MADE IN USAだけがカスタムカーじゃない!
HCSにエントリーしたDOMESTICとVWたち

MOONEYESが主催する『33rd YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW』(以下、HCS)は、年末に開催される国内最大規模のカスタムカー&カスタムバイクのインドアショーだ。2025年は12月7日(日)に催され、盛況のうちに幕を閉じた。HCSの会場で目立つのは、HOTRODを中心にLOW RIDER、DRAG RACER、TRUCKIN’、STREET VANなど、車種・年式・ジャンルを問わず、さまざまなMADE IN USAのマシンがエントリーする。

『33rd YOKOHAMA HOT ROD CUSTOM SHOW』

そのいっぽうでアメリカンカスタムの世界でDOMESTICと呼ばれる日本車やカスタムVWのエントリーもある。今回はそのようなアメリカ製以外のマシンを中心に紹介して行こう。

DOMESTICの中でも目立ちまくり!?
アメリカンカスタムと痛車が融合した240Z

DOMESTICで目立つのは、旧車をベースにしたカスタムカーとMINI TRUCKと呼ばれる車両だ。2001年に公開された映画『ワイルド・スピード』(原題:The Fast & Furious)によって世界的な人気となった「スポコン」ことSPORT COMPACTはすでにブームは去ったようで、今回のHCSではエントリー車両をほとんど見かけなかった。

TVアニメ『2.5次元の誘惑』の天使空挺隊のキャラクターが車体に描かれたダットサン240Z。オーナーはチェリーボーイ殿下。

旧車ベースのカスタムマシンで何よりも目を引いたのは、1972年型ダットサン240Z。それも痛車である。日米問わず人気の240Zをベースに、TVアニメ『2.5次元の誘惑』の天使空挺隊のキャラクターがカウルフードと左右に大きく描かれている。

エンジンフードにはTVアニメ『2.5次元の誘惑』の天使空挺隊のキャラクター全員が描かれている。

しかも、純正色に近いグランプリマルーンにメタリックフレークを加えた塗装面とフィルムとの断面がない。すなわち、キャラクターのフィルムを貼った後で、上からクリアをペイントしているのだろう。

右ドアに描かれたリリエル。
左ドアにはミリエラの姿が描かれていた。

外装の仕上がりも見事なのだが、もちろんカスタムカーとしての完成度も高い。エンジンはL24型直列6気筒SOHCエンジンをボアアップして2.8L化するとともに、アメリカンカスタムの定番のエンジンルームのシェイブドベイ化によって普段見えないところにもこだわりを感じさせる。また、ローダウン化した足まわりにはファットなタイヤとディープドリムのTE37を組み合わせ、さらにはカーボン製のオーバーフェンダーやテールスポイラーで武装している。

パワーユニットはL24型直列6気筒SOHCを2.8Lへとスープアップするなど、チューニングにも手ぬかりはない。

純然たるアメリカンカスタムと言えるかどうかは定かではないが、外国人が「COOL!」と思わず声をあげる痛車でありながら、そのカスタム手法にはところどころにアメリカンテイストが加えられており、つまるところ日米モーターカルチャーの巧みな融合とも言える。残念ながらアワードに輝くことはなかったが、綺羅星の如きカスタムカーが並ぶHCSの会場にあって、その存在は決して他のマシンに負けてはいなかった。あるいは、本場アメリカのショーであったなら、そのエキゾチックなカスタムが評価されて受賞と相なったかもしれない。

心臓部をGRヤリスの3気筒エンジンにスワップしたダディモーターワークスの日産ブルーバード(510型)。
ダディモーターワークスの日産ブルーバードのリヤビュー。ダディモーターワークスの日産ブルーバードのリヤビュー。ローダウンした足まわりにBBS製の大径ホイール以外はほぼストックの状態をとどめている。

ほかにも旧車ベースのDOMESTICには、ダディモーターワークスが制作したGRヤリスの3気筒エンジンにスワップした日産ブルーバード(510型)や、「Best K-Car」アワードを受賞したHashimoto RacingのスバルR2、鮮やかなゴールドイエローのフレーク塗装で、小さなボディながらも会場でも目立っていた日吉台チョッパーズの1978年型ジムニー(SJ10)など、ユニークかつ魅力的なマシンがエントリーしていた。

「Best K-Car」アワードを受賞したHashimoto RacingのスバルR2。
Hashimoto RacingのスバルR2のリヤビュー。

根強いファンに支えられ国産車ベースのMINI TRUCKは元気いっぱい

DOMESTICで昔から人気のジャンルといえばMINI TRUCKである。昨今、北米では日本から中古並行で輸入された軽貨物車が爆発的な人気をよんでおり、彼の国では日本製の軽トラもMINI TRUCKと呼ぶようになったが、もともとはフォードF-150やシボレー・シルバラード、ダッジ・ラムなどのフルサイズトラックに比べてふた回り以上小さいトヨタ・ハイラックスやダットサン・トラックのカスタムトラックのことを指していた。

「Best Mini Truck」のアワードに輝いたContinental Kingsの1991年型マツダB2600iキャブプラス。日本ではプロシードの名で販売されたMINI TRUCKに徹底的にカスタムを施したマシン。

1980~1990年代には日本でもベース車が安価に手に入るということで人気となったが、トラックのほとんどがキャブオーバーへと移行し、日本車のラインナップからピックアップトラックが消え、さらに追い打ちをかけるようにNOx・PM法が施行されたことで大都市圏では維持そのものが難しくなり、カスタムジャンルとしてのMINI TRUCKは下火となった。

Continental Kingsの1991年型マツダB2600iキャブプラスのリヤビュー。ホイールを外し、床面を鏡張りとすることで来場者に普段見えない部分まで見てもらおうと展示にも工夫されていた。

近年、ハイラックスや三菱トライトンなどのピックアップトラックが復活したが、これらはオフロード志向の強い背の高い4WD車なうえ、新車価格が高価なことから、何よりも低いスタンスに価値を置くMINI TRUCKのベースとなることはほぼなく、依然として人気を保っているのが1980~1990年代の日本製のピックアップトラックだ。一時のようなブームは去ったが、現在でも熱烈な愛好家がおり、今回のHCSにもクオリティの高いカスタムマシンが数多くエントリーしていた。

ダットサン・トラック(D22型)。フロントマスクをファントムグリル化することでCOOLなアピアランスに変身を遂げた。
ダットサン・トラック(D22型)のリヤビュー。グランドタッチを可能とするため、後輪をドロップアクスルかし、ベッドには車高を調整するためのエアサスシステムが備わる。

先鋭化の果てに孤高の存在となった空冷VWベースのCal Look

VWのアメリカンカスタムと言えば、Cal Look(キャルルック)に尽きる。この言葉は「California Looker」の略で、1960年代後半にカリフォルニア州オレンジ郡で生まれた西海岸流のコンパクトカーのカスタムのことを指す。

1954年型VWタイプI。

しかしながら、メキシコで最後のVWタイプ1がラインオフしてからすでに20年以上が経過し、空冷VWはクラシックカーとしての価値が高まったこともあって、世界的に中古車価格は上昇しつつある。そのため、本国では空冷VWが以前のように若者が気軽に買える存在でなくなったことから水冷のラビット(ゴルフのアメリカ名)やザ・ビートル、BMWミニ、フィアット500をベースとした西海岸流のカスタムもCal Lookと呼ばれているようだ。

もっとも、日本ではメキシコ製ビートル(通称・メキビー)ですら頑なに認めようとしない原理主義的なファンが多いことから、依然として日本ではそのベースはドイツ製の空冷VWにほぼ限られている。

1954年型VWタイプIのリヤビュー。

もともとアメリカでのCal Lookは、ギャングや犯罪行為と結び付けられがちなLOWRIDERに馴染めなかったチカーノ(メキシコ系)の若者たちから始まった。彼らはフルサイズのセダンがベースとなるLOWRIDERへのアンチテーゼとして、安価な小型大衆車をベースに、ショートパンツやTシャツ、サーフボードなどのビーチファッションが似合う、オシャレで品良く、キュートなカスタムを施したのが始まりだったのだ。

1959年型VWカルマン・ギア。

そんなCal Lookの持つ、西海岸流の明るく、開放的で、健全なイメージは、白人やアジア系の若者をも虜とし、やがては人種の垣根を越えて多くの人々から支持されるようになる。これは人種とカスタムコミュニティが密接に関わるアメリカでは大変珍しいことだ。

1959年型VWカルマン・ギアのリヤビュー。

定番のスタイルは、空冷VWをベースに車体を極彩色にリペイントし、ローダウンした足まわりにEMPI製5本スポークまたは8本スポーク、BRM製スピードウェル、マーレ製ガスバーナーなどの社外ホイールを組み込み、バンパーやサイドトリムを交換または取り外して、メッキパーツを用いつつ、よりスッキリしたルックスにカスタムすることだ。 だが、じつのところ明確な定義がなく、オーナーが「俺の愛車はCal Lookだ!」と主張すればCal Lookとして認められる寛容さがあった。

Gabby’s auto serviceが製作した1964年型VWカルマン・ギアT-34。「Best European」「Pickers Store’s Pick」「Bandung Indonesia」「Street VWs Magazine’s Pick」を受賞した。

日本のCal Lookは1970年代に始まり、1980年代中盤~1990年代初頭にかけて隆盛を極めた。その勢いはすさまじく、1987年3月に大井競馬場で開催された『第1回MOONEYES Street Car Nationals®』ではエントリーの過半数以上をCal Lookの空冷VWが占めたほどだ。

一番人気はビートルやワーゲンバスの空冷VW!『MOONEYES Street Car Nationals』はシトロエンやBMWなどヨーロッパ車も多数エントリー | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

ヨーロッパ車で一番人気だった空冷VWベースのCal Look 2025年5月11日(日)、お台場の青海駐車場にて『MOONEYES Street Car Nationals®』(以下、SCN)が行われた。日本最大規模のカ […]

https://motor-fan.jp/article/1243721/
『37th MOONEYES Street Car Nationals®』にエントリーしたVW。

しかし、日本ではカスタムスタイルの定番化、ファンの閉鎖性と高齢化、さらにはベースとなる中古車の高騰もあって、2000年代に入ると新たなファンを獲得することができなくなり、空冷VWをベースにした保守本流のCal Lookは徐々に下火となってしまう。それと反比例して勢力を伸ばしたのが、Cal Lookの要素を取り入れた軽自動車のカスタムだった。

1963年型VWカルマン・ギア。

そのきっかけを作ったのが「ミニバス」と呼ばれるスバル・サンバーをベースにしたVWバス風のカスタムカー(原理主義的なCal Lookのファンと一部の空冷VW専門店は、このクルマとオーナーに怨念にも似た憎悪をたぎらせ、ときには陰湿な嫌がらせをすることもあったという)で、サンバーの良質な中古車が枯渇してからは、さまざまな車種をベースに軽自動車のカスタムカーが製作されるようになり、現在に至る。

ほぼノーマルのジャガーEタイプ。コンディションは大変良好なようだ。数は少ないが、このような車両もエントリーしていた。

日本ではCal Lookは往時ほどの盛り上がりを見せてはいない。しかし、先鋭化の行き着く果てに日本のCal Lookは世界的に見てもレベルは高い。そのことはパシフィコ横浜に並んだ空冷VWのカスタムマシンを見ても明らかであった。

『38th MOONEYES Street Car Nationals®』にも注目!

『33rd YOKOHAMA HOTROD CUSTOM SHOW』

今回のリポートでアメリカン・カスタムの世界に興味を持たれた方も多いことだろう。そんなみなさんにぜひオススメしたいのが、2026年5月24日にお台場・青海駐車場で開催される『38th MOONEYES Street Car Nationals®』だ。

2026年5月24日、お台場・青海駐車場で開催される『38th MOONEYES Street Car Nationals®』には、HCSのアワード受賞車の展示もある。ぜひみんなで遊びに行こう!

このイベントにはHCSのアワード受賞車をはじめ、HOTROD、LOW RIDER、DRAG RACER、TRUCKIN’、STREET VAN、DOMESTIC、Cal Lookとジャンルの垣根を超えて、魅力的なマシンが1100台も集まる国内有数のビッグイベントなのだ。

昨年のStreet Car Nationalsの様子。アメリカ車はもちろん、DOMESTICやEUROPEANなど、さまざまなカスタムジャンルのマシンが一堂に集結する。

アメリカンカスタムのファンも、そうでない人も、クルマに少しでも興味がある人なら1日楽しめるカーショーである。ぜひ、家族や友人を伴って遊びに行っていただきたい。

参加台数1100台!?『MOONEYES Street car Nationals』は国内最大級のカスタムイベント!アメ車から国産旧車に欧州車も一気に見せます!! | Motor Fan|自動車情報のモーターファン

国内最大級のカスタムカーショーが今年も開催! カスタムカルチャーファンにとっては初夏の風物詩とも言える『MOONEYES Street Car Nationals®』(以下、SCN)が今年も5月11日(日)に開催された。 […]

https://motor-fan.jp/article/784415/
2025年の『37th MOONEYES Street Car Nationals®』イベントレポート。

フォトギャラリー:『33rd HCS』にエントリーしたDOMESTICとVW

なお、ここまでの画像や、本文にはない画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る(41枚)」で見ることができる。どのようなカスタムマシンがエントリーしていたのか、また、当日の雰囲気を画像で楽しんでほしい。

鮮やかなカスタムペイントが人目を引く日吉台チョッパーズの1978年型ジムニー。