ホンダ「シビック・タイプR」(FK2)がスパ、モンツァなど欧州5つのサーキットでFF量産車の世界最速ラップを達成!【今日は何の日?6月14日】

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ・4代目シビック・タイプR
一年365日。毎日が何かの記念日である。本日6月14日は、ホンダの4代目「シビック・タイプR(FK2)」が欧州の名立たる5つのサーキットでFF量産車の世界最速ラップを達成したことを発表した日だ。4代目シビック・タイプRは、ニュルブルクリンク北コースですでにFF量産車の世界記録を叩き出しており、それに続いた世界最速ラップであり、タイプRの世界一の走りをあらためて証明したことになったのだ。
TEXT:竹村 純(Jun TAKEMURA)/PHOTO:三栄・シビックタイプRのすべて

■シビック・タイプRが欧州5サーキットでFF量産車の最速ラップ達成

2016(平成28)年6月14日、ホンダは前年に日本で発売された4代目「シビック・タイプR(FK2)」が、欧州の5つの有名サーキットにおいて、FF量産車の最速ラップタイムを記録したと発表した。
ドイツのニュルブルクリンク北コースでの最速タイムに続いて、英国のシルバーストン、ベルギーのスパ・フランコルシャン、イタリアのモンツァ、ポルトガルのエストリル、ハンガリーのハンガロリンクの各サーキットすべてでFF量産車の最速ラップタイムを記録したのだ。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ニュル北コースだけでなく、欧州の有名な5サーキットでFF最速ラップを達成したホンダ・4代目「シビック・タイプR」

●ホンダのレーシングスピリットを凝縮したタイプR誕生

初代シビック・タイプRは、フラッグシップのミッドスポーツ「NSX・タイプR」、FFスペシャリティカー「インテグラ・タイプR」に続く、ホンダが目指した究極のスポーツモデルの第3弾だ。

ホンダ初代「シビック・タイプR」
1997年にデビューしたホンダ初代「シビック・タイプR」

タイプRは、一般路だけでなくサーキットでも他を圧倒するパワフルな走りを目指し、1997年に誕生。心臓部となるエンジンは、1.6L直4 DOHCのVTECエンジンを搭載、高圧縮比や各部の軽量化、フリクション低減、吸排気抵抗の低減などを行い、NA(無過給)ながら最高出力185ps/8200rpm、最大トルク16.3kgm/7500rpmを生み出した。
さらに、車高を下げた低重心化やサスペンションのハードチューニング、ブレーキ力の強化、ボディ剛性の強化、ABSのスポーツセッティング、専用タイヤなど、ホンダの培ったレーシング技術を注入。パワフルかつ強固な足回りと優れた操縦安定性を手に入れたタイプRは、比較的安価な199.8万円で売り出されたこともあり、大ヒットを記録したのだ。

●最強のVTECターボを搭載した限定750台の4代目シビック・タイプR

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ・4代目シビック・タイプR

その後2001年に2代目、2007年に3代目と進化を続け、4代目シビック・タイプRは2015年12月に日本で発売された。最大の特徴は、エンジンが歴代初のターボエンジンになったこと、その他にも走行性能を高める様々な技術が盛り込まれた。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ「シビック・タイプR」に搭載の直噴2.0L VTEC ターボエンジン

新開発の2.0L直4 DOHC VTECターボは、最高出力310ps/6500rpm、最大トルク40.8kgm/2500~4500rpmを発生。先代エンジンに対して、最高出力54%、最大トルクが107%ほどパワーアップして最高速度が236km/hから270km/hへと向上、これらの数値が4代目タイプRの凄さをよく表している。
車体側についても、9代目シビックのボディをベースに、剛性強化やエアロパーツ採用による空力改善、サスペンションやブレーキの強化など専用部品が装備され、日本では車両価格428万円の750台限定で販売。ところが、予約期間で申し込みが限定台数の10倍を超えたため販売は抽選となり、手に入れたくても手にできないモデルとなった。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ・4代目シビック・タイプRのコクピット

●ニュルだけでなく、欧州の著名な5つのサーキットでも圧巻の走りを記録

4代目シビック・タイプRは、日本発売前の5月にドイツのニュルブルクリンク北コースでタイムアタックを敢行。タイムは、それまでのルノー「メガーヌR.S.272トロフィーR」の記録を4秒上回るFF量産車最速となる7分50秒63を記録。限定販売台数の750台は、このニュルのタイムに由来している。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ・4代目シビック・タイプR

シビック・タイプRはニュルだけで満足せず、欧州で有名な5つのサーキットでもタイムアタックに挑戦。英国のシルバーストン、ベルギーのスパ・フランコルシャン、イタリアのモンツァ、ポルトガルのエストリル、ハンガリーのハンガロリンクの各サーキットすべてで、FF量産車の最速ラップタイムを記録したのだ。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ4代目「シビック・タイプR」のリアビュー

その後もシビック・タイプRは記録を更新したが、2019年にメガーヌR.S.272トロフィーRがFF最速の座に返り咲いた。しかし、2022年9月に発売された新型(6代目)シビック・タイプRが、2023年4月にFF最速記録を更新し、再びFF最速の称号を奪還した。

ホンダ・4代目シビック・タイプR
ホンダ・4代目シビック・タイプR

・・・・・・・
ニュルだけでなく、名立たる欧州のサーキットでもその実力を遺憾なく発揮したシビック・タイプR。どんなコースであれ、VTECエンジンの高性能、優れたレスポンス、安定したコーナリング性能を備えた世界最速ホットハッチに敵はいない。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。

キーワードで検索する

著者プロフィール

竹村 純 近影

竹村 純

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までを…