドリンクボトルのように立てて置くタイプ(一部グレードに標準)で非常に使いやすい。

インストルメントパネル

グレード別設定の12.3インチディスプレイオーディオをメーターと水平配置したシンプルなデザインを採用。温かみのある金属加飾を用いることで、過度に飾り立てず大人っぽい雰囲気を演出している。

従来のクラウンはパワートレインを縦置きに搭載していたが、新型は横置きに搭載する。プラットフォームはハリアーなどで適用例のあるGA-Kをベースに最適化。リヤサスペンションはダブルウイッシュボーン式からマルチリンク式に変更した。

居住性

クラウンクロスオーバーは全車、リヤに高出力のモーターを搭載する4WDとなる。リヤサスペンションの形式変更は、モーターの大きな出力を受け止めるためだ。DRSと呼ぶ後輪操舵システムを適用しているのも特徴で、低速域の軽快感と高速域のどっしり感を実現し、小回り性の高さ(最小回転半径5.4m)を実現している。DRSが印象的なのは、わざとらしさがないことだ。

うれしい装備

車名に“Advanced”が付くグレードはハンズフリーパワートランクリッドを装備。手が塞がっていても足でトランクを開閉できる。
フルモデルチェンジ      22年7月15日発表
月間販売台数             2210台(22年9月〜12月平均値)
WLTCモード燃費           22.4km/l ※2.5l HV車 

ラゲッジルーム

パワートレインは2種類。効率を重視した2.5ℓハイブリッドと、走りを重視した新開発の2.4ℓターボハイブリッドがある。前者は「新時代のフラッグシップ」を標榜するにふさわしい、上質で快適な走りを約束する。思わず数字を二度見してしまうほどの好燃費も魅力だ。

一方、システム最高出力257 kW (349㎰)を誇る2.4ℓターボハイブリッドは、力強さを活かしたゆとりのある走りが身上。荒馬かと思いきや拍子抜けするほどにジェントルで、ペースを上げても上質さを失わず、狙ったラインを澄まし顔でクリアする懐の深さが持ち味だ。

※本稿は、モーターファン別冊 ニューモデル速報 統括シリーズ Vol.147「2023 国産新型車のすべて」の再構成です。

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