他人事じゃない、愛車の水没! 保険の補償の可否や全損と半損の違いなど、覚えておきたいいざという時のためのミニ知識!

地球温暖化のせいで、ゲリラ豪雨や台風だらけの今日この頃。全国各地で未曽有の水害が発生し、多くの人の生活に欠かせない大切な愛車が、水没の憂き目にあっている。家や家財は地方自治体の補助金や、火災保険や家財保険(通常は風災&水災付き)で補償されるが、じゃ、クルマはどうなのか? 一般に自然災害による被害は補償対象外と思い込んでいる人も少なからずいるだろう。そこで、その真相を保険のプロに聞いてみました。

車両保険(任意保険)に入っていれば、基本的に水災も補償の対象となる!

まず、これはあくまでも任意自動車保険に付随している「車両保険」に加入していることが前提だが、通常の交通事故以外でも、ほとんどの場合、地震以外の自然災害により被害(水害、竜巻等)を被った時も、設定した(された?)補償金額を限度として、保険金を受け取れるのだ。また、最近は、全損の場合、保険金額にプラスして、車両全損時臨時費用をもらえる保険もある。(例:ソニー損保)

ちなみに、全損(修理費が車両保険額を上回る、あるいは修理不可能な場合)と、いわゆる修理可能な分損(修理費が車両保険額を下回る場合)の判断の目安は以下の通り。
1.マフラー(排気口)が浸水
2.クルマの床の上まで浸水

もちろん、上記の例でも状況によっては修理できる場合もあるが、その修理費はほとんど莫大な金額となり、保険会社やその時点のクルマの価額によっては、全損と判定される場合もある。また、たとえ修理できたとしても水没車は「冠水歴車」となり、中古車として売る場合や下取りに出す場合に査定額の判定に、「事故車」と同等のハンデを負うことを覚えておきたい。

※最近、自動車保険は多種多様であり、保険会社の商品によってはあてはまらないものもあります。それぞれ自分が加入している保険会社にご確認を!

地震が原因で発生した津波による被害は、基本的に補償対象外!

では、2011年に起こった、東日本大震災のような地震が原因となる津波によって水没した場合、「車両保険」は支払われるのか、と言えば、残念ながら車両保険の補償対象外となる。なぜなら、津波は一度に巨大な損害を発生させる可能性があるので、適切な保険料が算定できないからだ。確かに、1度に数万台が水没し、いちいち保険料を支払ったら、保険会社だってたまったもんじゃない。ただし、保険会社によっては、地震・噴火・津波によりクルマが車が全損となった場合に、一時金がもらえる特約を販売している場合もあるので、心配な人は、自分が加入している保険会社に問い合わせてみよう。

全損を免れても浸水したクルマは錆びや腐食、そして自然発火、感電に注意!

クルマは例え水没を免れても、タイヤ&ホイールの下半分が水に浸かる、あるいは深い水たまりを派手な水しぶきをあげて通過した場合でも、それなりのダメージを受けるもの。そのまま放っておくと金属部分が錆びたり、腐食したりして、思わぬ故障が発生したりするのだ。

また、浸水、あるいは冠水した場合、水が引いた後でもエンジンをかけたとたんに配線がショートして発火する、あるいは放置しておいても自然発火する場合もある。自分のクルマが該当する場合は、できればバッテリーのマイナス端子を外すなど、適切な処置を施しておこう。ただし、大容量のバッテリーを積んでいるEV車やハイブリッド車は感電の恐れがあるので、むやみにさわらないこと。詳しくは、国土交通省やJAFのホームページを参考にしてほしい。

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著者プロフィール

「東新宿交通取締情報局」 近影

「東新宿交通取締情報局」