「ドブロ」以上「デュカト」未満のミドル商用バン「スクード」

フィアットにはステランティスグループの小型商用バンとしてドブロがラインナップされている。今回、展示されたスクードはそのドブロよりは大きく、フィアットブロが2022年より販売しているデュカトよりはだいぶん小さいというサイズ感。また、ドブロとは異なるプラットフォームを使用している。

フィアットプロ「スクード」

ボディサイズは標準ボディが全長4980mm×全幅1920mm×全高1900mmほど(仕様により異なる)、ロングボディが全長5330mm、ハイルーフ仕様が全高1940mmになるようだ。

フィアットプロ「スクード」

今回展示されたのは「クルーキャブ」で、3名掛け2列シート6名乗車となっている。昨今では珍しい前席も3人掛けのタイプ。キャビンとカーゴルームは完全に仕切られており、窓が設えてある。シートは不可動で、ピックアップトラックに近い感覚だ。本国には一般的にはカーゴルームが独立しておらず、可倒式シートの仕様もあるとか。

フィアットプロ「スクード」のフロントシート。運転席は独立しているが、中央席と助手席は一体型。
フィアットプロ「スクード」のリヤシート。座面とヘッドレストは3座独立だが、シートバックは一体型。

ちなみに本国のラインナップは2名乗車のパネルバン、3名掛け2列シート6名乗車のクルーキャブ、3名掛け3列シート9名乗車のコンビ、2名乗車キャビンのみのプラットフォームキャブがあるが、おそらく日本導入時はクルーキャブがメインになるだろう。

スクードのボディバリエーション

2027年の販売開始を見込んでの今回のお披露目だが、どのような仕様になるのかは全くの未定。今イベントでの来場車の反応を見て進めていきたいと考えているようだ。価格なども全くの未定だが、デュカトが600万円〜という価格設定なので、それよりは確実に安くせざるを得ない。

フィアットプロ「スクード」のカーゴルーム。キャビンとは繋がっていないが、リヤシート下までスペースを確保。リヤシート下も入れるとフロア長は約1900mm(含まなければ約1700mm)、フロア幅が約1300mm、荷室高は約1300mmとかなりスクエアなディメンジョン。欧州で使用される「ユーロパレット」に合わせたサイズだとか。

このクラスではトヨタ・ハイエースが圧倒的な実績と人気を誇っているが、商用車離れしたスタイリッシュさ、イタリアンブランドのオシャレさ、ヨーロッパ仕込みの走りの良さをアピールしたいという。

フィアットプロ「スクード」のコックピット。展示車はオーストラリアで販売される右ハンドル仕様。シンプルながら乗用車的なデザインとレイアウトだ。最廉価グレードでトランスミッションは6速MT。日本導入モデルは8速ATのみの予定。

エンジンは1.5Lと2.0Lの直列4気筒ターボディーゼル「マルチジェット」が合計3種類設定されており、前者が120hp(88kW)/3750 rpm・300Nm/1750 rpm、後者が145hp(106kW)/3750rpm・340Nm/1750rpmという出力。最上級グレードは同じ2.0Lでも177hp(130kW)/3750 rpm・400Nm/1750rpmとよりハイパワーだ。駆動方式はFFのみとなっている。なお、1.5Lモデルは6速MTしか無いため、日本には導入されないと思われる。

フィアットプロ「スクード」の6速MT。本国では、6速MTは1.5Lモデルの「120マルチジェット」と2.0Lモデルの「145マルチジェット」に設定。「120マルチジェット」は6速MTのみだが、ハイパワーの2.0モデル「180マルチジェット」は逆に8速ATのみ。

ちなみに、本国ではEVモデルもラインナップされているが、充電器規格を考えると日本導入は難しいだろう。日本のためにCHAdeMO仕様を用意するほどの台数が見込めるかは全く未知数だ。

フィアットプロ「スクード」。カーゴドアは5対5の観音開きドアだが、リヤゲート仕様も設定がある。

ステランティスジャパンとしては、モデルチェンジの噂もあり、一方で市場における供給不足が伝えられる日本製商用バン(主にトヨタ・ハイエース)の間隙を突きたいところだが、果たして……

大型商用バン「デュカト」も展示

フィアットプロ「デュカト」

今回の『ジャパントラックショー2026』では、ステランティスジャパンはフィアットプロブランドとして初の日本導入車となったデュカトも展示。これまで、キャンピングカーをメインにしたプライベートユーザーをターゲットにしてきた、今後ビジネスユースや法人需要も掘り起こしていく狙いだ。

フィアットプロ「デュカト」のカーゴルーム。展示車は標準ボディのL2H2だが、それでも概算で荷室長3000mm×荷室高2000mm×似室幅1800mmと、大人が中で余裕で作業できる広さだ。展示車はWURTHのラックやアイテムをサンプルとして配置した。

デュカトは2022年、フィアットプロブランドの日本導入に合わせてラインナップされており、標準ボディのL2H2、ロングボディのL3H2、ロングボディ+ハイルーフのL3H3が選択可能となっている。

フィアットプロ「デュカト」

デュカトの魅力はそのカーゴルームの広さ。2mを超える室内高は、中で立って作業するにも余裕のサイズ。さらに、駆動方式をFFに絞ったことになる低床フロアもポイント。ハイエースが一般的に620mmといったところ、デュカトは仕様にもよるが550mm程度なのだ。

ステランティスジャパンのブレット・ランブル氏の身長は約190cm。それでも荷室高には余裕がある。
同じくステランティスジャパンの名児耶孝規氏の場合。170cm台の日本人ならさらに余裕。

導入からキャンピングカーのベース車両としてアピールされてきたデュカトだが、商用バンとしての実力を改めて確かめてみたい。実際、ヨーロッパでは高く評価され、大きなシェアを誇っているのは伊達では無いだろう。

L2H2のボディサイズは全長5410mm×全幅2100mm×2525mm。L3H2は全長が5995mm、L3H3はさらに全高が2755mmとなる。

価格はL2H2で605万円〜とサイズや昨今の円安ユーロ高を考えるとお買い得に感じられる。とはいえ、このテの商用車は購入した”吊るし”の状態で運用することはなく、用途に応じたカスタマイズを行なうことになるので一概には言えない。

フィアットプロ「デュカト」のエンジンルーム。パワートレインは2.2L直列4気筒ターボディーゼルで、出力は180hp(180kW)/3500rpm・450Nm/1500rpm。トランスミッションは8速ATのみ、駆動方式はFFのみとなっている。

フィアットプロの今後の展開に期待

フィアットプロ「デュカト」のコックピット。

前述のデュカトはそのボディサイズのために既存のフィアット系ディーラーで取り扱うのが難しいケースが多く、また、これまでのメイン需要からキャンピングカーディーラーでの取り扱いとなっていた。これではディーラー網は限られるし、法人需要とは縁が薄い。

フィアットの商用車ブランド「FIAT PROFESSIONAL」。デュカトが特殊な車両だったため、これまで一般的にはフィアットディーラーでの取り扱いはなかった。

今後、フィアットディーラーの設備投資や新規の取り扱い店など、フィアットプロの販売・サービス体制の拡充は必要になってくるだろう。法人需要や商用車に輸入車を選択するというのは、ユーザーにもそれなりの想いがあると思われる。その想いに応える体制づくりを含め、今後のフィアットプロブランドの展開に期待したい。

フォトギャラリー:フィアットプロ「スクード」&「デュカト」

ここまでの画像や、本文にはない画像はページトップの「この記事の画像をもっと見る(33枚)」で見ることができる。スクードとデュカトのディティールはこちらからチェックだ。

フィアットプロ「デュカト」