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■国産車初のフルオープン電動メタルルーフのヴァリエッタ
2000(平成12)年7月27日、日産自動車は7代目「シルビア(S15型)」のオープンスポーツ「シルビア・コンバーチブル・ヴァリエッタ」を発売。装備されたフルオープンの電動メタルトップは国産車初であり、ピラーや帆のないスタイリッシュなオープンカーとして人気を獲得した。
●デートカーの先駆けとなった3代目、代表作となった5代目
シルビアは、1965年に高級スペシャリティカーとしてデビューし、その後1980年代にはバブル時代の象徴となったデートカー。1990年代後半には希少となった走り自慢のFRクーペとして、若者から熱い支持を受け、現在も中古車市場では人気を博している。特に人気を獲得したのは、3代目(S110型)と5代目(S13型)だ。
1979年にデビューした3代目(S110型)は、低いノーズラインと角目4灯のフロントマスク、傾斜したフロントウインドウ、リアのオペラウインドウが特徴で、デートの際に女性からも好まれる“デートカー”の先駆け的なモデルとなった。
1989年にデビューした5代目(S13型)は、先代までの直線基調のイメージから一転、曲線を取り入れたワイド&ローの流麗なスタイリングに変更。4WSなどの先進技術を搭載し、ハイパワーエンジンを搭載したFRスポーツのダイナミックな走りで存在感を誇示した。歴代シルビアの最多販売台数を記録し、ホンダ「プレリュード」とともにデートカーの代表的なモデルとなった。一方で、取り回しの良いFRスポーツとして走り好きからは今でも人気があり、中古車市場では500万円超の個体もある。
●5ナンバーに回帰して軽快なスポーツクーペとなった7代目
1993年にデビューした6代目(S14型)は、歴代シルビアで初めて3ナンバーとなったことが特徴だったが、大きくなった大人しいスタイリングが不評で、またバブル崩壊の影響もあり、先代のような人気は獲得できなかった。
そして、モデルチェンジで1999年に登場した7代目(S15型)は、先代の反省を踏まえて5ナンバーボディへ戻し、ボディ前部は低くスラントしたフードと細目のヘッドライト、大型エアインテークを設けたエアロバンパーなどで精悍さを、サイドの2本のキャラクターラインやダイナミックなリアフェンダーなどでスポーティさを演出した。
パワートレインは、2.0L直4 DOHCエンジン(SR20DE型)&そのターボエンジン(SR20DET型)の2機種と、E-AT(電子制御4速AT)および5速MTの組み合わせ。駆動方式は、もちろんFRである。
スポーティさをアピールした7代目シルビアの優れた走りと精悍なスタイリングは、走り好きから高く評価され、5代目ほどでないが人気を獲得した。
●ファッショナブルに登場したコンバーチブル・ヴァリエッタ
7代目シルビアの車種展開の目玉として、5代目でラインナップしていたコンバーチブルを採用したヴァリエッタが登場。製作はオーテックジャパン(現・日産モータースポーツ&カスタマイズ株式会社)が担当。注目は、従来のようなソフトトップではなく、国産車初となる電動メタルトップのフルオープンであること。閉じておけばクローズドボディと同じ感覚ながら、屋根を開けば幌やピラーの露出がなくスタイリッシュに見えるのが特徴だ。
電動メタルトップは、約20秒でオープン→クローズ(クーペ)へと変身可能な優れモノ。パワートレインは、2.0L直4 DOHCエンジンとE-ATおよび5速MTの組み合わせ。車両価格は、5速MTが279.8万円、E-ATが289.5万円と比較的安価に設定された。
2001年12月まで合計で1120台余りが販売されたが、シルビア自体が排ガス規制への対応にコストがかかることから車種削減の対象となり、2002年に生産中止に。これにて、一世を風靡したシルビアも幕を下ろしたのだ。
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シルビア復活の噂は幾度となく流れているが、新しいものは2021年に欧州日産が初代シルビアからインスピレーションを得た「フルエレクトリック・シルビア」のデザインを公開。早ければ2024年にもワールドプレミアムされるという情報だ。ただ、その後はシルビアBEVについて目立った動きはない、期待は膨らむがまだ不透明だ。
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