ただのドンガラじゃないぞ!メーカー解説員が教えるホワイトボディの見どころとは?

ホワイトボディと呼ばれる自動車の骨格のみの状態、そこから読み取れる設計者のこだわりとは。細かい部分を観察すると色々と見えてくる?

ホワイトボディは面白い?

5月22日〜24日まで開催された「人とくるまのテクノロジー展 2024 YOKOHAMA」の会場に、今後発売が予定されているスズキ・ブロンクスのホワイトボディが展示されていた。

よく耳にする「ホワイトボディ」という言葉だが、いったいどのようなものなのだろうか?
そして、メーカーの方が教える、ホワイトボディを見るときの「見どころ」はどこなのだろうか?

まず、自動車の「ホワイトボディ」とは、塗装されていない自動車のボディ(車体)のことを指す。これは自動車の製造工程では初期段階であり、クルマの骨格やフレーム、パネルが組み立てられただけで、塗装工程に入る前の状態だ。そこから塗装や内装、エンジン、サスペンションなどの主要なコンポーネント取り付けていくことになる。

一見すると、ただの製造途中のクルマのボディであり、面白みのない鉄の塊のようにみえるが、そこにはクルマの安全性や耐久性に大きく影響する設計がなされていると、スズキの解説員は教えてくれた。

ただの穴や凹凸ではない、すべての部品に意味がある

こちらのBピラーの内側の部分は、途中で間が空いている。この2部品は上と下で材料を変えていて、間を開けている部分が簡単に折れるようにすることで、側突に対する力の逃げ方をコントロールしているという。だた単に隙間が空いている訳ではないのだ。

同様に、フロアの凹凸も意味があり、剛性の確保と振動の抑制という役割をもっている。フロアは平面の大きな部品のため、振動が発生すると共振して乗員にとって不快な騒音を発生させてしまう。振動を抑制するためには単純に、鉄板の厚みを増やせばいいのだが、そうすると重量とコストの増加を招くため突起状のリブや細かいビードを入れて剛性を高めている。そして最適な効果を得られるような形状に設計されているという。

ボディのデザインを損なわないように、見えない部分で剛性を高めるよう設計されている。
丸印の部分で部品が分かれている。

自動車のボディは一つ一つの形状に理由があり、こだわって設計されている。意味のない形状の部品はほぼ無いと言っていいだろう。そのこだわりを積み上げていくことで、走行性や乗り心地に大きく影響していくという。

読者の皆様もホワイトボディを見かけた際には、メーカーの解説員の方に「この部品は、なぜこの形をしているのですか?」と疑問に思ったことを聞いていただきたい。そうすると、メーカーの解説員はきっと「それはですね…(ニヤッ)」とクルマの設計に込められたこだわりを教えてくれるはずだ。

スズキ・フロンクス

フロンクスはインドで開発されたコンパクトSUVで、アクティブなスタイリングと、それを引き立てる力強いボディラインをもつ注目の新型車だ。今年中の日本販売が予定されている。

スズキ・フロンクス 主要諸元(インド仕様車)
全長3,995mm×全幅1,765mm×全高1,550mm
ホイールベース2,520mm
エンジン:1.0L直噴ターボ(マイルドハイブリッド) 1.2Lガソリン(アイドリングストップシステム搭載)
トランスミッション:5MT/6AT(1.0L) 5MT/AGS(1.2L)

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