インプレッサWRX!レガシィRS!ヴィヴィオRX-R!本物のWRCマシンが並んだ『グループAラリーカーミーティング』

2024年8月4日(日)、福島県のエビスサーキットにスバルがWRCで走らせた本グループAマシンが4台も集結するイベント『グループAラリーカーミーティング』が開催された。並んだマシンはレオーネRX、レガシィRS、インプレッサWRX、そして今回がレストア後の初のお披露目となったヴィヴィオRX-Rだ。いずれもWRC参戦歴のある本物。そんな貴重なイベントの様子を紹介しよう。

スバル系プロショップ「KITサービス」主催のイベント

このイベントを企画したのは群馬県にあるスバル系プロショップ「KITサービス」。スバルの昭和時代のモータースポーツ活動のキーマンだった故・小関典幸氏の興した会社で、現在は小関高幸氏が跡を継ぎ代表を務めている。

そんなKITサービスだけに、STI発足以前のスバルモータースポーツ活動で使用された車両を保管しており、同社ショールームのほか、折々のイベントで展示されているのだが、今回は同社主催のイベントとして開催されることになった。

エビスサーキット西コースのピットレーンに並べられたスバルのWRCマシン。エンジンルームや車室内、トランクも公開され、隅々まで見ることができた。

展示されたのはKITサービスが所有するAB型レオーネRXとヴィヴィオRX-R。そして、スバルコレクターとして有名な@BOXER_GrA_GC8氏の所有するプロドライブ製グループAのレガシィRSとインプレッサWRX(ホモロゲーション名:インプレッサ555)の合計4台。

また、会場となったエビスサーキット(福島県)西コースには多くのスバルファン、ラリーファンが訪れたことから、駐車場にもスバル車が列を成していた。中には展示されたラリーカーと同世代の貴重なオールドスバルや日本未導入モデルの姿も見受けられるほど。

駐車エリアにズラリと並んだスバル車。歴代(インプレッサ)WRXが揃う。
R2を挟んで並ぶAB型のレオーネ2台はRXクーペと日本未発売のブラットだ。

サファリラリーを走ったレオーネとヴィヴィオ

STI発足以前のスバルのモータースポーツ活動は主にラリーが中心で、なかでも1980年代はレオーネによるサファリラリーへの参戦をメインとしており、故・小関典幸氏や小関氏が抜擢した高岡祥郎氏によって戦われた。

KITサービスのレオーネRXとヴィヴィオRX-R。

スバルは1980年に二代目レオーネをサファリラリーに投入(アウディ・クワトロに先駆けWRCを走った初の乗用4WD車になった)したのに続いて、1985年からは前年デビューの三代目レオーネにバトンタッチ。レガシィがWRCに投入されるまで、レオーネを主戦マシンとしてサファリラリーを戦った。

KITサービスのサファリラリー仕様レオーネRX。左が今回も展示されたAB型、右が1985年以降に投入されたAA型。

今回展示されたレオーネRX(ハードトップクーペ)は二代目のAB型で、サファリラリーでは当時WRC日本人最上位(1983年/総合5位/グループ2)を記録した前述の高岡祥郎氏がドライブしたり、タレント・泉アキ氏がナビゲーター(コドライバー)を務めた(1984年/総合16位)ことで話題を呼んだモデル。1983年まではグループ2、1984年はグループAにホモロゲーションされていた。

サファリラリーを走ったレオーネRX(AB型)。KITが所有するのは1984年のサファリラリー仕様。

そして今回最大の目玉は1993年にサファリラリーに投入された軽自動車・ヴィヴィオRX-R。軽自動車として初のWRC参戦であり、当時のスバルワークスドライバーであるコリン・マクレーがドライブして他の2.0Lターボのマシンにも負けない好タイムを連発したことでも話題となった。

1993年のサファリラリーを走破したヴィヴィオRX-R。

残念ながらマクレーの走りでは完走することは能わなかったが、開催地ケニアの英雄パトリック・ジルが総合12位(グループAクラス5で優勝)という結果を残している。

パトリック・ジル/リック・マシューズ組は地元ケニア人クルーで、スバル車でサファリラリーを戦ってきた。

今回展示されたのはそのジルが完走したマシンそのもので、長らくKITサービスの看板がわりに展示されていたものを約1年かけてフルレストアしたもの。ファンにはおなじみの個体ではあったが、レストアされて蘇った当時の姿を一般公開するのは今回が初となった。

このサファリラリー仕様のヴィヴィオRX-RグループAについて、レストア内容や来歴、戦績などより詳細な内容を追ってご紹介しよう。

ツウはクルマの底面をチェックする。

イベントではおなじみのプロドライブ製グループAマシン

@BOXER_GrA_GC8氏が所有する2台のプロドライブ製グループAマシンは、イベントではたびたび展示されている1992年ニュージーランドラリーのポッサム・ボーン仕様に彩られたレガシィRS(prodrive Gr.A BC5 #124 J555POS)と、1994年ニュージーランドラリーでカルロス・サインツがドライブしたインプレッサWRX(prodrive Gr.A GC8 PRO94.014 L555RE)。

グループAにWRカーも! 『スーパーグリッドウォーク』に1980年代〜1990年代のWRCマシンが並んだ!!【モーターファンフェスタ2024】

2024年4月21日(日)に富士スピードウェイ(静岡県御殿場市)で開催された『モーターファンフェスタ2024』。さまざまなコンテンツが用意された春のイベントは大盛況で幕を閉じた。今年も多くのメーカーやショップが参加し、さまざまなクルマが展示された。中でも、200台に及ぶクルマが富士スピードウェイのメインストレートに並び、参加者が歩きながら間近に見ることができる「スーパーグリッドウォーク」はその車種の多彩さに眼を見張る。今回、スーパーグリッドウォークの一角に出現したWRCゾーンは特に注目を集めていたようだ。その車両を紹介しよう。

展示では特に柵などは設けられず、来場者はまさに間近に寄って本物のWRCを単横することができた。そればかりか、インプレッサWRXはエンジンルーム、トランク、ドアまで開け放って隅から隅まで見ることができたのはレオーネRXやヴィヴィオRX-Rと同様だった。
中には、このテの展示イベントでは定番の車体底部を覗き込む熱心なファンの姿も見受けられた。

インプレッサWRX(prodrive Gr.A GC8 PRO94.014 L555RE)
レガシィRS(prodrive Gr.A BC5 #124 J555POS)

レガシィRSは残念ながらセッティング決まっておらず展示のみとなったが、インプレッサWRXはグループAサウンドを響かせただけでなく、会場でデモランを披露している。

今回展示されたグループAレガシィRSについてはこちらで詳しく解説している。
インプレッサWRXについては井元貴幸氏のドライブインプレッションと合わせてご覧ください。

会場ではデモ走行も行われリアルなグループAサウンドを響かせる

勢揃いした1990年代前半のグループAスバルラリーカー。

また、当日は展示だけでなく会場(と同時開催中の全日本ダートトライアル選手権第6戦のピットなど)を巡るデモ走行が行われ、多くの来場者の耳目を釘付けにした。

デモ走行を披露する@BOXER_GrA_GC8氏所有のプロドライブ製グループAインプレッサWRX。

合わせて「X」にポストした取材時の様子を動画でご覧ください。

ヴィヴィオRX-Rのエンジンサウンド
インプレッサWRXのエンジンサウンド
ヴィヴィオRX-Rの走行シーン
レオーネRXとインプレッサWRXの走行シーン

イベントは全日本ダートトライアル選手権第6戦「スーパーDT」が開催されているエビスサーキットが会場。エビスサーキットの入場料(1700円)でこれら本物のグループAラリーマシンを見ることができるだけでなく、多彩なマシンが土埃を上げて迫力のドリフト走行を見せるダートトライアルも見ることができた。クルマ好き、ラリー好きには大満足な内容だったと言えるだろう。

KITサービスも代表の小関高幸氏が自らステアリングを握りスーパーDTに出走していた。

『グループAラリーカーミーティング』フォトギャラリー

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