Porsche 911 Challenge

「911 カップ」よりも敷居を下げた仕様

新型カスタマー向けレーシングカー「ポルシェ 911 チャレンジ」のエクステリア。
「911 チャレンジ」は、ワンメイクレーシングカー「911 カップ」よりも、市販モデルに近い仕様として開発された。

ポルシェのカスタマーモータースポーツ・ファミリーに加わった新型エントリー向けレーシングカー「911 チャレンジ」によって、ポルシェのGTレーシングカー4車種全てが、現行「911(992.2型)」ベースとなった。

911 チャレンジはモータースポーツ向け車両のエントリーモデルとして、「ケイマン GT4 クラブスポーツ」や「718 ケイマン GT4 RS クラブスポーツ」の役割を引き継ぐことになる。ポルシェがラインナップする最も手頃な競技車両として、モータースポーツ初心者だけでなく、経験豊富なレーシングドライバーにも訴求するモデルとして開発された。

2025年8月に発表されたワンメイクレーシングカー「911 カップ」とは異なり、「911 チャレンジ」は量産型911 GT3の技術が数多く導入されている。空力性能に加え、7速PDK(DCT)、機能を高めたGT3 RS用ステアリングホイール、エアコンなどがその代表例だ。

ABS、トラクションコントロール、エレクトロニック・スタビリティ・コントロール(ESC)といったドライバーアシスタンスシステムは調整可能で、モータースポーツを始める際のハードルを下げている。また、走行ダイナミクスシステムも可変式をチョイス。この中には、複数段階で調整可能な「ポルシェ・トルク・ベクタリング・プラス(PTV+)」も含まれる。

2027年シーズン以降、911 チャレンジは世界各地で開催される様々なワンメイクレースシリーズへの参戦が可能となる。ポルシェ・モータースポーツのトーマス・ラウテンバッハ副社長は次のように説明を加えた。

「911 GT3は登場以来、スポーツカーメーカーとしてのポルシェのアイデンティティを形作ってきました。911 GT3はモータースポーツと緊密に連携しながら構想・開発されています。今回発表した911 チャレンジにより、新たな顧客層が911でモータースポーツのスリルを体験できることになりました」

911 GT3と同じエンジンとPDKを搭載

新型カスタマー向けレーシングカー「ポルシェ 911 チャレンジ」のエクステリア。
911 チャレンジは、市販仕様の911 GT3と同じエンジンと、7速PDKを搭載する。

4.0リッター水平対向6気筒エンジンは、基本的に量産型911 GT3をベースとし、最高出力は379kW(515PS)を発揮。最高回転数は9000rpmに達する。変更されたリヤサイレンサーには、レーシング仕様として触媒コンバーターが備えられたが、パティキュレートフィルターは必要としない。

500PSを超えるパワーは量産車と同様に、7速PDKを介してリヤアクスルを駆動。ステアリングホイールに装備されたパドルを使って、オートマチックまたはマニュアルでギヤチェンジを行うことができる。

911 チャレンジのユーザーは911 カップなどに採用されている様々なレーシングコンポーネントを追加導入可能。ショックアブソーバーは、モータースポーツ専用の特性曲線に基づいて作動し、標準装備のアンチロールバーは3段階で調整可能となる。

トレッドパターンを持たないレーシングスリックタイヤは、標準の5穴式18インチホイールと組み合わせられた。この点については、先日発表された「911 GT4 R」を踏襲している。スチール製ブレーキディスクを採用したレーシングブレーキシステムも911 GT4 Rと同じ仕様となり、ブレーキディスク径は前後ともに380mmとなる。

初心者にも安心な最高水準の安全レベル

新型カスタマー向けレーシングカー「ポルシェ 911 チャレンジ」のコクピット。
エクステリアは市販仕様の911 GT3を踏襲するが、ドアを開ければレーシングカーらしいコクピットが広がる。

911 チャレンジのボディサイズは市販仕様の911 GT3と同一で、主要なボディコンポーネントもすべてGT3と共通。標準装備として、3本のジャッキを備えたエアジャッキシステムが統合された。リヤにはFIA認証のレインライトが追加され、ボンネットは一体型のクイックリリースによって開閉することができる。可変式リヤウイングは4段階での調整が可能だ。

コクピットは遮音材、カーペット、内装トリムなどはすべて取り外され、その代わりに溶接固定式のロールケージが車体構造を補強。衝突時にはドライバーをしっかりと保護する。さらに110LのFT3規格燃料タンク、6点式ハーネスを備えた調整式レーシングバケットシート、消火システムなども装備される。

911 チャレンジは公道走行認証を取得しない競技専用車として設計されており、ワンメイクレース以外に、トラックイベントなどにも参加が可能。ポルシェ・モータースポーツのセールス責任者、ミヒャエル・ドライザーは次のように付け加えた。

「911 チャレンジは公道走行可能な911 GT3のドライビング体験を、これまで以上にダイレクトにカスタマーモータースポーツへと持ち込みます。ドライバーは長い習熟期間を必要とせずにクルマの特性を身につけることができますし、馴染みのある車両デザインのまま、初めてサーキットを走ることができるのです」

「ここでは1960年代にまでさかのぼるポルシェの原則に従っています。つまり、お客様にモータースポーツ用の安全技術、データ収集システム、スペアパーツのサポート、技術文書を完備した、レース参戦可能なクルマを提供するということです」

新型「ポルシェ 911 チャレンジ」を動画でチェック!

ポルシェは新型カスタマー向けレーシングカー「911 GT4 R」を発表した。

「718GT4」に代わってポルシェの上級カスタマー向けレースカー「911GT4 R」が来年実戦デビュー【動画】

ポルシェAGは、カスタマー向けレーシングカー「911 GT4 R」を発表した。これまでポルシェの「GT4」規定向けマシンは718がベースだったが、今回初めて911をベースに開発された。4.0リッター水平対向6気筒エンジンは最高382kW(520PS)を発揮し、2027年シーズンにデビューする。価格は26万5000ユーロ(約4900万円)。