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■すべてはぶっつけ本番で
最初にお断りしておくと、本来なら故障を起こした時点でドアミラーを分解し、故障部位や破損パーツの形状などを突き止めてから部品注文すべきだが、今回はあえて中身を確認せず、インターネットや販社聞き取りの情報収集にとどめ、推測のままコトを進めている。
本記事の話の種になると判断したのと、いざ部品が届いたらネット情報と違って、実際に必要なのは歯数が32のものだったということになれば、それはそれでまた種になると考えたからだ。
●パーツ到着
樹脂ギヤ代替品の楽天発注は連休最終日5月6日月曜日の夜。実質翌7日注文のようなものだったが、5月10日の夜に父から「届いた」とLINEで連絡がきたから、たったの3日で届いたことになる。別に急がないから到着は10日先でも1カ月先でもいいヤと考えていたので、意外と早い到着だった。
届いたら届いたで、記事書きのためにも作業のとっかかりは早いほうがいいというわけで、その日のうちにまた実家に戻ることにした。
別に東京の借りている駐車場でもできないことはないのだが、作業は庭や車庫のある実家で行なうほうがやりやすい。
作業自体、割と簡単にできそうではあったが、不器用だから時間がかかることが予想されたのと、記事用写真を撮りながらの作業であることを考え、5月11~12日の土日2日かけて行なうことにした。要するに場所にも時間にも余裕を持って進めたかったのである。
●いざ実践
作業開始だ。
もしこの記事を読んでいるみなさんも同じことをするなら参考にしてみてほしい。スタートから完了までの作業順序は大きく分けて以下のとおりである。
1.車体からのミラー本体外し
2.分解してギヤ交換
3.組み立てて車体取り付け
本記事では1.の車体からのミラー本体取り外しについて解説していく。
1.車体からのミラー本体外し
1.三角カバー外し
まず皮切りに、ドア内側のカバーを外す。オーディオ野郎ならツイーターの取り付け場所に選ぶ、あの三角カバーだ。
これは裏側のクリップ3つではめ込まれているだけなので、三角の長辺と斜辺に指をあてて引っ張ると簡単に外れる。
カバーを外すと四角い穴にはめられた配線コネクターと、本体をドア固定するナット3つが顔を出す。この段階で、篏合(かんごう)されているコネクター同士を外しておいてもかまわない。
コネクターが下のドア内張り内部にあるクルマもあり、わざわざ内張り全体を外さなければならないクルマも多いようだが、JB43W&JB23Wの場合は三角カバー外しだけですべてが完結するので楽な部類といえる。
2.ミラー、車体色のカバーを外す。
ナットを見たら緩めてミラー本体を外したくなるだろうが、この段階ではまだこのままにしておくほうがいい。
というのは、みんカラ整備手帳やYoutubeを見ると、さきにミラー本体を外し、その後にミラー&車体色カバーを外す人が多いようだが、これは順序を逆にしたほうがいいからだ。これは故障当日、販社の担当セールス氏に連絡したときに受けたアドバイスだが、「ミラーもカバーも、本体が車両に固定されている状態で外すほうが作業しやすい・・・」という。
ここは言われたことに素直に従い、ミラーとカバー外しにかかる。
ミラーとカバー、外すのはミラーが先だ。カバーは爪で止まっているが、その爪はミラーの奥にあるからだ。
そのミラーの外し方は原始的で。鏡面をいちばん内側に向け、外側にできたすき間を利用してミラーに手をひっかけ、引っ張るだけだ。内側に向けるのは手で行なってかまわない。
みんカラを見てそれなりに予習していたのに、いざ実践となると裏側が見えないだけに何だか鏡を割りそうでこわい。予習したとはいっても「見た」だけで、「観察した」わけではなかったことを痛感する。
というわけで、勢いよく外れて手から離れ、地面に落として割ったりしないよう、養生テープなどでミラーと本体をつないでおくことをおすすめする。
初めて行なうひとのためにあからさまにすると、本体をミラー側正面から見たとき、ミラーは中心の大きなピボットと、時計でいう3時と6時の位置にある小さなかわいいピボットの、計3つではめられている。
中心ピボットは鏡面調整の軸。3時と6時は鏡面調整用モーターに直結しており、3時ピポットが回転しながら出入りすることでミラー左右角を、同じく6時ピボットの回転出入りで上下角を調整する。鏡面調整のスイッチは上下左右4つあるが、そのためのモーターは4つあるわけではなく、ピボットを出入りさせる2個のモーターを正転・逆転させることでミラーを上下左右させていることがわかる。すなわち正転でのピボットせり出しが6時ならミラーは上を向き、逆転で引っ込めば下向きに。3時がせり出せば内側に傾き、引っ込めば外を向く・・・チビピボットを押し込んだり引っぱり込んだりで中心ピボットを軸に鏡面調整されるわけだ。
この写真のミラーには紫の配線が2本接続されているが、これはくもりを取り除くための熱線が入っているため。小さな小さな平端子で、外すのに少し苦労したが、ラジオペンチの先でつまんでちょい強めの力で引っ張ったら何とか外れた。
JB23W軽ジムニーの熱線なし車ならこの作業はない。
なお、端子外しの写真はカバーが外れているが、手こずって次項カバー外しを先に行なった後に端子を外したためなのでご了承を。
3.カバー外し
平端子より手間取ったのがカバー外しだ。
写真をごらんいただきたい。
外したミラー跡地に「=」の形でタテヨコに4つ見えるのが、ミラーアッセンブリーにはめ込まれた車体色カバーの爪だ。
この爪をラジオペンチの先で挟んで少し向こう側(=車両前方)に押し込むとカバーが少し浮き上がる。
1番の爪なんて折れているのではないかと疑うほどふにゃついているが、外した後見たらきちんと生きていたのでご安心を。
手間取ったのがここから先で、もうひとつ、写真で示した見えない部分に5つ目の爪がある。
ハジをさらすと、カバーをしならせた隙間から爪らしいものが見えても向きがわからなかったので、この段階で販社にお助け電話をかけたもの。
「確か向きは他の4つと同じだったと思うから、前側にまっすぐ引っ張れば外れますよ」
とのことだった。
「壊して新品を頼むとしたらけっこうなお値段しますかねえ?」
と尋ねたら
「けっこうなお値段しますよ」
と脅された。
失敗するわけにはいかぬと覚悟を決め、答えを聞いても不安が消えぬままグイッと引っ張ったら無事外すことができた。
ことほどさようなわけで、爪は5つとも同じ向きにありますので、初めて行なう方はご参考に。
それにしても、ミラーは外れるとき「ポコッ!」と音がするほど力が要ったし、カバー外しだって爪方向に対してまっすぐ引っ張らなければならない・・・なるほど、先にミラー本体を外して部屋のテーブルや床の上でやろうものなら不安定でとても作業にならないことが想像つく。ミラーもカバーも車両状態で外すのが賢明だ。
4.本体外し
ここでようやくミラー本体の外しに入る。
といってもさきのナット3つを回すだけだ。
これは12mmのナットだが、ここは作業をしやすいよう、もしお持ちなら小さめのラチェット式レンチを使うことをおすすめする。
いっぺんに外すのではなく、3つとも外れる1歩手前まで緩めるにとどめておき、しかるのちドア外側にまわって本体を抱え、窓から手をまわして3つを外す。
この段階でコネクターを分離させていないならここで篏合を外し、本体をこじればドアから外れる。
万が一のため、ここでも作業前に養生テープでの落下防止をしておくべし。
ここでは熱線端子とカバー爪に手こずったのと、写真を撮りながらの作業だったため、ちょい時間がかかってしまったが、うまくいけば10分ほどでできるはずのものだ。
ミラー本体の車体からの切り離しはこれで完了だ。
あたりが暗くなってきたのと、そもそも内部にどんな細かい部品があるかわからないので、ここから先は家の中での作業となる。
ドアのミラー取付部のナット孔、コネクター孔の内側外側を養生テープでふさいで家ン中へ。
次回はいよいよ分解だ。
またつづく。