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電気自動車(EV)の電欠とはどういうこと?
電気自動車(EV)の電欠とは、ガソリン車のガス欠と同じ状況を指す。つまり電欠とは、モーターを駆動させるためのバッテリーの残量がなくなり、クルマが一切動かせなくなる状態のことを言う。
EVは、エンジンを搭載したクルマよりも航続距離が短いうえ、充電に時間もかかるため電欠を起こしやすいデメリットがある。
もちろん、航続可能距離や残量警告などはメーターにしっかりと表示されるが、すべての機能を電気でまかなうEVは、暖房や冷房などの使用電力によって航続距離が大きく変動する。しかも、スマートフォンなどと同じように低温下ではバッテリー内の化学反応が鈍り使用可能電力が減少してしまう。
その欠点を払拭するためにコンビニエンスストアや道の駅、パーキングエリアやサービスエリアなど至るところに急速充電器が設置され年々数を増やしているが、夜間は施設が閉鎖して使えなかったり、先客がいて充電を待たされるケースも少なくない。
1回30分程度の充電時間制限が設けられているものの、なかには連続使用する客や、充電終了時間になっても戻ってこない客もいて思うように充電できない場合もある。さらにバッテリーの温度や残量などの状態によっても充電効率が変化する。
十分に充電できない状態で無理な走行に踏み切ってしまうと、電欠でクルマが動かせなくなる事態に陥ってしまいやすい。
JAFによると2023年度の電欠救助件数は975件で、EVの救助要請全体の約11%にあたる。また、EVの普及にともない電欠トラブルは年々増加傾向にあるそうだ。
【電欠時の対処法】JAFや保険のロードサービスは利用できる?
電欠時の基本的な対処法はガソリン車のガス欠と同じだ。
まずは安全な場所へクルマを停車させよう。路上であれば追突防止のためにハザードランプを点灯させ、高速道路上なら三角表示板などの設置が必要だ。
ただし、完全に電力が枯渇するとシフトポジションすら変更できなくなるため、動けなくなる前に安全な場所へクルマを移動させておきたい。
ガス欠との大きな違いは復旧手段の数だ。ガス欠であれば燃料携行缶などを利用して自力で復旧させたり、クルマによっては一般車両に牽引してもらうこともできる。
しかし、電欠の場合はJAFや保険会社のロードサービスへ救援を要請するしか取れる手段がない。
ロードサービスによる救援は、積載車などで近くの充電施設まで運搬してもらう「レッカー移動」と、充電機材を搭載した救援車から電力を分けてもらう「現地給電」の2形態が地域や状況に応じて使い分けられている。
電欠はクルマに悪影響があるって本当?
電欠を起こしたからといって、すぐにクルマに深刻な影響が出るわけではない。しかし電欠による低電圧や過放電状態は確実にバッテリーの寿命を短くする。
多くのEVに搭載されるリチウムイオンバッテリーは、完全に放電させてしまうと総充電容量の減少を引き起こすため、30〜80%の範囲で使うのが望ましいとされている。
もちろん、保護機能などが備わっているため劣化は最小限に抑えられるが、バッテリーの劣化を抑えるためにも、電欠はなるべく避けるに越したことはない。
また、駆動用バッテリーの電力がなくなった状態で車内の電装品を使い続けると、12V電源を供給する補機バッテリーの電力までが充電されず枯渇する点にも注意が必要だ。
EVに搭載される補機バッテリーは走行システムの稼働に必要な電力を供給する重要な部品であるため、補機バッテリーが電圧不足になると、駆動用バッテリーを充電したとしても走行システムが起動できず走行不能に陥る。
実のところ、EVにおけるJAF出動理由は、補機バッテリーの過放電による救助要請のほうが電欠よりも2倍近く多い。
鉛蓄電池の補機バッテリーも過放電状態に陥ると劣化が進むため、その後のさらなるトラブルにも繋がりかねない。EVに乗るには、駆動用バッテリーの電欠に陥らないように注意することに加え、補機バッテリーの電圧管理も大切だ。