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建機の雄・コマツが提案する「モビリティオフィス」
日本が世界に誇る建機メーカー「コマツ」の展示の中で、シルバーのボディにブルーのラッピングが施されたフィアット・デュカトを発見した。メンテナンス等を行うサービスカーかと思いきや、なんとオフィス機能を備えた車両である「モビリティオフィス」だという。
参考出品された「スマートコンストラクション モビリティオフィス」は、通常はオフィスに備えてある建設現場向けのシステムを車載したもの。その機動性を活かし、建設現場に持ち込めば、その瞬間からオフィスを立ち上げることが出来るというわけだ。
この移動可能な「モビリティオフィス」を製作したのは、コマツの子会社であるEARTHBRAIN社からの依頼を受けたフィアットプロフェッショナル正規ディーラーかつキャンピングカーメーカーのトイファクトリーで、同社が得意とするキャンピングカー製造のノウハウが活かされている。
フィアット・デュカトはどんなクルマ?オフィス仕様の車内は……
ベースとなったデュカトは、日本に正規輸入される「L2H2」仕様のもので、荷室が全長2960mm×全幅2000mm×全高1970mmのサイズとなっている。室内高が約2mあるので、大柄な人でも車内を立ったまま移動や作業ができる大型バンのデュカトの強みも活かされている。足元には、機動性を高めるべく、オールテレインタイヤを装着されていた。
その車内を覗いてみると、後部のラゲッジスペースにオフィス環境を構築。ドイツのアルミ製の車載用キャビネットシステム「bott」をベースに木材を組み合わせることで、2名分の作業デスクや収納スペース、ベンチシートを確保している。そのデスクの前には備え付けの2基の大型モニターがある。その光景は子供の頃に映画や特撮作品で活躍する特殊車両を彷彿させ、ワクワクさせてくれる。
搭載されるシステムは、コマツの子会社である「EARTHBRAIN社」の様々なデジタル技術を提供する「Smart Construction」を中心に構築されており、ドローンによる建設現場の撮影したデータの分析やリモートコントロールを行う建設機械向け遠隔操作システムなどの機能が備わる。また通信機能として、衛星通信(スターリンク)やモバイル通信機器(4G/5G)。長距離Wi-Fiネットワーク通信機器を備えることで、何処にいても建設会社のオフィスにいるように、様々な情報のやり取りや作業ができるようになっている。さらに快適な作業空間とするべく、家庭用ルームエアコンや冷蔵庫、シンクがあり、ボディ内部は断熱施工も施されている。
建設現場のオフィスとしてだけでなく災害復興の拠点としても活用できる
モビリティオフィスの強みは施工現場にオフィス機能を簡単に持ち込めることだが、同時に災害対策車両でもある。災害時に迅速に現地入りすることが可能であり、復旧作業に必要な情報収集を行うだけでなく、建機のリモートコントロールシステムを使うことで、危険な初動復旧作業を自動・遠隔施工することを可能としている。
コマツによれば、今後、モビリティオフィスを販売する予定で、車両についても、その用途に合わせて、ハイエースや軽バンなど様々サイズのもの展開する予定だという。
日本ではキャンピングカーでの活躍を中心に正規導入が開始されたデュカトだが、日本製バンにはない大きなボディを活かすことで、移動可能な高機能作業空間となる「モビリティオフィス」は、その可能性のひとつを教えてくれた。今後は、このような活用例も増えていくかもしれない。