【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3】第三京浜走行中にまさかのアクシデント! 悲しい別れを告げたポルシェ・ケイマン(吉田由美)

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ごしてきたのだろうか。「カーライフ・エッセイスト」として自動車雑誌から女性誌、最近はYouTubeでも活躍する吉田由美さんに、歴代のお気に入りの愛車・ベスト3を聞いてみた。

TEXT●吉田由美(YOSHIDA Yumi)

3位:日産プリメーラ(初代)

「セダンでもオジサン臭くない!」

免許を取って一番最初に購入した新車が「日産プリメーラ」。実は免許取り立てでいきなり新車は心配だったので、「プリメーラ」が納車される前に実はもう一台、中古で安い車を購入していたのです。案の定、そのコは間もなくサイドミラーを電信柱にぶつけて取れてしまうというアクシデントに見舞われ、その直後に新車の「プリメーラ」が納車されたのでドナドナされていきました。

「プリメーラ」は私がほとんど乗っていましたが、私の車というより、家の車でもあり、家族の意見も聞いた…かどうか忘れましたが、ボディカラーはブラック。当時「プリメーラ」は、どこか欧州の香りがし、セダンでもオジサン臭くなくて気に入っていました。

日産プリメーラ
日産の「901運動(1990年代に世界一の運動性能を実現する)」の一つの成果といえるのが、1990年に登場したプリメーラ。フロント:マルチリンク、リヤ:パラレルリンク式ストラットからなる足周りは欧州車もかくやのフットワークを披露した。
日産プリメーラ
走りだけでなく、端正なルックスもプリメーラの魅力だった。
日産プリメーラ
プリメーラのために新開発されたSR系エンジン(搭載自体はブルーバードやサニーが先行した)。1.8L版は110ps、2.0L版は150psを発揮した。トランスミッションは5MTと4ATを用意。

2位:メルセデス・ベンツSLK(初代)

「屋根を開けるかどうかよりも、『屋根が開く』ことが大切」

そして輸入車デビューとなったのが「メルセデス・ベンツSLK」です。オープンカー、メルセデスベンツはいつかは所有してみたいキーワードでしたが、さらに屋根がバリオルーフというのが最終的に決め手となりました。

幌は優雅ですが、私の中では防犯上と耐久性に不安があり、なかなか購入には至らず。“ハードトップの屋根の車がもう少しリーズナブルな価格であれば”と常々思っていたので、「SLK」が発売されたときには“これだ!”と思って申し込みました。しかしその時点で、すでにバックオーダーとなっていて、首を長くして待っていたのに待てど暮らせど連絡無し。恐る恐る確認をしてみたら、私のオーダーが入っていないことが発覚…(汗)。その後は早かったです! キャンセルが出たクルマを融通していただき、無事に購入に至りました。

マグマレッドの「SLK」は華やかでキュート。実際に屋根を開ける機会はそう多いわけではありませんが、それでも何かの時にはシートヒーターと暖房を強めにかけて星空を眺めて見たり、ロマンチックな時間をすごしました。屋根を開けるかどうかより、「屋根が開く」ということが大切なのです。

メルセデス・ベンツSLK
電動格納式ハードトップ「バリオルフーフ」を採用したコンパクトオープンスポーツカー、SLK。初代は1996年に登場。
メルセデス・ベンツSLK
ルーフの開閉に要する時間は28秒。オープン時に格納されたルーフが荷室を占拠してしまうデメリットはあったが、セキュリティや利便性の高さがウリだった。

1位:ポルシェ・ケイマン(初代)

「ドアハンドルに手をかけると“手を繋いだ”ように感じた」

そして第1位は「ポルシェ・ケイマン」。ポルシェも一度は所有してみたいブランドでしたが、「SLK」で2シーターオープンモデルの不便さも知っていたのと、「ボクスター」のほうが先に発売されていたので業界内でも乗っている方が何人かいたし、デザインも911とは違う目新しさと、さらに走りも素晴らしい「ケイマン」に胸キュン(笑)。購入後も、車に乗り込むためにドアハンドルに手をかけるたびに幸せな気持ちになっていました。

私はその感覚が“手を繋ぐ”感じに似ているなと思っていました。いいろな車に乗っても「ケイマン」に乗った時の安堵感というかホームな感じが好き。そしてどんな時も、走り出すと思わずにやけてしまうドライブフィール。大好きでした!

ところが購入後3年目の車検が近づき、どうしようかと思い始めたころ、事件が起きました。第三京浜を走行中にバイクが落としたマフラーがボディ下に飛び込んできて、床下に穴が開くというアクシデントに見舞われたのです。修理の見積もりをとったら300万円かかることが判明。私は考えた末、事故車を直して乗っているより、手放して新車を購入するという選択をしました。

というわけで、「ケイマン」びいきなのは、こんな悲しいエピソードがあるからです。おそらくこの後も、よっぽどのことが無い限り、私の1位は変わらないような気がします。

ポルシェ ケイマン
オープンスポーツカー、ボクスターの兄弟車として誕生したクーペモデルがケイマン。初代は2005年にリリース。
ポルシェ ケイマン
ガラス部分と一体になったリヤゲートを開くと、想像以上に大きなラゲッジスペースが存在する。意外に実用性が高いのもケイマンの特徴だ。
ポルシェ ケイマン
ポルシェ・ケイマン(初代)
日産シルビア

【プロが選んだ思い出の愛車・ベスト3】初めてのスピンもドリフトも日産シルビア(S13型)で経験した

ときに舌鋒鋭く自動車をレビューするモータージャーナリストは、どのような愛車とともに人生を過ご…

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