目次
■スポーティさをアピールした5代目シビック
1991(平成3)年9月10日、ホンダの「シビック」が4度目のフルモデルチェンジで5代目がデビューした。5代目はスポーティさを追求して“スポーツシビック”と呼ばれたが、セダンにはフェリオのサブネームが付き、ハッチバックだけでなくセダンのイメージアップを図った。
1970~1980年代にかけてコンパクトカー市場をけん引したシビック
初代シビックは、1972年にデビュー。2ドアハッチバックのコンパクトカーとして低燃費と小気味よい走りを両立。翌年には当時世界一厳しい米国の排ガス規制、通称“マスキー法”に世界で初めて適合したCVCCエンジンを搭載して一躍世界的なヒットモデルとなった。
その後も、2代目(1979年~)の“スーパーシビック”、3代目(1983年~)“ワンダーシビック”、4代目(1987年~)“グランドシビック”と、世代ごとに付けられたユニークな愛称で、日本を代表する人気コンパクトカーとして君臨。カローラのやや保守的なイメージに対して、シビックはつねに時代を先駆ける若さと先進性をアピールしてきたのが特徴だった。
一方で2代目シビックには途中からセダンが追加され、3代目からはセダンが当初からラインナップされた。ハッチバックよりやや高級な位置づけだったが、“シビックはハッチバック”という印象が強く、セダンはやや影が薄い存在だった。
スポーティさをアピールした5代目スポーツシビック
5代目シビックの愛称は、“スポーツシビック”でスポーティさをアピール。先代同様、3ドアハッチバックと4ドアセダンがラインアップされた。
5代目シビックは、“これからの小型車の基本となるニュー・ベンチマークカー”を目標に、低燃費と走りの両立、若者に好まれるデザイン、乗り心地とハンドリング性能の両立、安全装備の充実などが図られた。ボディサイズは先代よりひと回り拡大し、スタイリングは先代の落ち着いたデザインから流麗なフォルムに変貌し、スポーティさをアピールした。
エンジンは、1.3L直4 SOHCキャブ、1.5L直4 SOHC(キャブ、VTEC-E、EFI、VTEC EFI)、1.6L直4 SOHCキャブ、1.6L直4 DOHC EFI、1.6L直4 DOHC VTEC EFの7種が用意された。VTEC-Eは、VTECを利用した吸気弁停止とリーンバーン仕様である。
トップグレードSiRは、最高出力170ps/最大トルク16kgmの高性能ぶりを発揮した。
コンパクトセダンとして確固たる地位を築いたフェリオ
5代目シビックのセダンは、ハッチバッグの影に隠れていたそれまでの「シビックセダン」のイメージアップを図るという重要な役割を担い、その表れとしてフェリオというサブネームが付けられた。
フェリオのボディサイズは、ハッチバックに比べて全長が325mm、ホイールベースが50mm長く、全高は25mm高く、ハッチバックより高級な雰囲気があった。スタイリングは、ロングホイールベース・ショートオーバーハングに傾斜を強めたフロントウインドウを組み合わせ、セダンながらスポーティかつスタイリッシュに仕上げられた。
トップグレードSiRには、ハッチバッグと同様170ps/16kgmを発揮する1.6L直4 DOHC VTECエンジンが搭載され、車両価格は163万円だった。フェリオSiRは、スポーツイメージを高める目的でモータースポーツにも積極的に参戦して大活躍、その高性能ぶりが評価されて走り好きの若者から絶大な人気を集めた。
シビック・フェリオは堅調な販売を続け、シビックシリーズの中でも5代目シビックはセダン比率が高い人気モデルとなったのだ。
・・・・・・・・
その後もシビック・フェリオは堅調な販売を続けたが、2008年に8代目が国内ではセダンのみとなったため、この時点でフェリオの名は消滅した。5代目は、シビックがハッチバックから上級セダンへと舵を切った分岐点となったモデル、そしてSiRはシビックタイプRの源流となったのだ。
毎日が何かの記念日。今日がなにかの記念日になるかもしれない。