東南アジアを中心に開催されるFIA・FIM公認国際クロスカントリーラリーであるAXCR。その31回大会は競技期間6日間、総移動距離は約2000kmという規模で行なわれ、無事に4輪40台、2輪31台がこれを走り切り、フィニッシャーメダルを授与された。

見事な勝利となった田口勝彦/保井隆宏組(No.106 Team MITSUBISHI RALLIART/三菱トライトン/T1D)。「めちゃくちゃ疲れたラリーだった」と田口選手本人の弁。

前日までの5日間で、暫定トップに立っていたのは田口勝彦/保井隆宏組(No.106 Team MITSUBISHI RALLIART/三菱トライトン/T1D)。前日トップタイムをマークし、暫定5番手から2番手に浮上していたMana Pornsiricherd/Kittisak Klinchan組(No.102 TOYOTA GAZOO RACING THAILAND/トヨタ・ハイラックスTravo/T1D)との差は5分21秒。この最終日は暫定総合順位順に2分間隔でスタートするので、マナ組は早々に前を行く田口選手をパスして、さらにこれを3分以上引き離す必要があった。

最終のSS(スペシャルステージ)はピッサヌロークのナコーンタイを舞台にしたショートステージ。SS距離数は58.62kmと短いが、穴や溝のある荒れた路面に慎重にならざるを得ない状況。だが、前車が捉えられそうな選手にとっては少し無理をしてでも前に行きたいという気持ちもあって、路面以上に心理的に厳しい一日となった。

マナ組はSS序盤から猛プッシュで前を行く田口組に追いつき、さらにトップでゴールまで走り切った。そのタイムは1時間05分40秒。一方、田口組は1時間08分36秒でこの日3位でフィニッシュ。その差2分25秒(トータルタイム12時間58分20秒)で田口組が勝利を手にし、三菱トライトンが連覇を果たすこととなった。AXCRで日本人ペアが勝ったのは初めてのこと。コ・ドライバーには、現地のことをよく知っているタイ人のほうが有利という話もあったが、これを見事に覆す形での勝利であった。

田口勝彦/保井隆宏組(No.106 Team MITSUBISHI RALLIART/三菱トライトン/T1D)。

田口組は2023年から4年目の挑戦で、ついに上り詰めることとなった。これまでの成績は2023年が8位、そして2024年、2025年の5位と、言うまでもなく実力を備えているし、大きなミスも冒すことなくシングルフィニッシュを重ねてきている。「3日目にトップに立ってからすごいプレッシャーでした。ミスできないし、1位と、3位とか4位じゃ全く違いますからね。走り自体は変わってないんだけど、ナローラインを狙うんでスライド量が変わりました(笑)。今日は残り15kmくらいのところでマナ選手に抜かれましたが、マージンはあったので、そこからパンクしないように気を付けながら走りました。とにかくめちゃくちゃ疲れました」とコメント。三菱の増岡浩監督は「団結して総合力で勝つ、というテーマで今年のAXCRに臨み、無事に結果を残せてうれしく思っています。また日本人ペアで勝ったというのも日本人の私としてもうれしいです。来年も失敗を恐れず、クルマ作りで冒険をしてこのAXCRに臨みたいと思います」と語ってくれた。

106号車の保井隆宏選手はAXCR史上日本人初のコ・ドライバーとなった。保井選手は「日本人初ってもう誰にも奪われない記録ですからね、ほんと、この上ない喜びです」とコメントしてくれた。
初参戦となったテインの鎌田卓麻/柳川直之組(No.120 Team TEIN/トヨタ・ハイラックスGRスポーツ/T1D/13時間13分10秒)はトップと15分差の4位フィニッシュ。初のAXCRの挑戦に「ただひと言、とても楽しかった。経験したことのないものへの挑戦っていいですよね。ほぼノントラブルで走り切れたことにはチームに感謝したいです」と。
マナ組の102号車の猛追を受ける106号車の田口組。2024年度のAXCRの覇者であるマナ選手としては少しでも早く田口選手をパスしてその差を拡げたかったわけだが、それは叶わなかった。
T1Gクラス優勝、総合でも9位シングルフィニッシュを果たした和田智弘/伊神敬太郎組(No.115 Showa Garage Racing×TOYO TIRES/スズキ・ジムニーシエラ/T1G)。タイムは14時間38分12秒。
青木拓磨選手(No.112 GEOLANDAR FORTUNER takuma-gp/トヨタ・フォーチュナー/T2A-D)は毎年このAXCR参戦時に、開催国の医療・福祉施設へ車いすを寄贈する活動を、日進医療器の協力のもと行なっており、今回も車いす5台を提供している。
新田正直/染宮弘和組(No.135 Tras POWER135 TRD HILUX/トヨタ・ハイラックス/T1D)は過去最高位の6位に。「最初に立ち木にぶつけてしまったのがほんとに悔やまれる。でもそれがあったから着実に順位上げられたのかもしれません。今回は一度もミスコースをしなかった。本当にコ・ドライバーの重要性を感じました。染宮選手には感謝しています」。
羽根田 琴/槻島もも組(No.137 GEOLANDAR CTS RALLY TEAM/スズキ・ジムニーシエラ/T1G/16時間06分05秒)は初参戦ながらT1Gクラス2位、女性部門1位(総合19位)を獲得。
今回AXCR初参戦となった勝又秀行/照井正彦組(No.140 DMR/三菱パジェロ/T1D)は総合35位。初日にエンジントラブルが発生し、今回日本人チームで唯一リタイアした「SpringRoad」チームのサポートを受け、無事に完走。

総合2位はトヨタ・ハイラックス トラヴォのマナ組(13時間00分45秒)。3位は、Ditsapong Maneein/Atikij Srimongkhol組(No.105 ISUZU SUPHAN TRANE TITANIUM YOKOHAMA NEXZTER RALLY TEAM/いすゞD-MAX/T1D/13時間08分22秒)という結果であった。